第154話 ラブレターって都市伝説だよね?
早速、エロエロライバーさんに会うためにエクス帝国騎士団本部を訪れる。
今日は俺一人だ。
スミレは一人でドラゴン討伐に行ってしまった。守る人がいなければスミレは一人でドラゴン討伐が余裕になっている。
ただ、まだ引率まではできない。
スミレは接近戦をしないとダメだから、ドラゴンが火の玉をあちこちに吐くからなぁ。
それにしてもスミレはどこまでレベルを上げるつもりなんだろ?
エロエロライバーさんは騎士団本部の団長室にいた。
「おぉ! これはこれは今をときめくドラゴン伯爵じゃないか。どうした? こんなむさ苦しい騎士団本部に?」
確かに騎士団は男ばかりだからな。好き好んで来るところではない。
「エロエロさん。あ、違ったライバーさん。頼みがあるですよ」
「お前なぁ……。俺の事を心の中でエロエロと呼んでいるのか。確かにエロエロだけどな。で、どんな頼みだ?」
さすが騎士団長。俺のジャブを軽くいなす。
「年が明けたらエルフの里に行くんですけど、その前触れの使者を騎士団の誰かに頼めないかと思いましてね。魔導団より騎士団のほうが体力がありますので」
「なるほど、馬車だと往復で2ヶ月はかかるな。馬に乗ればもう少し早くなるが体力は必要か。ジョージには騎士団のレベルアップで世話になっているからな。了解だ。二人組を見繕っておくわ。いつまで揃えれば良い?」
「できれば明日、いや明後日までにお願いできますか?」
「なるほど、軍隊を舐めるなよ。ジョージがいた魔導団第三隊と一緒にするな。急な出発に対応できないのは軍人じゃない。明朝7時にグラコート伯爵邸に騎士団二人を行かせる。そのままエルフの里に急行されるからな」
おぉ!! 何かカッコいいわ!
「ありがとうございます。お言葉に甘えさせてもらいます。お金の負担はどうしましょうか?」
「いらんわ! ベルク宰相から騎士団長に就任した時に言われているんだ。ジョージ・グラコート伯爵にはできる限り
こんなところにもベルク宰相の気遣いが及んでいるとわ。
お父さん素敵です。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
12月5日【白の日】
朝の7時ちょうどに来客を知らせる鐘が鳴った。
さすが騎士団。時間に正確だな。
客間に案内しようとしたが旅装を解くのが大変だからと固辞された。
玄関ホールで改めて自己紹介をする。
「エクス帝国騎士団第一隊所属ギュンター・カスケードです。横にいるのがボード・サバットです」
今回エルフの里に前触れに行ってくれるのはエクス帝国騎士団第一隊のギュンターさんとボードさん。
二人とも修練のダンジョンの引率で一緒になったなぁ。
まぁどちらも騎士団のエリートなんだろうな。
ライドさんが一歩前に出てギュンターさんの手を握る。
「この度はありがとうございます。エルフの里のライドと申します。こちらに長老に宛てた手紙を用意しました。門番にはこのペンダントを見せてください。どうしてもエクスの里の人達は閉鎖的ですから、いきなり行っても応対が酷い事になります」
「了解致しました。確かに預かりました。今回は速さよりも確実性が求められると思いますので、ゆっくりと確実に任務を遂行いたします」
ギュンターさんはしっかりしているな。これなら問題無くエルフの里に前触れを伝える事ができるね。
「それでは失礼致します。ボード行くぞ!」
ギュンターさんは手紙とペンダントを受け取るとすぐにエルフの里に向けて出発をした。
結構、慌ただしい人だなぁ。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
修練のダンジョンに行く前に、エクス城のベルク宰相に手紙を書こう。アリス皇女を外に連れ出す件で日程調整しないとね。
スミレの申し出を考えれば前日の日は眠れない。徹夜で行く事になるよな。その夜も連チャンでスミレを可愛がらないと……。
やっぱり休みの前の日だよね。
よし、【白の日】しかない。少しくらいの無茶も次の日休みだもんな。最悪、週明けの青の日の午前中も休みにしちゃえば良いしね。
手紙を書き終え、ザインにエクス城のベルク宰相まで届けるように指示した。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
いつものように午前にスミレとのドラゴン討伐、午後にエクス軍のレベル上げをして夕方に帰宅するとエクス城から二通の手紙が届いていた。
一通はベルク宰相から。
なかなか達筆だな。字には性格が出るからなぁ。
内容は? ふむふむ。
アリス皇女の件の日程を了承した事、アリス皇女が普通に部屋から外に出れるようになる事がエクス帝国にとってとても重要のため、くれぐれもよろしく頼むか。
そしてもう一通……。アリス皇女からだ。
こちらは可愛らしい字だ。便箋も淡い桃色。軽く香水がかけられている。
これは既に恋文? いわゆるラブレターでは無いのか?
もらった事ないから想像だけどな。
どれ内容は……。
現在、皇帝陛下に即位するための準備に追われている。心が折れそうだが、俺と会える【白の日】を楽しみに頑張りますか。
そして手紙の最後には赤いキスマークが押されていた……。
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