魔導団修練部活動編
第14話 修練部の活動開始
魔導団第一隊修練部1日目。
今日から5月である。
若葉の眩しい季節になったな。
俺の役職の正式名が決まった。エクス魔導団第一隊修練部長である。
今日から魔導団と騎士団の人と2人パーティを組んで修練のダンジョンの地下3階に行く事になる。
ちなみに修練のダンジョンとは東の新ダンジョンの仮の名前だ。
修練のダンジョンは一般に開放をせず、国専用の軍隊が修練をするダンジョンに本決定になった。
修練のダンジョンは2人までしか入れないし、地下1階と地下2階では収益が悪い。
地下3階に降りれば破壊の権化のオーガに蹂躙される。
一般に開放しても不人気ダンジョンにしかならないと予想されたのも国専用とした理由だ。
俺の1日の仕事のスケジュールは午前中は修練のダンジョン。午後はスミレさんと近接戦闘の訓練となった。
スミレさんは午前中に体外魔法の訓練をするそうだ。
ダンジョンに連れて行く人員は、今週と来週は騎士団第一隊から選抜されている。
騎士団第一隊は対外的な脅威に対応する。簡単にいえば戦争が管轄になる。そのため早めに能力向上をしたいと皇帝陛下から言われたようだ。
ただし政治的な判断で他国侵略の戦争推進派は避けられている。自国防衛の方に意識が高い人が選ばれているようだ。
ここで俺が騎士団第一隊に顔を売れば、午後からの近接戦闘の訓練にも付き合ってもらえそうだ。頑張って、愛想を良く応対しよう。
愛想を振りまくのは
朝の8時に修練のダンジョンの前で待ち合わせだ。
すでに若い男性騎士が待っていた。
「エクス騎士団第一隊所属のライバーです! 今日はよろしくお願いします!」
「エクス魔導団第一隊所属のジョージです。こちらこそよろしくお願いします」
とてもハキハキしている男性だ。第一印象はとても良い。
「それでは行きましょう。ライバーさんは基本的には俺の後ろについて来てください。魔石は拾ってリュックサックに入れて行きましょう。索敵と討伐は俺がやります。道は覚えてますので安心してください。では行きましょう」
修練のダンジョンには俺を先頭に入った。
魔力循環をしながら魔力ソナーを広げる。
最近は併用しても問題がなくなっているな。やっぱり慣れだよね。
軽く走りながらコボルトを剣で倒していく。魔力循環で身体能力向上をしているため楽勝だ。騎士のライバーさんも身体能力向上を使用しているため、俺に簡単についてくる。
地下2階もゴブリンを倒しながら進んでいく。
地下3階に続く階段についた。ここまでは問題がない。
「ジョージさんは本当に魔導師なんですか? 剣術と身体能力向上のレベルが尋常じゃないんですけど……」
「一応魔導師だと思います。得意なのは魔力ソナーと魔法のファイアアローですから」
「そ、そうなんですか……」
「それでは地下3階に行きますね。オーガが出ますが安心してくださいね」
効率的にオーガを倒す為にはオーガのモンスターハウスを目指すのが良い。
真っ直ぐモンスターハウスを目指す。
途中でオーガと3回遭遇したがファイアアローで瞬殺した。ライバーさんは驚愕の目をする。
オーガのモンスターハウスに着いた。
何の
すぐに詠唱をする。
【火の変化、千変万化たる身を矢にして
30本の火の矢がオーガの眼球に刺さっていく。眼球に射線が通って無かったオーガは生き残っている。
すかさず2発目のファイアアローを放った。
オールクリア!
呆然としているライバーさん。
オーガは大きな魔石に変わっていく。
「ライバーさん! 魔石を拾って、次に行きましょう!」
ハッと正気に戻り慌てて魔石を拾うライバーさん。
全てを拾うと俺はすぐに行動を開始する。魔力ソナーを広げる。
「あちらのほうにオーガが2体います。早く行きますよ」
俺はモンスターハウスを出て魔力反応があった場所まで走っていく。後ろを見るとライバーさんも追いかけてくる。
【火の変化、千変万化たる身を矢にして
オーガの姿が見えたら瞬殺。
魔石を拾いながら魔力ソナーを広げる。
「次は右方向です。走りますよ」
モンスターハウスのオーガが復帰するまでサーチ&デストロイを続ける。なかなか良いペースだ。
ライバーさんもしっかりと魔石を拾ってくれている。
2時間くらい経ったところでモンスターハウスのオーガの魔力反応を感じた。
「モンスターハウスのオーガが復帰しました。向かいましょう」
早速、モンスターハウスに入って瞬殺する。
魔石を拾い終わったところでリュックがいっぱいになった。
「一度ダンジョンを出て詰所に魔石を預けに行きましょう」
頷くライバーさん。もう驚愕の顔は見せていない。
詰所に魔石を預けてもう一度ダンジョンに入る。
もう一度モンスターハウスのオーガが湧くまでサーチ&デストロイを行う。
昼近くなってモンスターハウスのオーガが復帰した。
「さぁもう少しで終わりですよ。頑張りましょう」
ライバーさんに声をかけてモンスターハウスに突入する。
30本のファイアアローと5本のファイアアローで全滅させた。
魔石を拾ったところでライバーさんから声をかけられた。
「ジョージさんには驚かされました。こんなに強い人は初めてみました。モンスターハウスでの30本のファイアアローは最高でしたよ!」
褒められてしまった。やっぱり嬉しいね。
「ありがとうございます。そう言ってもらうと嬉しいですね。あとはダンジョンを出るだけです。最後まで気をつけて行きましょう」
ダンジョンの外に出ると冒険者ギルドの職員が待っていた。これから毎日12時過ぎに魔石の運搬を頼んでいる。
これだけの魔石を納品するのはお得意様だからね。
冒険者ギルドで魔石の納品を行った。
ライバーさんはレベルが上がった事も嬉しいが魔石納品の臨時収入も嬉しいみたい。ライバーさんは家庭を持っており、お小遣い制でなかなか自分が使えるお金が少ないそうだ。
う〜ん。妻帯者も大変かもしれない。俺の嫁(予定)は財布の紐が堅いかな?
せっかくなのでライバーさんと冒険者ギルドの食堂で昼食を食べる。
「今日は
なるほど。ずっと走りっぱなしだったな。魔導団の人は大丈夫かな? でも魔導団の第一隊と第二隊の人ならある程度の体内魔法も使えるだろうな。
「そういえば騎士団の人って侵略戦争推進派はどのくらいの割り合いでいるのですか?」
「確かにゴリゴリの侵略戦争推進派もいるけど、そんな人は一部の人だけだよ。ただ実家が侵略戦争推進派の場合もあるからね。侵略戦争って結局、戦功を立てるチャンスだからね。出世欲があると戦功は欲しいよね。平和だと明確な功はあげにくいから」
難しいんだな。政治や出世の世界は分からないや。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
午後からはスミレさんとの近接戦闘訓練だ。騎士団第一隊の訓練に混ぜてもらう予定だ。
午後からの途中参加のためにまずは個人訓練だ。体内魔法の身体能力向上を常時使う。
最初に全身金属鎧での走り込みを1時間。その後は剣術の型の素振りをする。
スミレさんが俺に変なクセが付いてないか確認してくれる。しっかりと集中して素振りをしていく。
ここまでが準備運動だ。これからは騎士団第一隊の模擬戦に混ぜてもらう事になる。
この間、休みの朝の俺の宿舎に来た隊員と冒険者ギルドで絡まれた3人の隊員は、騎士団第二隊員所属だったようだ。取り敢えず第一隊にはいなくて良かった。
騎士団第一隊と模擬戦を行うのは2回目だ。
レベルアップの影響もあるのか、前回より余裕を持って相手ができる。
やっぱりダンジョンでの討伐の恩恵ってデカいな。これもオーガ様々です。
前回は模擬戦の後はヘトヘトになったが今回は体力に余裕がある。ここから俺だけの特別訓練だ。
剣で多人数を相手にしながらファイアアローを撃つ訓練。
これも前回よりファイアアローの使い方が上手くなってきている。接近戦闘中でもファイアアローの詠唱を余裕で出来、火の矢の制御も15本は楽にできるようになっていた。
なかなか充実した1日だった。
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