第246話 苦過ぎる敗北
シルファさんは少しだけズリ上がっていたスカートを両手で直していく。女性のこの直す仕草ってエロいよなぁ。
「素晴らしい魔法だね。見えにくくて速いし、威力も申し分無いよ。流石はエンヴァラ親衛隊副隊長だ」
「ありがとうございます。……見えにくいですか? ジョージ様はストームブレードの風の刃が見えたのですか!?」
驚いた声を上げるシルファさん。なんだ?
「あぁ、綺麗な緑色だね。四枚の風の刃だったよね」
「ストームブレードの風の刃は無色透明です。これは動かし様の無い事実です。本当に見えたのですか?」
動かし様の無い事実と言われてもなぁ。見えたものは見えたとしか言えないよ。
「こんな事で嘘は付かないよ。間違いなく四枚の薄い緑色だった」
「確かに私は四枚の風の刃をイメージしました……。どうやら本当みたいですね。何故なんでしょうか?」
「俺に聞かれてもわかるわけが無いよ。他人のストームブレードを見たのは初めてだし、自慢じゃ無いけど学生時代は劣等生だったからね」
「そのような謙遜をしなくても……。腐れ外道なら何かしらわかるかもしれませんが、既にエンヴァラに連行してしまいました。エンヴァラに着いたら確認してみましょう」
何故か謙遜したことになってしまった。劣等生だったのは本当の事なのに……。
それに腐れ外道ってライドさんの事か。兄に対して相変わらず手厳しいよな。
「それよりジョージ様、先程他人のストームブレードを見たのは初めてとおっしゃったのですが、もしかしてジョージ様はストームブレードを修得されておられるのですか?」
「一応、一度だけ発動させた事があるかな。今は封印しているけどね」
シルファさんはいきなり俺の右手を両手で包み込んで自分の顔に近づける。
「お願いします! どうかジョージ様のストームブレードを見せてください」
「俺はストームブレードはアイシクルアローと違って使い慣れていないから、この魔法射撃場を壊してしまう可能性があるから無理だよ」
「問題ありません。壊れたら直せば良いのです。ジョージ様のストームブレードが見れるのならばこの砦が全壊しても些末な事です」
何か見せる流れになっているよな。でもこのままお願いを聞くのはまずいんだよね。俺は最近自分は押しに弱い性格かなって思っている。俺がもし女性だったら土下座されたら先っぽを入れさせてしまう女性になっていたかもしれない。このままでは有象無象の女性の求愛行動に耐えられないかもしれない。そのため俺は必要とあらば
「いや、やっぱり止めておくよ。ストームブレードは封印するって一度決めたからね」
この世の終わりを迎えたような顔を見せるシルファさん。まるでこちらが悪いことをしてしまった気持ちになってくる……。
しかし負けん! 頑張れ! 俺は男の子! 今日こそはハッキリ否と言える
「見せていただけないでしょうか?」
「だから無理って言ってるでしょ。これ以上お願いはしないでね」
にべも無い俺の返答に下を向いてしまうシルファさん。
うん? シルファさんが俯いたまま、制服の胸のボタンを二つほど外し胸元をはだけさせる。目に飛び込む白い谷間。つい、漢の本能に従って凝視してしまう。
権威と規律の象徴である軍服。いわば軍人の精神的な強固な鎧だ。その強固の鎧から見える白い谷間……。淫美だ……。
そして胸元を開いたまま、シルファさんは正座をする。すらっとしたバランスの良い白い太ももの奥に鎮座する危険なデルタ地帯。短過ぎるスカートのため当然丸見えだが、スカートを履いている状態だと幸運を感じてしまう。そしてそれを見る事に背徳感を覚える……。
こ、これは既にヤバい。
軍服の効果を最大限利用して胸元の谷間を晒し、危険なデルタ地帯の見せ方も効果的に演出している。
そしてシルファさんは満を持して両手の拳を上げ始めた。
それを認識した時、俺は敗北を認めた。
「どうかご主人様のストームブレードを、
気がつくと俺はストームブレードの呪文を詠唱していた……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます