第16話 不審者と悪党(悪役→不審者)

 え?どゆこと?てかここどこ?王都に似ているけどそうじゃない?意味わかんないんだけど。


「君、そこは危ないぞ」


「え!?レイ!?状況を説明しろ!!城に籠もってる奴は誰だ!!てかお前背伸びた?」


「???君は霧江家の縁者かい?」


「違う!!俺は霧江橋雨だよ。これは何の騒ぎなんだ?」


「ま、まさか君が本物の霧江橋雨なのか!?でもいつから?」


「(適当に言っとこ)実はなぁ」


〜でっち上げ中〜


「なるほど。そういうことか」


「そういうことだ」


「でも君はどうしたい?帝国で保護してもいいが」


「俺に任せろ。偽物はぶっ飛ばす」


「わかった。作戦はどうする?」


「レイは正面、俺は直線で」


「わかった」


 ここはどこかわからないけれど、偽物(仮)はぶっ飛ばす。特に意味はない。


 てなわけで念力を使って、王女ちゃんと皇帝が捕らえられている玉座の間に向かう。扉の側に1人、人質の前に1人、そして玉座に偽物(仮)。


 まぁここは窓から正々堂々と入ってしまいましょ。


「えーい」


 窓が吹っ飛ぶ。みんなめっちゃ驚いてる。まずは念力で人質をこっちに引き寄せ、残りの奴を捻る。ま、偽物(仮)は防いだけど。


「お前、何者だ!!何故俺と同じ顔を!?まぁいい。邪魔をするなら死ね!!」


 突っ込んでくる。こいつ俺の能力を無効化しようとしている。普通ならピンチなのだが、俺も能力を使用し、打ち消す。


「な、なぜ能力が発動しない!!」


「お前が1番わかんだろ」


「お前、まさかレイか?」


「違う。あと同じ顔が2つは紛らわしいし、これで消えてくれや」


「な、何を」


 念力で捻りあげてお陀仏させる。人を殺したのにどうとも思わない。ふっしぎーーーー。


「リエ!!」


 みんな大好きレイがやってきた。涙を流す王女ちゃんと抱き合う。クッソどうでもいい。何故なら、俺はどうすれば帰れる問題が発生したからだ。


「神様HELPME!!」



 川の近くにある小さい池。その周りに生える茂みの中には祠がある。1人の顔が黒い霧で覆われた男が、その祠に触れた。


 すると男は奥の闇へと消え、祠は光り、池にその光が降り注いだ。



「おお!!」


 体が光りだした。やっぱり困ったときは神頼みなんだな。でもここは結局どこなんだろう。まぁいっか。



「ここはどこなんだぁ!!」


 俺様は、俺と同じ顔の男に殺された。そして今、真っ暗な空間に立っている。


「これで全員揃ったね」


「!?」


 俺と同じ顔の男が現れた。奥にも顔は良く見えないが、俺と似た雰囲気の男が立っているようにも見える。


「俺達の役目は終わったんだよ。は最後の1人になるまでご苦労さん」


「どういう事だ!!」


「まぁまぁ。全員揃ったことでこの空間も壊れる。俺達があの2人の為に消えなきゃいけないのはなんか嫌だが、彼らのお陰で開放されたんだ。文句は言わないよ」


「だからどうゆう」


「俺達は開放されたんだって。悪役という役からね」


 そう男が言うと、この空間が壊れた。言っていることの意味が分からない。俺が悪役?何の事だ?


 そう考えていたら、意識が飛んだ。



「おい、おい、起きろよ!!」


 体を揺すられ目が覚める。試験勉強をしていて寝てしまったんだっけか。


「早く帰ろうぜ。もうすぐで雨が降りそうなんだ。あれ?どうかしたのか?」


「何か壮大な夢を見ていたような」


「ふーん。どんな夢だったんだ?」


「思い出せない」


「まぁ夢ってそんなもんだしな」


 話ながら学校から出る。本当に、雨が降りそうだった。


  『彼がトラックとご対面するまであと15分』


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