第8話 悪役と最後の晩餐?(やばい)

 家に帰るとメグが何故か沢山の夕食を用意していた。


「これは何で?」


「決闘祭に出場されるようなので気合をつけてもらおうかと」


「今日前日な訳じゃないけど?」


「まぁまぁ」


「まいっか」


 メグのご飯は美味しいから沢山あってもいっかぁ。食べ切れそうにない?安心しろ。メグは結構大食いだ。


「橋雨様。こちらをどうぞ」


「お茶?ああ消化促進のやつか」


「はい。どうぞ」


「せんきゅーせんきゅー。ごくごく。あれ?何か眠――――」



 あれ、ここはどこだ?たしかメグが沢山料理を作ってくれて?それでその後どうしたんだっけ?やばい「はてな」だけでなんも思い出せない。


「お目覚めですか?」


「メグ――――お前なんのつもりだ?」


「ご説明いたしましょう。簡単です、橋雨様にはここで死んでもらいます」


「ふぁ?」


 え?どゆこと?意味わからんのだけど。メグが俺を殺そうとしている?なぜ?


「どいゆうことだ?」


「あなたに話す必要はありません。私の能力は毒の生成。あなたの能力で打ち消すことはできません」


「え?詰みってことか?」


「正解です」


「てかそれって体液じゃね?」


「違います」


「体液じゃ「違います」


「体「違います」」


「た」


「又同じ事言ったらもう逝ってもらいますよ?」


「すいませんでした」


 こわーいこわい。でもなんでメグは俺を殺そうとしれいるんだ?もしかして当主(父親)が雇ったらしいから元から俺を殺そうとしていた?あり得るな。あの男は家の利益優先だからな。


「あの男は俺を元から殺すつもりだったな?どうせ俺の性格が変わって家に敵対するかもしれないとか思ってんだろ」


「ノーコメントです」


「正解ってことね。さて、メグ。俺1ついい忘れてることあるんだわ」


「なんでしょう」


「俺、能力2つあるんだわ」


「え?まさか」


「おーらよっと」


 メグの体が吹っ飛んだと思ったら止まり、その場でグルングルンと回転する。両手を拘束されているけれど念力は発動できる。念力つんよー。


「メグ、取引だ。俺の拘束を解くなら念力を解除してやる」


「……………」


「どうした?そのまま回転してたいのかな?」


「いいえ。私の勝ちです。さようなら」


「ま、まさか」


 メグの毒が空気中に飛散している。最初からこれが狙いだったようだ。これやばいか?


「ゲホッ」


「毒が効いてきたようですね。私があなたと過ごした時間は今までで一番楽しかったです。さようなら」


「なら助け――ゴホッ」


「もう喋らないほうがいいでしょう。すぐ楽になりますよ」


 クッソ。ここで終わるのか。折角前世に無い異能を手に入れて楽しめると思ったのに。メグとも仲良くなったと思ったのに。クソ、クソ、クソ、クソ!!誰か...助けて。


「はっはっはっはーお困りのようだな橋雨」


「なっ誰ですか!?」


「誰と聞かれて答える奴は居ないさ。橋雨は初めての友達だからな。死んだら悲しい」


 誰だ?まさか。そんな。ありえない。あのマントと眼帯。そして帽子。もしかしなくても彼女だ!!


「……六角?」


「はっはっはっはー正解さ我が友よ!!」


「なん、でだ?」


「偶然見つけたのさ。よし、来い」


 六角が俺をワープさせて手元に持ってくる。六角は上にいて毒を吸っていない。 まじ助かった。


「六角キヲツケロ。メグの毒が広がっている」


「橋雨大丈夫か?」


「毒が回っててな。それよりも早く逃げろ!!」


「任された」


「逃しませんよ?」


「うおおおお六角早く早く」


「2人いると転移に時間がかかるんだ。ちょいまちぃ」


「急いでくれーーああ来たぁ」


 メグはナイフを持っており、刃がテカっている。十中八九毒だろう。意識が朦朧としてきた。毒が回ってきたのだろう。六角後は任せ――――。


◇六角アオイ◇


「橋雨!?しっかりしろ!!」


 橋雨の意識が途切れてしまった。毒が回ってきたのだろう。メグとかいう名のメイドとの距離がどんどん短くなって来ている。このままだと追い付かれる。


 橋雨と私の2人での転移は時間がかかる。それにあのメイドから逃げつつとなるとさらにだ。


「うおっと」


「チッかわしましたか」


 危ない危ない。考え事をしていたらナイフが掠りそうになった。転移発動まであと1分もない。橋雨の呼吸が荒くなってきている。このままだと命に関わってしまう。急がな――――。


「考え事をしている暇はありませんよ?」


「はっ」


 メイドがすぐ横にいた。まずいっそっち側には橋雨が!!こうなりゃこうだ!!


「終わりです」


「そうわならんよ!!」


 私は咄嗟に手を伸ばしてメイドを突き飛ばす。


「っ痛!?」


 右腕が斬られている。でも右腕なんて橋雨の命に比べたら安いもんだ。彼は最初に出来た友達。友達を失うなんて絶対に嫌だ!!


「とりゃああああああ」


 転移が発動する。ナイフが目の前にくるが間一髪で間に合った。転移先は―――――――――。


「アオイ、その子はどうした!!血だらけじゃないか。それにその腕も。一体何があった!!」


「父上。彼には毒が」


 まずい。意識が朦朧としてきた。


「父上、申し訳ありませんが私と彼の手当を」


「当たり前だ!!セバス!!急ぎ救急車を!!」


「畏まりました」


「橋雨――――」


 橋雨の顔を見ながら、私の意識は暗闇へと落ちていった。


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