第23話 私の才能
私は集めた電力を近くのカエルに向かって放った。
出力を上げているので、AED以上の威力にはなっていると思う。
魔法が当たったカエルは一瞬ビクッとなってその場に痙攣しだした。
素早く手前に引き寄せて腹を割くと、毒袋はまだ健在だったので素早く撤去する。
後は魔石を取り出して終了だが、エリーさんが此方を見て苦笑いをしていた。
「センちゃんの魔法は本当に面白いわね。
でもその魔法は普通の人には無理なんじゃないかしら?
多分私にも無理だと思うわよ?」
「そうですか?
エリーさんなら余裕だと思いますが、静電気を集めるコツはいりますが、魔法が得意なエリーさんなら出来ますよ?」
「それは大丈夫だと思うわよ?
でも威力が同じようにはならないと思うのよね。
もしかしてセンちゃんの魔法の才能って回復魔法じゃなくて、生活魔法なのかもね。
生活魔法って誰が使っても威力は同じなのよ?
普通はちょっと強めにとか出来ないのよ、センちゃん。」
私は愕然としてエリーさんの話を聞いていた。
ここに来て初めて私の得意魔法が生活魔法だと知ったからだ。
では、何で回復魔法が使えるのは分からないが、生活魔法が得意と言われて納得するところもある。
私の魔法を皆が真似出来ないからだ。
真似は出来ても威力が伴わないのはそのせいなのかもしれない。
「センちゃん、生活魔法には手当てって言う切り傷何かを回復する魔法もあるのよ。
多分それの発展が回復魔法なんでしょうね、幼いときに発動したその魔法が才能として定着したのかもね?」
魔物に襲われて発動した魔法は生活魔法の手当てだったかもしれないのか、それが定着して回復魔法だけ別にスキルとし現れているのかもしれないと。
要は生活魔法でも貴女の得意なのは回復ですよと、説明してるのかな?
今後はコレを踏まえて魔法を練習していくと良いのかな?
どの属性も満遍なく使えるのは冒険者として非常に有利になると思うからね。
ただ、器用貧乏とも言われるが。
その後のエリーさんが私の真似をするが、カエルは一瞬ビクッとするも、此方に攻撃を仕掛けて来た。
なので私はエリーさんに石礫をカエルの眉間に撃ってもらった。
それでカエルは無事に討伐出来たので良かったが、エルフは全ての魔法が使えるから出来るのであって人族はそうもいかない。
此処はやはり脳筋さんに暫くは頑張ってもらいたいところだが、誰でも出来る討伐方法を確立したいところだ。
私は誰もが使える魔法を考えてみると、自ずとその答えは出ていた。
私はフロートボードをアレンジして使っていたが、別にアレンジする必要はない気がする。
カエルの眉間に一定以上の衝撃が加われば良いのだから、弾丸状に、しかもゴム状のフロートボードは不要な気がして来た。
「すみませんが誰があの木の横に小さくフロートボードをぶつけてくれませんか?
出来るだけ早く勢いをつけて。」
近くにいる魔法職に声を掛ける。
その中の1人が拳大のフロートボードを木に向かって撃ち込んだ。
私が付けた痕よりも少し大きい位の傷痕が残った。
この威力で大丈夫かは分からないが、コレなら多少の加減で討伐出来るのではと思った。
その痕を見た脳筋さんたちは、コレならオレらでも出来るんじゃねぇっと試し撃ちをして遊んでいた。
生活魔法なので誰が痕を付けても同じくらいの威力になっていた。
私の魔法は貫通力を上げている分威力は弱めだが、他の人は四角い鉄板を投げているようなものなので威力だけは強かったようだ。
コレにより脳筋さんが飛び道具を覚え、ヒャッハーすることになるのだが牽制技にしかならない気がする。
ただ、カエル狩りには有効だったようで、その後は問題なく狩りが出来たのは言うまでもないだろう。
今回は私の収納があるので、素材丸ごと持ち帰ることになるのだが、普通は皮と毒袋を確保したら肉は持ち帰らないだろうと一度安全なところまで戻り解体することになった。
森の浅瀬の広場に戻って来た私達は、解体希望者の分カエルを出して解体を試してみる。
レフ君が解体しているのは見ているが、私は基本解体は出来ないので見学だ。
エルフのエリーさんも収納の魔法が使えるので、自分の分のカエルはそのまま持ち帰るようだ。
カエルの皮はナイフなど使わなくても綺麗に剥けるので、然程問題も無かったのだが、肉はどうなのかと疑問があがった。
何かその場で食べてみようとなったのだが、そのまま焼いて食べるつもりだったようなので私が料理することにした。
料理の知識は前世の中にあるので問題無いが、作るのは初めてである。
食堂のおばちゃんメニューを卒業したので、自炊でもしようかなと道具などは揃えていたからね。
面倒くさくて今だにおばちゃんのところに通っているけど。
鶏肉に近い味だと聞いているので唐揚げでいいかな?
フロートボードをボウル状にして醤油や料理酒にニンニクや生姜をすり下ろしたのを混ぜてゆく。
カエルのもも肉を一口大に切り、味が染みるようにフォークで刺して行く。
それを調味液に浸している間にフロートボードで竈を作り鍋に油を注ぐ。
前に鍋もフロートボードで作ったら火の熱を通さなくて失敗したのだ。
竃の火は私の火種の魔法で事足りるので、薪なども要らない。
火力が調整しやすいので、このほうが便利なのだ。
鍋の油の温度が上がって来たので、もも肉を取り出して片栗粉をまぶして揚げてゆく。
味が染みているか分からないが、こんなもんでいいだろう。
塩焼きよりはマシな筈だ。
揚がった先から男性冒険者が食べてゆく、何と、エリーさんも食べてくれていた。
エルフだからといって、肉は食べないわけでは無いようで、カエルは脂身が少ないから好きな部類らしい。
男性冒険者からは少し物足りないと言われたが、女性冒険者からは美味しいと喜ばれた。
私も食べて見たが、脂身が少ないのでもう少し味を濃くしても良かったかも知れないが、野外で作るならこんなもんだろう。
その後は無事に街に戻り、皮の納品も済ませた。
今回の成果は上々で皆んな上機嫌で食堂に流れて行った。
皮の他に肉も大量に納品されたので、おばちゃんからは味の感想を求められた。
私が作って食べた感想を正直に話したら、おばちゃんが感心していた。
あんなガリガリだったから、私が料理が出来ないと思っていたようだが、参考になったよとお礼に山盛りプレートのご飯をくれた。
何だかんだとおばちゃんが、私にご飯を食べさせようとしてくるのは暫くは無くならなそうだ。
カエル狩りのツアーは、後2、3回もやれば問題無いだろう。
私が素材を丸々持って帰ってくるので、暫く食堂のメニューにカエルの唐揚げが定番になったのは言うまでもないが、油がしつこくないと女性に人気だったのは意外だった。
皮の供給も安定して来て、色々商品も増えて来たようだ。
中には某戦闘民族の戦闘服のように鎧下と胸当だけの格好の冒険者も出て来た。
確かに動きやすいとは思うけどね、今までの鎖帷子よりも軽くて打撃には強くなっている。
刺突は鎖帷子もダメだが、斬撃には強かった。
だが、魔物で斬撃をしてくるのって余りいないんだよね。
人型で武器を持っていれば有り得るけど、普通は打撃武器が殆どだからね。
冒険者には、コッチの鎧下のほうが合っているかも知れない。
素材がソコソコ特殊なので値段は高くなるが、新人の冒険者でも頑張れば手に入る値段なので、最初に鎧下を購入するのが最近の目標になっているようだ。
色も色々選べるので個性も出しやすいしね。
中にはレインボーカラーにして目立つ格好をしている冒険者もいるが、あんなのが森にいたら目立ってしまって狩りにならないと思うが良いのだろうか?
まぁ、私が心配することでもないけど。
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