第10話 回復魔法

 おはようございます。

 朝の4時になりました。

 お腹は空いてませんが、これから食堂に向かおうと思います。


 昨日と同じ量を出されたら食べるのに1時間かかってしまうので、早めにご飯を食べに行こうと早起きしました。

 私の他にも何人かの施設を利用している冒険者が起きて来ているようだ。

 朝ごはんを食べてそのまま依頼の為に街の外に出かけるのだろう。

 魔の森は近くなのでそんなに早起きしなくても大丈夫なのだが、護衛の依頼など受けた際は朝早くに街を出ることも多く門が開く5時には出発する商人も居るので自ずと冒険者も早く起きなければならない。

 この街の護衛の仕事は新人から駆け出しがすることが多い。

 魔の森の奥まで行けず、稼ぎが悪いからだ。

 中堅やベテランは魔の森で依頼を受けた方が稼げるので余りやりたがら無い。

 知り合いの商人に頼まれるか、街の移動の序でに受けるくらいしか中堅どころは護衛依頼を受けないからだ。

 まぁ、街から街の移動はそんなに危険は無いので新人や駆け出しでも問題ないので成り立っているのだ。

 街道には出て来る魔物ははぐれが多いので、単体の魔物を相手するにもちょうど良い仕事のようだ。

 1番厄介なのは盗賊で、団体で出て来ることも多いが新人でも何とかなるレベルの盗賊しかこの辺りには居ない。

 新人より強い盗賊なら魔の森で稼いだ方が稼ぎが良いからね。

 

 食堂に着いたらおばちゃんが。


 「待って居たよ、今日もこれ食って頑張りな。」


 出て来たプレートは昨日の朝ご飯より多かった。

 私は引き攣った笑顔でプレートを受け取り、お礼を言って席に着く。

 日に日に増えて行かないよねこのご飯……、そのうち本当に食べきれなくなりそうだよ。


 そこから1時間半掛けて漸く食べ切った後は訓練場に向かった。

 流石にまだ朝早いので、買い物にも行けないからね。

 今日は仕事はお休みにして貰っているので、必要な生活必需品を買いに行こうと思う。

 この街のお店は朝早くやっているお店が多いが、早いとこだと昼過ぎには閉まってしまうとこもある。

 前の日に仕込んだものを午前中に売り、午後は仕入れか仕込みをして次の日の商売をしているようだ。

 時間はまだ6時前なので、2時間くらいはランニング出来る。

 それから買い物に行こうと思って居た。


 2時間休みなく身体を動かし、自分に清掃の魔法を使う。

 この魔法があるから私のボロボロの服でも匂わないからね。

 この魔法が無かったら、その辺の浮浪者と変わりないと思うほど私の格好は見窄らしい。


 訓練場から出て買い物に行こうとギルドを出ようと思ったのだが、キャシーさんに呼び止められた。


 「センちゃんは明日からの予定はどうするつもり?

 センちゃんさえ良ければ治療士として毎日入って貰えるかしら。

 昨日の評判を聞いて来てくれた人も多くてね、他の依頼を受けてなかったらお願いしたいの?」


 「それは大丈夫ですが、今まで予定に入ってた人達は大丈夫なんですか?

 その人達を押し退けてまでは入りたくは無いですよ?」


 「それは大丈夫よ。

 元から無理を言ってやって貰って居た仕事だからね。

 センちゃんの回復魔法の腕前は昨日で確認出来てるから問題無いし、出来ればセンちゃんには15歳までは普通の依頼は控えて欲しいのよね。

 6歳からギルドに登録は出来るけど、あくまでそれは街の中のお手伝いの依頼を受けるための処置だから。

 センちゃんみたいに皆んなが外の依頼を受けて死んじゃったら困るのよ。」


 言われてみればそうなんだよね。

 私は親も知り合いも居ないから働かなくちゃ行けないけど、普通はお小遣い稼ぎでしかギルドには来ないよね。


 「それは大丈夫ですけど、通常の依頼は受けて大丈夫何ですよね?」


 「それは問題は無いのよ、冒険者はあくまで自己責任だから。

 ただ、中には真似しようとする子もいるかもしれないから暫くは注意しなきゃだけどね。」


 「お話は分かりました。

 私は大丈夫なので問題無いですが、他の人がやりたいときは直ぐに行ってくださいね。

 私は毎日じゃなくても問題無いですから。」


 「そう言って貰えると助かるわ。

 それじゃ明日から宜しくね、気をつけて買い物して来てね。

 後これを渡しとくわね、お勧めのお店何かを書いといたから参考にして。」


 キャシーさんにお礼を言って私は買い物に出発した。

 キャシーさんが書いてくれていたメモを見ながら雑貨屋さんや服屋さんを見て行った。

 キャシーさんが紹介してくれたお店は何処も安く買えたので良かったが、服に関してはソコソコ高かった。

 新品の服は買えずに中古の服しか買えなかったが、今着ている服より断然良い物なので何着かは買えたので良かった。

 

 買い物を終えて、手持ちのお金が殆ど無くなってしまったがご飯だけは食べれるので問題無いだろ。

 これから戻ってお昼ご飯と格闘しなければならないのだから。


 ギルドに着いた時間は11時をちょっと過ぎたぐらい。

 少し早いがおばちゃんにご飯をお願いする。

 おばちゃんは笑いながら、よく来たねと昨日と同じ大盛りのプレートを出して来た。

 お昼が1番ボリュームがあるんだよね。

 

 今日もまた2時間の格闘の末昼食を終える。

 夜の為に少しでも身体を動かそうかなと思い訓練場に行こうとしたら、またキャシーさんに呼び止められた。


 「センちゃん午後から暇なら臨時で治療室入ってくれないかしら?

 今日は患者さんが多くて捌ききれないかもしれないの。」


 「大丈夫ですよ。

 今日はご飯も食べ終わったのでこれから入れますよ?」


 「良かったわ。

 それじゃ診療所に向かって貰える。

 手続きは此方で処理しとくから。」


 「はーい、了解です。

 宜しくお願いします。」


 私は診療所に向かって行ったが、入口の前には既に列が出来ていた。

 私は中にいる人に声を掛け、治療を開始する。

 中の治療士の人は重症者を見ているようで余裕は無さそうだ。

 なので私は並んでいる患者を軽く診察して行った。

 患者さんの話を聞くと現場で事故があったようでそれで怪我人が多いようだ。

 中には重症者がいたがその人達は応急処置は終わっているようで命の危険は無いとのこと。


 私は昨日の治療中に出来そうだなと思った範囲魔法を試してみる。

 軽傷の患者を集めて纏めて回復魔法を掛けて見た。

 切り傷や打ち身の患者が殆どなのでこれで回復すると思うのだが、流石に初めての魔法なので心配だ。


 「回復魔法を掛けましたがどうですか?

 何処か痛い場所はまだありますか?」


 一応確認したが皆んな大丈夫なようでホッとした。

 中にまだ重症者がいるようなので、私も中に入ってみる。

 中にはお腹を押さえている患者と指が千切れた人が居るようだ。

 今日の治療士の人は肩から血を流している人の治療をしているようだが、私が気になるのはお腹を押さえている人だ。


 直ぐにその人に横になって貰い魔力を身体に流す。

 スライムハンドで体内の中も観察してみると、内臓に損傷があり危ない状況だった。

 直ぐ様スライムハンド越しに内蔵の破損している部分に回復魔法を使う。

 体内に溜まった血を清掃の魔法で綺麗にして、他に外傷が無いか診察した。

 お腹の辺りに打ち身があったので、そこも治療しておいた。

 患者さんの冷や汗を拭い、まだ痛いですかと聞いてみると、さっきまでの痛みが消えたと喜んでいた。

 

 「もう大丈夫だと思いますが、今日1日は安静にして下さい。

 もしこの後体調が悪くなるようでしたら、ギルドのほうに来て下さい。

 私はギルドの施設に居るので対応出来ると思いますから。」


 患者さんにひと通り説明して、私は指が千切れている患者に声を掛ける。


 

 

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