第131話 姿絵!?
10月25日〜29日
毎日、毎日、毎日。ドラゴンにアイシクルアローを撃ち込む毎日。
さすがに飽きてくるなぁ。でも揺れる胸には飽きないなぁ。
そういえばカタスさんと妹のエルが婚約した。
エルはエクス帝国に忠誠を誓いエクス帝国魔導団に入団してしまった。
そんな事は可能なのかと思ったが、どうやら来年のアリスさんの皇帝即位に合わせて犯罪者に恩赦を与える予定だったようだ。
エルは優秀な魔導師のため、早期に訓練を行いたいとサイファ団長は考えたみたい。
それが恩赦の前倒しである。
エルを取り込む事でカタスさんもエクス帝国に固い忠誠を誓うとの思惑があったようだ。
カタスさんもエリートだったからな。閑職で遊ばせておくのはな。
カタスさんは
「この度はジョージさんの妹であるエル・サライドールと婚約する事になりました。今回はそのご報告に参りました」
「なんだいカタスさん。そんな堅苦しい挨拶なんか良いから。一緒にロード王国に行った仲じゃないですか。言ってみれば戦友みたいなもんですよ」
横のエルは少し不機嫌そうだ。
まだ俺との
「エルも良かったな。カタスさんならすぐに魔導団のエリートコースに復帰するよ。良い相手と婚約ができておめでとう」
仏頂面だったエルの顔が少しニヤけた。
コイツわかりやすいタイプだな。
あ、俺もそうか……。
血の繋がりとは怖いな。
客室に場所を変えて話をする。
結婚式は来年、喪が明けてからおこなう。カタスさんは魔導団第三隊から第一隊に復帰する事。エルは来年の恩赦確定まで魔導団第一隊の預かり扱いだそうだ。
来年以降はエルと修練のダンジョンに潜るかもしれないな。
そう思いながらカタスさんとエルを見る。
二人共笑顔だ。
幸せそうなカタスさんとエルを見て嬉しくなった。
二人にも温かい家庭を作ってもらいたいな。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
10月30日【無の日】
午前中はいつもと同じくダンスレッスン。
だいぶ上手くなったような気がする。これならパーティでダンスをしても恥にはならないだろう。
何と今日はベルク宰相から呼び出しを受けている。
何かしたかな?
エクス城のベルク宰相の執務室に入ると少し怖い顔をしているベルク宰相がいた。
「何かご用でしょうか? できる事でしたら何でも致しますよ」
「ジョージさんに確認を取りたい事があるんです。アリス皇女に何かしましたか?」
何かってなんだろう?
「先週の無の日に会いましたね。雑談したくらいです。あ、エクス城の中庭までエスコートさせてもらいました」
「それか! それが原因ですね」
「何かあったのですか?」
「アリス皇女がジョージさんに修練のダンジョンに連れて行って欲しいと言っているんです。ダンジョンでレベルアップすれば少しは強くなれますが、訓練をしないと意味がないでしょう?」
確かにレベルを上げると身体は強くなるが、上げなくても生活には困らない。俺はずっとレベル1だったしな。
帝都では修練のダンジョンが見つかるまではレベルアップをするために白亜のダンジョンを使うのが一般的だった。ただ修練のダンジョンと比べるとレベルアップ効率が段違いに悪い。そのため、皇家の人達などのレベルアップの話は議題にすらならなかった。
しかし修練のダンジョンでレベルアップすればどうなる?
要人にはある程度のレベルアップをしておいたほうが安全ではないのかな?
どうなんだろ?
「実際、どうしたら良いですか? 俺は別に連れて行っても良いですけど」
「アリス皇女の部屋にはジョージさんの姿絵があるんですよ。目が恋する乙女です。これについてはどう思いますか?」
「は、俺の姿絵って何ですか! 何でそんなもんが存在しているんですか!」
「ジョージさんは知らないのですか? 君はエクス帝国の英雄なんですよ。ドラゴン
知らなかった。そんな事になっているとは……。俺の姿絵って売れるんだ。
「それよりアリス皇女をどうするつもりですか? 婚姻したいのなら、ジョージさんが私の養子になれば何とかなりますけど。そんな事は望んでいないでしょう?」
「アリス皇女は私の事は憧れで見ているだけですよ。恋心とは違うんじゃないですか? 別に俺からは何もしませんよね」
「わかりました。そういう事にしておきます。ただアリス皇女が外の世界に踏み出そうとしている事は喜ばしい事ですね。例えその行き先が修練のダンジョンであろうとも。よし、アリス皇女を修練のダンジョンに連れて行ってください。任せましたよ」
「それより皇配の話はどうなっているのですか?」
「アリス皇女は全然興味を示さなくて。今はまだ時間を置いているところです。ジョージさんが立候補してくれたら楽なんですけどね」
マジで困るんだけど……。
おまけに俺は子供ができないかもしれないしな。最悪、皇統が途切れちゃうよ。
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