第9話 更なる格闘!
私は訓練場にやって来た、時間はお昼前ながらそれなりの冒険者が訓練をしていた。
魔法の試し撃ちに来ている冒険者や、案山子に木剣を打ち込んでいる冒険者も居る。
私の目的は冒険者同士の格闘訓練をしている人が居ないかを探していた。
私の攻撃のメインは生活魔法のフロートボードを薄く円盤状にした投擲と弾丸状にして打ち出すのがメインだが、護身用に体術を学びたいのだが流石に1人で学ぶには限界があった。
攻撃メインのこのフロートボードはようはチャクラムのような物だ。
私の周りの半径20m内を飛び回り防御と攻撃を担当している。
魔法はコッソリ前の街でも練習出来たので良かったのだが、体術は流石に1人では上達しなかった。
辺りをキョロキョロと見回していると、おっさんが話しかけて来た。
「お前さんが最近街に来たって言う子か?
オレはギルドの職員でハンスって言うものだ。
主に訓練場で戦闘訓練を担当しているから分からないことがあったら聞いてくれ。」
「初めまして、センと言います。
護身用に体術を習いたいのですが何処かで教えてくれるとこありますか?」
「それなら此処である程度のことは教えられるが、魔物との戦闘では役に立たないから人気はねえぞ。」
「私は魔法がメインですが、動ける身体と対人用に体術を習いたいだけですので問題ないです。」
「それならオレが指導してやる、っと言いたいがお前のその身体じゃちょっと無理だなぁ。
暫くは食って体力を付けな、体術教えるのはその後だな。
この訓練場をランニングするくらいがお前さんにはちょうど良いだろうよ。」
それもそうだよね、6歳児には見えないくらいガリガリだからね、1日2日食べたくらいでは私の身体は通常通りにはならないよ。
「分かりました。
暫くはこの辺りを走ってみますね。」
私はハンスさんに挨拶して訓練場を走り出した。
外周大体400mくらいの広さがあるのかな?
それを黙々と走ったり歩いたりしながら休みなく続けた。
お昼を少し過ぎても走って居たら、首根っこを掴まれて強制的に停められた。
私は何事だと思って居たら、笑顔の食堂のおばちゃんだった。
「あんた、飯も食わずに何走ってるんだい。
朝折角食べたのにまた痩せちまうだろよ。
ちょっとこっちに来な、アンタは飯を食うまでは訓練させないからね。」
そう言われて私はブラブラと首根っこを掴まれなが食堂に連行された。
「私の目の黒いうちはガリガリなんてさせないからね。
これも残さず食べるんだよ、アンタの特別メニューだからね。
流石にタダには出来ないからお金は取るけど、キャシーには言っとくから仕事したらギルド経由で天引きして貰うからね。」
出されたプレートを見て私は固まった。
朝ご飯より大盛りなんですが?
何このマンガ肉は、初めて見ましたよこんな骨付き肉…。
じっと見つめて居たら。
「見つめて居たってご飯は減らないよ。
これで足りないならまだ持ってくるけどどうすんだい。」
「ありがとうございます。
いただきます。」
私は急いでランチプレートに手を付けた。
これ以上持って来られたら流石に食べきれない。
イヤ、コレも食べ切れるかな?
「今日の仕事終わったら、此処に来な。
晩飯も用意しとくからそれ食わないとアンタの部屋まで持ってくからね。
がっはははははは。」
おばちゃんは笑いながら厨房に戻って行く。
周りの冒険者は、また始まったよと私のことを哀れんだ目で見ていた。
仕方が無いので、私は一生懸命に食べる。
運動した後とはいえ、朝も大盛りを食べた後にこの食事は私には多過ぎる。
それから私は2時間くらい掛けて食事を終了した。
お昼過ぎに1人患者が来たのだが、私が食事中だったのを見てキャシーさんが困って居た。
おばちゃんに仕事して来ると断りを入れたのだが、食べ終わるまで何が仕事だと逆に怒られてしまった。
仕方が無いので、食堂に来て貰って治療することにした。
患者さんに謝りながらも、足の捻挫を治しながら私はご飯を食べる。
患者さんも困惑顔だが、笑って許してくれたので良かったが明日からは早めに来て昼食を済まそうと心に誓ったのだ。
その後はまた暇になったから良かったが、食べ終わった後も暫く動けなくて午後の訓練は出来なかった。
夕方チラホラと冒険者が帰って来て何人かの治療をしなければいけなかったからだ。
2時間ほど治療して患者が途切れた所で今日の仕事は終了した。
キャシーさんが今日の報酬として銀貨1枚を私に渡してくれた。
私は多く無いですかと聞いたのだが、ディランさんが補助扱いで私が今日はメインにしてと言ってくれたそうで報酬が多いらしい。
補助でも半分くらいは貰えるようだ。
キャシーさんにお礼を言って、ディランさんにもお礼を言っておいてと頼んでおいた。
ギルドに居れば会う機会はあるかも知れないが、確実に会えるとは限らないので一応頼んでおいたのだ。
しかもこのお金は昼食と夕食の料金を引いたお金らしい。
1週間分は払ってくれてその残りが報酬として渡されたようだ。
キャシーさんに昼食代幾らか聞いたら1食銅貨3枚で良いとのこと。
あの山盛りプレートが1食300円で食える訳が無いのだが、おばちゃんがそれで良いと言っているそうなのでお言葉に甘えることにした。
ギルドからも補助金は出ているそうなので、おばちゃんが首になることは無さそうだ。
食えない新人冒険者は皆、おばちゃんのお世話になっているそうだ。
なのでこの街の冒険者はおばちゃんに頭が上がらないそうで、食堂では皆んな大人しくしている。
それで稼げるようになったら食堂で高いご飯を食べて還元しているようだ。
私は仕事の後食堂には向かわずに訓練場にやって来た。
流石にお腹が空いて居ないので、暫く走ってから食堂に行こうと思い訓練場にやって来た。
この時間帯は冒険者は殆ど居らず、皆食堂か外に夕食を食べに行っている。
私は腹ごなしと体力をつける為に、休まずに動き続ける。
水は生活魔法で出せるので、走りながらでも飲めるのだ。
1時間くらい走って居たら、またまた首根っこを掴まれて宙吊り状態に。
チラっと見たらヤッパリおばちゃんだった。
「アンタ、ちょっと目を離すと運動ばっかりしているね。
そんなんじゃいつまで経っても太りゃしないよ。
アンタの晩飯は出来てるんだから、早く食いな。」
強制終了させられたランニング、確かに太りたいのだがブクブクになりたい訳では無い。
動ける身体を作って行かなければならないので、運動はしなければいけないのだが。
おばちゃん的には取り敢えず太らせたいようだ。
太ったらおばちゃんは満足してくれるのだろうか?
その辺りも誰かに聞いてみようかな?
流石に夕食は昼よりは控えめだったが、コレでもかと言うくらいにお肉が盛られていた。
運動した後は肉を食いなっと笑いながら去って行くおばちゃん。
そこから1時間半掛けて私はまた食事との格闘をせいしたのだった。
1時間半も食堂に居るとソコソコ話しかけられる。
皆んな冒険者だけに、おばちゃんのことを良く知って居た。
痩せている子を見るとご飯大盛りにするのはいつものことらしく、痩せている女の子は涙目で食べているそうだ。
食べるまで返してくれないからね此処のおばちゃん。
ある程度太ると通常通りのメニューになるそうで、それがイヤなら食堂には近づくなと言われているそうだ。
ただ、安くて美味い料理が食べれるので新人冒険者なんかは良く来ている。
食べても魔の森で稼げば自ずと痩せて来るみたいなんだよね。
それで身体が出来て来るとおばちゃん卒業になるようだ。
おばちゃんを卒業出来たら一人前になったと認められたような感じになっているらしいが。
女性冒険者には常に太れと言っているようなので、何とも言えない感じにはなっているようだ。
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