第9話 悪役と六角家(川の向こうに前世の俺が...ガクッ)
「知らない天井?」
起きると見知らぬ部屋に俺は寝ていた。この消毒液と機械の音、白を基本とした部屋は間違いなく病院だ。そして俺は病院のベッドに寝ているのか?
「そうだよ、橋雨」
「もしかして――――六角か?」
六角にしては変だ。元気が無くなんなら右腕も無い。左足も無かったら人体錬成したってわかるのに。でも何があったんだ?
「六角、言いたくなかったら言わないでいいんだがその腕どうした?」
「――――」
答えない。俺の記憶がたしかならメグの毒でやられた俺を六角が助けに来てそのあとに何かあったということか?まさか...。いや、それしかないな。
「俺を庇ったのか?」
「…………」
「正解ってことでいいな?」
「…………」
俺を助ける際にメグの攻撃を受けてしまったのだろう。メグ、か。一緒に買い物に行ったときの笑顔はなんだったんだ?公私分けるタイプ?だったのかも。
はは、なに言ってるんだろ俺。メグは俺を殺そうとしていたんだぞ。でもそれだけショックだったということか。タイプだったのにな。
「橋雨君、アオイ、少しいいかな?」
「「!?」」
沈黙状態の俺達の間に入ってきたのは六角に似た男だった。もしかしなくても父親かな?
「そのとうりさ」
こいつも心読んでくる。なんかムカつく。
「アオイから大体の事情は聞いている。まずは安心してほしい、我々六角家は君の味方だ。それにこの病院も家の物だ。だから安心して休んでほしい」
「はい。ありがとうございます」
六角家が味方についたか。六角、いやアオイが説得してくれたのかもな。でも匿うとそれは霧江家との対立に繋がるからさっさと回復させて出てけってのが本音かもな。
「橋雨君、アオイの腕の件なら心配要らない。義手が準備してある。それにアオイが自ら突っ込んだのだ。君が責任を感じる必要はない」
「さいでっか」
よかった。アオイの腕が俺のせいで無くなったと聞いた時からそこを心配していた。でもヤバかったのはアオイだけじゃないんだよなぁ。
「それではアオイ、私はこれで失礼するよ」
「はい、父上」
アオイの父親が退席する。この部屋のはベットに寝ている俺と椅子に座るアオイしかいない。
「なぁアオイ」
「なんですか?」
「ほんとありがとうな」
これは俺の心の底から出た言葉だ。アオイがいなければ死んでいたからな。メグはどうしようか。こうなったらもう消えてもらうしかないのだろうか。でも今の完治している訳でもない。
それに、俺の体の右側の動きが悪い。右腕は良く動くが、足が殆動きそうにない。毒の後遺症か?わかんねぇな。
「つーわけで俺右足が動かねぇんだわ」
「そ、そうなのですか。後遺症の心配はしていましたが右足ですか。でしたら父上に杖を用意してもらいましょうか」
「何から何まで悪いな」
「気にしないで下さい」
足は最悪念力で補助したら動かせるかもしれないな、わかんないけど。
「橋雨、今日はもう少し寝ていたほうがいいでしょう」
「そうだな」
たしかに眠い。
「なぁアオイ」
「どうしました?」
「敬語止やめて」
「はい」
寝よっ。
◇
「ここは?」
俺は病院のベッドで寝ていたはずだ。ここはどこだ?河原っぽいが。
「よう、霧江橋雨。始めましてって訳じゃないが自己紹介をしておこう。俺は■■■■■だ。いっちゃえば前世のお前だな」
「前世の俺かいな」
顔は黒い霧で覆われて見えないが、雰囲気や声は前世の俺だ。
「おい■■■■■!!勝手に初めてんじゃねぇよ!!」
新しい声の主は霧江橋雨だ。体全体が真っ黒な霧で覆われているが体の輪郭が綺麗に見えるから判断ができた。でも何のようだ?そもそもここどこよ。
「説明致しましょう。ここは霧江橋雨と俺、まぁ■■■の精神世界ってところかな」
「そうだ。俺の体を勝手に使いやがって。しかもお前は俺でもあるからキレる気にもならないじゃねぇか」
「なんかすまん。それで何の用なの?俺寝たいんだけど」
「残念ながら橋雨君は1度こちら側に近づいて俺達との繋がりができてしまったので寝たら強制的に俺達と会うことになりまぁす。残念でした!!」
「ふざけんなぁああああああ」
「さてと、俺と■■■が会いに来た理由を教えてやる。聞いて驚け。俺達が特別にお前に特訓をつけてやる!!」
「お、おう」
特訓?何すんの?
「俺の吸収は使いこなせているようだが念力のほうはまだ使いこなせてないだろう?」
「たしかにそうだな」
「そこで俺達が橋雨君に特訓をつけて念力を使いこなせるようにと考えたのだ!!」
「お、おおーー」
ありがてぇありがてぇ。そんじゃ特訓とやらを頑張りますか。
「あ、あとこっち側に渡ってくると死んじゃうからこの島でやるからね」
「先言えよ!!」
あっぶねぇ、渡っちまうところだったぜ。
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橋雨強化編開始です。
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