第24話 学園編?
カエル革の需要が落ち着いてきたころ、私は8歳になっていた。
この街では8歳から10歳の子供達は学校に通う。
学校では読み書きから、簡単な算数や歴史などを習う。
それと基本的な魔法もこのとき習う。
それなりに魔力制御が難しいのと、魔法で怪我などをされても困るので学校で教えるようになったみたい。
家庭の事情で生活魔法までは使える子もいるけど、属性魔法の専門的なことは学校に入ってから学ぶようだ。
診療所に来てた子達も11歳から14歳達で、冒険者は難しけど、診療所では働けるかもとやって来た子達だ。
その子達が成長して、私は診療所の仕事はしなくなっていた。
採取の依頼を受けてれば、私は生活できるからね。
キャシーさんには学校に通わないかと言われたが、今更学校に通うメリットがないので断っていた。
確かに、学校の同級生でそのまま冒険者のパーティーを組むことが多いのでそれ目当ても考えなくも無かったが、私の能力は他とパーティーが組みづらいので、暫くはソロで活動かなと思っていた。
読み書きは6歳迄に覚えたし、計算は前世の知識で習う必要がない。
歴史はハッキリ言って興味がない…。
今更鬼畜王や馬鹿男爵のことなど知る必要を感じないのだ。
他の国の情勢や関わりなどは、冒険者をしていると自ずと聞こえてくるし街から出なければ関係もない。
魔法は興味があるが、基礎的なことしか教えてないようなので必要ないし、カエル狩りの後、エリーさんから生活魔法のことを色々聞いているので、私は今まで通りで問題ないと思っている。
今日もそんな訳で、エリーさんと魔法談義をしているところだ。
生活魔法の手当ての魔法が無くなった経緯は、アホ教国が原因らしい。
誰もが回復魔法を使えるのが、気に食わなかったようだ。
アホ教国の教えと共に廃れていった魔法なんだけど、そんなのはエルフにとって関係ないが、エルフは全ての魔法が使えるので、手当ての魔法は最初から忘れられていたようだ。
そんな廃れていった魔法何かをエリーさんに教えてもらっていたのだが。
「センちゃんは学校には通わないの?
勉学だけが、学校に通う目的でもないのだけどね。
それにセンちゃんの為にも、良くないわね。」
「それは分かっているつもりですが、私の場合は生活もしなければいけませんから…。
学校に行くとどうしても収入が無くなってしまいます。」
「そうなのよね、センちゃんは既に自立してお金を稼いでいるのよね。
どうしようかしら?
もしセンちゃんさえ良ければ、うちに住み込みで働きに来る?
一応、行儀見習いってことで雇うからメイドさんみたいなこともしてもらうけど、暇なときは私が魔法を、教えてあげられるわ。」
「私にとっては有難いお話なんですけど、良いのですか?
エリーさんにご迷惑が掛かると思いますが。」
「私は構わないわよ。
それにセンちゃんの為にもなるしね。
センちゃんも多分、こっち側の人だと思うから若いうちに行儀見習いの勉強もしといたほうが良いと思うわよ。」
エリーさんは私の格が上がって寿命が伸びてるのが分かってるのかな?
確かに長いこと生きてると、権力者の近くにいたほうが話が早くて良いかもだけど。
束縛されたくはないよね…。
まだまだ、冒険したいお年頃なんです。
「そんなに警戒しなくても大丈夫よ。
無理強いするつもりは無いのよ、ただ、行儀見習いは若いうちに覚えたほうが身につきやすいからね。
歳をとると癖も抜けにくいから、早めに矯正したほうが楽よ。」
流石エリーさん…、コチラのことは全てお見通しのようだ。
「はははっ、バレてました?
確かにまだ、冒険したいなとは思っていますが、成人するまでは時間がありますからね。
此方こそ宜しくお願いします。」
「そうね、今は色々と勉強したほうが良いわ。
此方こそ宜しくね、センちゃん。」
それから私は1年間過ごした宿を引き払った。
宿と言っても6畳のワンルームで、食事、風呂、台所無しの共同のスライム式トイレがあるだけのアパートみたいな作りになっている。
その分、月銀貨5枚で借りられるので安上がりで長期滞在に向いている宿だ。
この世界の人は魔法があるから、お風呂の文化がないんだよね。
掃除も楽だし、食事は基本外食だよね、冒険者は。
キャシーさんにも暫く冒険者の仕事をお休みすることを説明しておいた。
報告して何だが、キャシーさんには喜ばれた。
私が、学校に行かないのを気にしていたようだ。
学校にも行かず、冒険者の依頼をこなしていくことに、多少の不安があったみたい。
ただ、学校に行っても浮くことになるだろうとは思ってたみたいだけど。
それをエリーさんに、面倒を見てもらえるならと安心したみたい。
ただ、たまには依頼を受けに来るからと言っておいた。
私は果物が食べたいのだよ。
それから私は指定された屋敷に向かった。
屋敷はやはりと言うか、この街の貴族街にあるお屋敷だ。
正確にはこの街に貴族は居ないが、代官の屋敷はある。
その周辺にエルフやこの街が出来た当初から生活している人達が暮らしている区域だ。
この地区に住んでいる人達は、代官の私兵の人達みたい。
エリーさんもそのうちの1人なんだとか、バカの街にいたのも仕事で偵察に来ていたようだ。
そのお陰で私は、この街に来れたので良かったのだが、大変なお仕事だ。
エリーさんも人手が足りないときは代官屋敷で、侍女として働くそうだ。
ただ、私をいきなり代官屋敷で働かせるわけには行かないので、最初はエリーさんの家で教えてもらうことになっている。
1番奥に代官屋敷が見えているが、その手前の向かって左の屋敷が指定された場所だ。
こう言うのって領主の屋敷に近いほど偉いとかあったよね?
もしかしてエリーさんってこの街のエルフの中でも相当偉いのでは?
屋敷の前にいる獣人の門番に挨拶する。
「エリーさんに紹介されて来ました、センと言います。
エリーさんはいらっしゃいますか?」
「ようこそ、エリーさんからは話は聞いてるよ。
此処はそんなに煩く言われることはない場所だから気楽にしてくれ。
案内はしないけど、屋敷に1人メイドがいるからそいつに従ってくれ。」
「ありがとうございます。
今後とも宜しくお願いします。」
私は門から屋敷に向かって続く石畳を歩いてゆく。
門から屋敷までソコソコ距離がある。
普通は馬車で通る道なんだろうね、距離にしたら数百メートルはあると思う。
屋敷の玄関に着き、ドアに付いているノッカーを鳴らす。
「はーいにゃ。」
と、中から声が聞こえてカチャリとドアが開くとメイド服姿の猫獣人の女性が現れた。
「初めまして、センと言います。
本日から宜しくお願い致します。」
「初めましてニャ。
話は聞いてるニャ、私は猫獣人のレイラニャ。
暫くは私と一緒に仕事をしてもらうニャ。
これから宜しくなのニャ。」
猫獣人といえど、語尾にニャを付ける人はいない筈なのだが…。
「可笑しいニャ、初代男爵様が猫獣人は語尾にニャを付けるのが基本だと仰ってたのニャ。
人族はそう思っていると思ってたのニャ。」
「人族でそう思っているのって多分迷い人のかたぐらいじゃないですなね?
この街でもそう思ってある人いないと思いますよ。」
「チッ、あのバカ男爵に騙されたニャ。
でも今更直せないニャ、聞き取りづらくても我慢してニャ。
取り敢えず、エリーさんのところに案内するニャ。」
レイラさんも長生きしてるみたいだね?
この世界の人達は、魔力のお陰か長生きな人が多い。
人族でも150から160ぐらいは生きている人もいる。
獣人だと5、600年はざらにいる。
「そうニャ、案内する前に仕事着に着替えてもらうニャ。
服を合わせるからコッチに来て欲しいニャ。」
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