第245話 経歴はエリート

 どれ、シルファさんのお尻を見ながら魔法射撃場に向かうとするか。

 あれ? シルファさんがいつの間にかスカート履いてる? 上は先程までと同じ親衛隊の制服だが、下が親衛隊の制服のボトムスからスカートに変わっていた。それにしてもなんちゅう短さだ。股下ギリギリなんじゃないか。おまけにこれ生脚だよ。白い太ももがどうしても目を引いてしまう。これは健康的なエロさを醸し出している……。


 何も言うまい。言ったら負けだ。きっとこれはそういう勝負なんだろう。


 俺はスミレの笑顔を思い出しながら魔法射撃場に向かった。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 学生の時はショボい攻撃魔法しか使えなかったからなぁ。

 なんて言ったって初級魔法のファイアボールが俺の得意魔法だったもんな。中級魔法のファイアアローを使うと威力が弱くなっていたから使わなかったし。

 魔導団第三隊では魔法の研究と書類処理ばかりしていた。

 そう、魔法の研究・・・・・……。


 俺みたいな最底辺の魔導成績で栄えあるエクス帝国魔導団に入団できたのは学生時代にまとめた論文の【魔力ソナーの可能性について】のおかげだ。これがエクス帝国魔導団長であるサイファ・ミラゾールの目に留まり入団が決まった。

 そして仕事で魔法の研究をしていた。


 魔法についての論文でエクス帝国魔導団に入り、その中で魔法の研究をしていた俺は対外的に見れば魔法研究家のエリートの経歴だ。

 あくまでも経歴がエリートなだけだ。実際は学生時代は劣等生で、魔導団の魔導成績が最底辺だった俺……。

 しかし魔法の研究は嫌いじゃない。ただ、自分の魔法がショボ過ぎて実験が全くできなかったんだよね。誰かに頼もうにも友達いなかったし……。


 な、泣くもんか。今までできなかった魔法研究を思う存分楽しんでやる!


 よし! まずは呪文解析概論の魔法の属性について思い出すか。


 魔法の属性を大きく分けると基本属性の火・地・風・水の4つだ。それぞれに特徴がある。


★火・・・攻撃力は高い。範囲攻撃に適している。貫通力は高くない。


★地・・・地面が無いと魔力を大量に使う。基本は守り特化。


★風・・・見えにくく速い攻撃魔法。攻撃力は少し弱い。


★水・・・汎用性に優れている。直接の攻撃力は弱い。


★無・・・体内魔法の身体能力向上や体外魔法の魔力ソナーなど。


 そして基本があれば応用がある。魔法の4属性は発展系が存在している。


★炎・・・火の属性をより一層高めた属性。貫通力は高くない。


★岩・・・地属性の発展系。地属性を特化させた属性。やはり地面がないと魔力消費が半端ない。


★颯・・・疾風属性とも言われる。風属性より速く、攻撃力も上がっている。ドラゴンが纏っているのも颯属性の可能性がある。


★氷・・・水属性の発展系統。氷属性になると貫通力が高くなる。攻撃力も高い。しかし魔力を大量に消費する。


 基本属性の4つはエクス帝国高等学校で必修だった為、一応修得している。

 ここまでが初級、中級魔法だ。

 発展系の四属性が上級魔法に分類され、俺は水属性上位の氷属性であるアイシクルアローと、地属性上位の岩属性であるロックウォールを多用している。はやて属性のストームブレード試し撃ち程度だ。まぁストームブレードはあまりの殺戮力に封印しているけど。

 あんまりあっちこっち手を広げると咄嗟の時に呪文の詠唱を間違える場合があるから注意しないと。

 既にアイシクルアローの呪文は完璧。もうそろそろ違う魔法に手を出しても大丈夫な頃だよな。まずは魔法に長けている種族のエルフのエリートの魔法を見せてもらって参考にしようか。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 俺はシルファさんのお尻と白い太ももに導かれながら、魔法射撃場にやってきた。


「やっぱりエルフは風属性の魔法が得意なのかな? シルファのお姉さんのサイファ魔導団長も風属性の魔法の第一人者だったな」


「姉のサイファの最も得意な属性は風属性の上位属性であるはやて属性になります。私も同じく得意な属性ははやて属性です。早速、披露させていただきます」


 シルファさんは足を肩幅より少し広げて、所定の位置に立つ。足を広げたせいで、股下ギリギリだったスカートが少しだけ・・・・ずり上がり魅惑の三角形が少しだけ・・・・俺の目に飛び込んでくる。


 綺麗で上品な容姿のシルファさんが、下品でエロい事をする。それも上半身は上品、下半身が下品……。

 全裸正座猫耳謝罪のキモは真剣な場である謝罪の場と阿保らし過ぎる猫耳の隔たりだ。今の状況は正にそれの応用……。シルファさんは間違いなく狙ってやっている。これはツッコんだら負けだ。しかし魅惑の三角形にはツッコみたい・・・・・・


 シルファさんは魅惑の三角形を晒しながら、魔法射撃場の的を見据える。そして流麗りゅうれい調しらべの詠唱をつむぐ。


【疾走するはやて、無慈悲に斬り裂く刃となれ、ストームブレード!】


 不可視の風の刃が的に向かっていく。いや良く見ると四枚の薄く緑色がかった風の刃だな。


【スパーン!!】


 おぉ! 的確に的を切り裂いたな。風の刃はそれぞれ縦、横、右斜め、左斜めに角度をつけていた。的は綺麗に八分割されている。

 俺は魔道具の記録表示を確認した。


詠唱速度 B

魔法精度 B +

魔法威力 7,536


 風属性と颯属性は攻撃力が少し弱いとされているが、この記録はなかなかなもんだ。

 見えにくい風の刃で尚且つ速い。やっぱりこれは相当避けにくいよな。

 それにしてもストームブレードの風の刃は不可視だと思っていたが、薄い緑色なんだな。

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