第28話 我武者羅なオーガ殺戮計画


魔導団第一隊修練部26日目。

 朝の8時に修練のダンジョンに行くとダンジョンの入り口の詰所の工事をしていた。早速、仮眠ができる施設に変えてくれるようだ。

 その近くにスミレさんが既に待っている。

 今日も胸部装備がない。今から楽しみだ。

 ニヤけそうな顔を引き締めて真剣な声を出す。


「これからドラゴンを討伐するまでに少し無茶をしたいと思います。討伐成功確率を上げるために今以上のレベルアップを図ります。俺が考えている方法は気力的にキツいと思いますが、スミレさんは付いてきてもらえますか?」


「もちろんやるに決まっているだろ。なんだ少しの無茶で良いのか?」


 挑戦的に微笑するスミレさん。

 あぁ、こんな顔も素敵です……。


「修練のダンジョンのオーガのモンスターハウスは、約2時間で復活します。そのモンスターハウスを24時間で12回全滅を目指します。日中はモンスターハウスが復活する迄は地下3階でオーガを倒して行きます。夜は仮眠を取りながらモンスターハウスの復活を待ちます。仮眠は現在工事してくれている詰所併設の仮眠室か、ダンジョンの階段内と考えています。数日に一度は家に帰って入浴と着替えをする時間を取る予定です」


「長期の合宿だな。ドラゴンスレイヤーの称号はそれくらいしないと得られないものだろう。いくらでもやってやるよ」


「では早速行きますか。せっかくですからオーガの魔石で一財産を作りましょうか。あとはやりながらペースを変えていきましょう」


 俺とスミレさんは修練のダンジョンに入場した。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 オーガのモンスターハウスは平均して20体のオーガが出現する。

 またモンスターハウスが復活するまでにダンジョン内でオーガをサーチ&デストロイすると2時間で20体程倒せる。

 単純計算で24時間で480体倒せる事になる。

 モンスターハウスだけは全滅させながら仮眠を6時間取ると計算すると420体。

 魔石の運搬のロスを考えると400体くらいになるかな。

 まずはやってみてからだな。


 朝の8時に修練のダンジョンに入ってオーガのモンスターハウスに直行した。

 ヤル気に溢れているスミレさんが全ての魔物を屠っている。

 俺はスミレさんの揺れる胸を見て、違うヤル気がたぎっている。

 最初のモンスターハウスはスミレさんが全滅をさせた。俺のリュックサックに全ての魔石を入れる。その後は俺の魔力ソナーでオーガを探した。


 スミレさんはオーガの攻撃を軽やかなステップで躱し斬り伏せる。

 爛々と輝く目をしたスミレさん。

 りんりんと鳴く【雪花】。

 ギンギンの下半身の俺。

 ヤバいな魔石を詰所に預けに行く時にトイレで自己処理しないとダメだ。胸部装備を外したスミレさんの戦闘は煽情せんじょう的過ぎるわ。


 ちょうどモンスターハウスの復活する時間に俺のリュックサックが魔石でいっぱいになった。

 10時にもう一度オーガのモンスターハウスを全滅させて、魔石はスミレさんのリュックに詰める。一度ダンジョン外の詰所に魔石を預けに行く。

 ついでに俺は先程までの映像をオカズに詰所のトイレで自家発電だ。


 モンスターハウスが復活するまでの2時間は魔力ソナーでオーガを探す。ダンジョン内のオーガの居場所が全てわかる。一番効率の良い進み方を考えて進む。

 スミレさんが【雪花】を振れば、正に鎧袖がいしゅう一触いっしょく。オーガが輪切りになっていく。


 俺はスミレさんのお尻を見ながら走り、次に向かう場所を指示する。

 揺れる胸を凝視し、オーガが魔石になるのを待つ。魔石を拾って、また次のオーガの場所を指示する。

 正に大車輪の活躍だ。

 12時頃にモンスターハウスの復活があり、スミレさんが倒す。ここで俺のリュックサックがいっぱいになる。


 選手交代。ここから俺がオーガを倒していく。

 次からは魔石拾いをスミレさんが担当だ。

 俺はリュックサックがいっぱいでも戦闘には支障が無いからね。

 最近はアイシクルアローでオーガの眼球に当てると、威力が強くてオーガの頭が吹き飛ぶ。軽いスプラッターだ。

 まぁ楽勝なのは変わらない。

 午後の2時にモンスターハウスでオーガの大群を全滅させてスミレさんのリュックサックもいっぱいになる。


 ダンジョン外の詰所に魔石を預け、魔導団本部から届いたお弁当を食べた。

 食事は全て魔導団が用意してくれる事になっている。ドラゴン討伐の全面的なバックアップだ。

 俺もスミレさんも魔導団所属の軍人のため、食事時間は短い。正味15分くらいか。すぐにダンジョンに戻る。


 4時間でワンクール。

 夜の10時にいっぱいになったリュックサックを持って詰所に戻ってきた。

 まずは食事をして、そのまま夜中の0時まで仮眠を取る。


 0時になった。

 ダンジョンに入り、モンスターハウスに直行する。

 全滅させたら地下2階と地下3階を繋ぐ階段に行きモンスターハウスが復活するまで仮眠を取る。

 それを朝の6時まで続けるとリュックサックがいっぱいになる。

 詰所に戻り魔石を預けて朝ごはん。

 そしてまたダンジョンに戻る。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


魔導団第一隊修練部27〜30日目。

 ただ我武者羅がむしゃらにオーガを討伐しまくった。

 1日平均400体を倒す事に成功している。今週5日間で2,000体のオーガ討伐だ。

 魔石の換金額だけで2,000万バルト。1人1,000万バルトにもなった

 そしてダンジョンでの戦闘の余韻を残しながら伯爵陞爵の日を迎えた。

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