最終話 元悪役は暇人へ(働いてるからセーフ)

 今日はレイの結婚式に呼ばれている。あのハーレム野郎は王女ちゃんとイーナとあとなんとかさんと結婚するらしい。ハーレムじゃん。


「行きたくねぇ」


 俺はこいつらが付き合っているのは知っていたが結婚式とかがガン無視する予定だった。めんどいし。


「イーナあんにゃろう」


 そう。イーナが招待しやがったのだ。メグを使って。メグも一緒に招待されている。メグは食事を楽しみにしてるらしい。


 はぁ。めんどい。てかメグ元気にしてるのかなぁ。


「橋雨様?」


「め、メグ?」


 メグがいた。王都行きの電車で偶然バッタリだ。メグは王都に住んでいるはずなのにおかしいな。


「橋雨久しぶり〜」


 アオイを迎えにいってたのかよ。こいつ実家に帰ってたからなぁ。


「メグ、猫カフェは上手くいってるのか?」


「ええ。黒字に黒字です」


「そうかぁ」


 メグは今までに貯めた金を使って猫カフェを王都に開いていた。結構人気あんだよあそこ。


「そいえば橋雨は誰に招待されているのです?」


「イーナだよ。言いたいことがあるなら言え」


「見て下さいよこの新しい義手!!格好良くないですか!?」


「あっそ」


 たしかにいいデザインだ。否定せん。てか電車駅にもう着いたのか。速いな。


「式場ってどこだっけ?」


「駅に迎えの車が来ているはずですよ」


「まじか」


 さすがやな。お、あのリムジンか。


「リムジン乗るの人生初なんだけど」


「田舎にリムジンはないからねぇ」


 俺はアオイと立ち上げた運送会社で金を集めつつ、田舎に貯金で山を買い、そこで暮らすための家を建てている。夢のスローライフはすぐそこさ!!


「着きましたね」


 あーあ会場着いちゃった。祝辞言うの面倒くせぇ。なんで俺なの?


「おや?橋雨じゃないか」


「恭一郎さん」


 霧江家現当主の霧江恭一郎さんだ。貴族代表で来たらしい。どうでもいいけど。


「それではウンヌンカンヌンをほんたらひんたらします!!…では霧江橋雨様、祝辞を(以下略)」


 真面目に聞いていなかったが、俺の番が来てしまったようだ。嫌だなぁ。


「え〜と。ハーレム野郎だったレイが争い無く結婚出来たことは奇跡だと思います。学生時代はほぼ全員の男子生徒が恨んでおりましたが、全員笑顔でいたので何も言う気になりませんでした。でも一応は祝う気持ちがあるので心配しないでください。もうめんどいんで要約していいます。ハーレムは死ね。俺に迷惑をかけるな。以上です」


 周囲から呆れと称賛の声が聞こえてくる。俺に言わせたって事はそういうネタ枠だよなぁイーナさんよぉ。


 式が終わりに近付いてきた所で、レイ達がこっちに来た。流石にあの祝辞は不味かったのかな?


「霧江、まさか君が来てくれるなんて僕は思ってもいなかったよ。君はたしか運送業をやっているんだっけ?」


「そうだな。アオイも一緒だけど」


「じゃぁ新居に家具を運ぶ仕事とかも引き受けてくれるのかい?」


「仕事の話は後ででいいか?俺はこの高級な肉をもっと食べたいんだ」


「君らしいね。それじゃぁまた後で」


「おう」


 レイは他の人の所に向かったようだが、イーナだけ残った。何か用か?


「何?」


「いや、あんたって変わってなかったのねと思って」


「それはいい意味で言ってる?」


「さぁ?あ、呼ばれてるからもう行くね。あ、あとメグさんとは仲良くするんだよ」


「あったりまえだろ」


 なぜか笑いながらレイの所へ向かうイーナに、こう聞いてみた。


「お前今楽しい?」


「うん。とっても」


 それは何より。色々とでっちあげて婚約破棄したかいがあったってもんよ。


 さて、こんなんでレイの結婚式は終わりでいいだろう。末永くお幸せに。


「橋雨様、こちらの書類にサインして貰ってもいいですか?」


「ん?ああメグの土地云々の許可ね。って多!!」


 メグが俺の買った土地に家を建てたいらしく、その許可に大量の書類がいるらしい。ハンコを準備し、100近い書類に押していく。


 その書類の中に、記入済みの婚姻届けが入っていることを知っているのは、メグとアオイ、それと計画したイーナ達だけだった。


 そして俺がそれに気付くのは、メグが指輪を持って引っ越して来た時だった。


                    〜END〜


――――――――――――――――――――――――

完結です!!ありがとうございました。次作は異世界物か異世界物のどちらかです。でもストーリーは結構違います。


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