第134話 ハイドンの再来

 エルバド共和国の外交官のラバルさんが帰った後に、俺はエクス城に向かった。

 ベルク宰相に報告しないとね。


 ベルク宰相はいつもどおり執務室にいた。

 俺の報告を聞くなり、難しい顔をする。

 俺、何か失敗したかな? スミレの同席はなかったし、安易に騙されて会っちゃったしな。


「俺、何か失敗しましたか安易な言質を与えないようにしたのですが……」


「いや、ジョージさんは良い対応をしてくれたと思っています。エルバド共和国の今後の動きを考えていたのですよ。ジョージさんを取り込もうとしているのは理解できますよね」


 まぁそうだね。あからさまだったもんな。


「ジョージさんを取り込む事の利益はジョージさん自身の戦闘力があります。後はドラゴンの魔石ですか。その次が軍隊の実力の底上げの3つです」


 この辺までは分かるな。


「エルバド共和国がどこまでその利益を欲しているのかを見極めないといけません。ジョージさんの戦闘力だけならジョージさんだけにアプローチするだけです。しかしドラゴンの魔石と軍隊の底上げまで欲するとなると話が変わってきます」


 あ、なるほどね。どちらも修練のダンジョンが必要だ。


「分かったようですね。ドラゴンの魔石と軍隊の底上げまで欲するとなると距離の関係から帝都が必要になってくるのです。力で取ってくるのか、外交力で取ってくるのか。どちらにしろ軋轢が生じますね」


 今度は正式なルートで来るって言っていたな。


「まぁ、最悪は全面戦争ですけど、ジョージさんがいれば勝てるでしょう。そこは安心していますから」


 絶対的な信頼って恐ろしい!!

 エルバド共和国って他の大陸と交易していて、凄い魔道具とかもあるって聞いていたけど大丈夫かな?


「あの……。本当にエルバド共和国に勝てますかね」


「ハハハハハ! ジョージさんは自分の実力を過小評価しすぎです。スミレさんがジョージさんを守った状態で、ジョージさんがアイシクルアローを撃てば、どんな軍隊でも敵無しですな」


 確かにスミレに守ってもらうなら安心だ。


「まぁ、エルバド共和国まで往復でも二ヶ月はかかります。公式の使者が来てから考えましょうか。ジョージさん、このような報告ありがとうございます。とても大事な事ですので、今後もよろしくお願いしますね」


 おぉ! 褒められた。

 今日はベルク宰相に褒められたご褒美にスミレに甘えちゃおう!


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 その夜寝室でベルク宰相に褒められたから、ご褒美に俺を甘やかしてくれ!とスミレに言ったら呆れられた。

 俺を見て一つため息をついたスミレは、スイッチを入れ直す。 

 あ、これは妖艶なスミレだ。


 俺を挑発するように寝間着をゆっくりと脱いでいく。

 ハイドンで俺を骨抜きにしたスミレの降臨!

 神々しいまでの白い肌。吸い込まれていく瞳。情熱的なキス。

 脳内が蕩けてくる。

 背中に電気が走る感覚。

 あぁ……。堕ちていく……。


 なんだかんだ言ったところで、俺を甘やかしてくれるスミレは最高だ!!

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