第21話 相談

 その後ギルドからエアロフロッグの皮の取り方など、情報を求められたりした。

 私は独占するつもりはサラサラないので、情報料を貰って素材の取り方を説明した。

 肝心なのは毒袋と魔石の取る順番だけなのだが、仮死状態にする術がないと無理なので、ある程度の実力者じゃないと確保出来ないのは痛いところだ。


 ただ、この街にいる冒険者はそれなりの実力があるので中堅所でも素材は確保出来ると思うし、私がエルダートレントを討伐しているので、ある程度の周囲の安全は確保してある。

 

 私が今、グラシアさんとアンディさんのお店に依頼をしている商品の人気が出れば一気に需要が上がるだろう。

 

 私の中では人気が出るのは確定なのだが、新しい素材なので職人による加工がこれからと言うのもあって中々難しいところもあるけど。

 グラシアさんとアンディさんはあぁでも無いとかこうでも無いとか、色々試作しながら楽しんでいるようだ。

 何故かキャシーさんも加わって商品開発をしていたようだが、先にグラシアさんから試作品が出来たと連絡があった。

 何故かキャシーさんと一緒にグラシアさんのお店に向かうことになったのだが、スポーツブラはキャシーさんには余り関係ないと思うのだけど?

 だってキャシーさんの胸はそんなもんじゃ収まらないからね。

 

 「今回はこのような機会を与えて下さりありがとうございます。」


 「そんなに畏まらないで下さい。

 確かに依頼したのは私ですが、年下の私に畏れても私が困惑してしまうので。」


 「ありがとうございます。

 ですが、このような素晴らしい仕事に携われた此方としては感謝しても仕切れません。」


 「グラシアさん、確かに素晴らしい仕事だと思いますが、センちゃんがこう言ってますからもう少し気を楽にしても大丈夫だと思いますよ。

 センちゃんは見た目通り気さくな方ですから。」


 「ゴメンなさいね、私とキャシーは歳が近いこともあって色々相談してるところもあるんだけど、そんなのセンちゃんには関係ないからいつものお客様に接するのと同じにしてたんだけどね。

 センちゃんさえ良ければ口調も改めるけど大丈夫かしら?」


 「私は気にしないので大丈夫ですよ。

 グラシアさんがキャシーさんに相談するのは分かりましたが、キャシーさんがこの商品に注目してるのが気になるですよね?」


 「センちゃん、確かに可愛いブラとか気になるけど、普段使いは楽なほうが良いに決まってるでしょ?

 大きいと大きいなりに悩みはあるんですからね!」


 確かにそうだけどね、私はまだそこまで成長してないから分からないけど。

 スポーツブラは確かに楽かもね、締め付け度合いによるけども。

 何なら、キャミソールタイプも作ってもらおうかな?

 部屋着には最高だよね、異性には刺激が強いかも知れないけど…。


 「取り敢えず、試作品でもみて貰おうかしら?

 大分要望には添えたと思うけど、着てもらわないとコレばっかりは分からないから。」


 「ありがとうございます。

 では、試着室お借りしますね。」


 私は試作品の真っ白なインナーとTシャツとレギンスを持って試着室に入った。

 スポーツブラとショーツは文句なしの出来である。

 ちっぱいの私には丁度良い作りだ。

 インナーは問題ないかな?

 鎧下も着てみるが、着心地は最高だ。

 今度はコレに合わせて服も欲しくなってくるよね。

 このままグラシアさんのお店で冒険者用の服も買っていこうかな。


 「問題ないようですけど、なんで試作品になってるんですか?」


 「色の固定が出来なくて困ってるのよね?

 こんなにも多彩な色彩に出来るのに勿体無いと思わない?

 それさえ出来れば私も満足する仕上がりなんだけどね。」


 「ちょっとレギンスお借りしますね。」


 私はレギンスに魔力を流し黒く染め上げる。

 それを私が用意してきた液体の中に漬け込む。

 それを取り出して清掃の魔法を使い綺麗に仕上げる。

 それをテーブルの上に置いてみると、黒く染め上がったレギンスが出来ていた。

 私も色の固定が出来ないか、ちょっと試してたんだよね。

 私の持っている素材で出来たのは幸運だったと思うけど。


 「センちゃん、その液体は何なの?

 普通のお水に見えるけど…。」


 「キャシーさん、素手で触らないほうがいいですよ。

 口に入っても問題ないとは思いますけど、それ、一応毒ですから。

 このタライの水に一滴か二滴、エアロフロッグの毒液を垂らしたお水なんで。

 他の毒液は試してないので分かりませんが、この水で拭くだけでも色の固定化出来ますよ。」


 私は白のショーツの一部を拭いてから魔力を流すと、拭いたところだけは白いまま、拭いてないところは色が変わっているショーツを見せた。

 変に中途半端になってしまうのでブラとショーツの1組は白にしてしまおう。

 残りは全部黒でいいかな、そんなに拘りがあるわけでもないので。

 グラシアさんからインナーと鎧下を5着ずつ受け取りお金を支払う。

 グラシアさんにもエアロフロッグの毒を渡して、私の依頼は完成した。

 キャシーさんはグラシアさんのお店に残り打合せをするそうだ。

 私はポンチョと追加でキャミソールを注文した。

 色は加工前の白にしてもらい、自分で好みの色にしようと思う。

 序でにくるぶし丈のワイドパンツと革のジャケットを買ってしまった。

 コレで少しは冒険者っぽく見えるといいのだけど。


 私はその足でアンディさんのお店に寄った。

 

 「おぅ、丁度良いときに来たな。

 一応完成したものを見てくれ、直して欲しいとこがあったら言ってくれや。」


 「こっちも出来たんですね、それじゃ試着させてもらいますね。」


 出て来たブーツは見た目的にハーフブーツって言って良いのかな?

 脛下ぐらいのアンクルブーツっぽいものだね、ミドルヒールでブーツの中にエルダートレントの補強が入っているが見た目は分からない。

 持ってみると見た目より全然軽い、履き心地もエアロフロッグの革がフィットするので問題ない。

 魔力を流して靴底にゴム状のフロートボードを発動すると、歩き心地はスニーカーと同じくらいだ。

 動作確認もするが、動きには支障がないので大丈夫そうだ。

 魔力を流したことにより、ブーツの見た目は赤茶色になっているのも良い感じだしね。


 胸当の革鎧の見た目は何と言うか、某野菜星人の王子が着ていた肩無しの戦闘服のような見た目をしている。

 ブーツを白にして、黒の鎧下の上にこの胸当を着たら、見た目はそのまんまな感じだね。

 下はパンツを履いてるし、胸当の上にジャケットを着ることにすれば問題ないと思うよ?

 私はアンディさんにもエアロフロッグの革の色加工のやり方を教えて胸当の色は黒にした。

 エアロフロッグの革が伸びるので、洋服のようにそのまま被って着れる。

 面倒なベルトとかが無いので非常に助かる。


 私の今の見た目は赤茶のブーツに黒のレギンスにベージュのワイドパンツ、黒の鎧下に胸当を着てその上にベージュのジャケットを着て左腕に小手を付けてる状態だ。右手に指輪を付けて私の冒険者スタイルの完成だ。

 

 グラシアさんに頼んで、右手の手袋でも作ってもらえは更に安全かな?

 しかも、この胸当とブーツは自動調節の機能も付いているので、私が大きくなっても使えるようにしてくれたようだ。

 実はブラにもその機能が付いていて、成長しても使えるようになっている。

 ショーツと鎧下は伸縮性があるので暫くは使えるが、此方は成長したら買い替える必要があるがお値段は買い替えたほうが安上がりだそうだ。

 

 「問題は無さそうだなぁ、序でに頼まれてたタワーシールドも出来てるぜぇ。

 まぁ、お前さんがこの盾を使うことにならないように祈っておくよ。」


 そう、私はアンディさんに頼んで、エルダートレントのタワーシールドを作ってもらっていた。

 今の私がすっぽり隠れられる盾だ。

 私はヒーラーにしては機動力はあるほうだが、もし、万が一躱しきれない攻撃が来たときのために用意してもらった。

 この盾を触媒に魔法障壁を張ったら、大体の攻撃は防げると思う。

 この盾で防げない攻撃は、街を吹飛ばすことになると思うよ。


 「ありがとうございます。

 今回も完璧な仕事に感謝しています。

 また定期的にメンテナンスに来ますね。」


 「そうだ嬢ちゃん、余った素材はどうするよぉ。

 結構な量が余っているぜぇ。」

 

 「多分、コレから忙しくなりますよ。

 冒険者から注文が来ますから、その材料にして下さい。

 それとは別に、エルダートレントでナイフ作ってもらって良いですか?

 解体用に1本欲しいので。

 トレントの素材は足りなくなったら追加で依頼を受け付けますよ。」


 「それならトレントの素材は追加で置いて行ってくれい。

 グレード下げねぇと高すぎて誰も買ってくれねぇからな。

 エルダートレントは、持ち込みだけの対応になりそうだな。」

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