第2話 ユニークスキル?

 そこからは試行錯誤の連続で、魔力操作が付いていかなく、魔力視で見ながら動きを確認をしていった。

 私が1歳を迎える頃に漸くそれなりの形になった。

 掌のような形の魔力で私は物を掴むことに成功した。

 何度か試しているときにふと、使いやすくなったような気がしたのでメニューで確認をして見たら。


 ユニークスキル:[スライムハンド]


 新たにスキルが生えて来たみたいだ。

 ユニークとは、これは私専用のスキルなのかもしれないが…。

 スライムとはコレ如何に?

 確かにスライムもシリコンのような?ゴムのような感触かもしれないが…。

 私のフロートボードとコレは再生が絡んでいるのかな?

 感覚的にはそんな感じだ。

 憶測になるが、左手を焼いたときにスライムが付着していて回復したから、私の中にスライム細胞が取り込まれたとかなのかな?

 それぐらいしか推察できないけど、多分間違ってないと思う。

 でなければ、スキルの[再生]の説明もつかないしね。

 他人に確認が出来る訳では無いので分からないが、孤児院の院長にバレると私は売りに出されるかも知れないので内緒にしなければならない。

 

 このスキルが使えることにより私は生きながらえたと言っても過言では無いだろう。

 このスキルは何処までも飛んでいける。

 元はフロートボードなので飛ぶのも操ることも可能である。

 この子の位置はマップで確認が出来たので、どの辺に飛んでいるのかは分かったが、マップはグレーアウトのままだった。

 しかもどんなに離れてもこの子が触ったものはストレージに収納出来たのだ。

 ただお店のものや他人に所有権があるものは収納出来ないので注意が必要だ。

 この子が優秀なのは、離れていてもスライム細胞のお陰か周りのことが分かることだ。

 意識を集中すると会話も拾えるし、魔力視を通すと視界も確保出来た。

 私と繋がったスライム細胞なので目や耳にも成れるし、多分口にも成れるだろう。

 

 孤児院の院長は私は死んでも構わないと周りには言っていて、周りの人はそれに逆らえない感じだ。

 ただ優しい人はいて、私にスープだけは飲ませてくれる人もいた。

 私は生きる為にスライムハンドを森まで飛ばし果実をストレージに納めて行った。

 街で売っている物と比較して食べれそうな果実を私は隠れて食べていた。

 スライムハンドから直接吸収も出来たが、流石に味覚までは共有出来なかった。

 味覚が無い分、不味くても栄養だけは摂取出来るので助かってはいたが。

 美味しくない物はスライムハンドから摂取して、美味しい物は自分で食べることにしていた。


 ストレージ内は時間が止まっているようなので、取れるときに貯め込むことにし冬を凌ごうと思う。

 去年の冬はまだ乳を分けてくれる人が居たから良かったが、今年はスープのみの生活になるだろう。

 だがここで食べ過ぎて太ってはいけないので、生きる為の最低限にして怪しまれないように気をつけなければならない。


 そんな感じて2歳を迎えることが出来た、院長は死なないのを不思議には思っていたようだが干渉まではしてこなかった。

 その頃私は次のステップに移るべく果物の収集の他に冒険者ギルドにスライムハンドを向かわせていた。

 ギルドにはどのような仕事があるのかと、訓練場があるのならそこで訓練をしている冒険者を見たかったからだ。

 生き残る為には力がどうしても必要になる。

 まだ身体も出来上がっていないが、目で見て技術を盗むことは出来ると思ったからなのだが。

 此処で少し躓いた、スライムハンドは魔力で出来ているので、他人からは見えないのだが冒険者の中にはその魔力を感知出来る人も居て少し騒ぎになってしまった。

 私に攻撃する意思が無かったのでそこまで大事にはならなかったが、怪しいヤツが監視していると思われたようだ。

 その警戒網を潜り抜ける為に、私は魔力の[隠蔽]と[隠密]の他、[擬態]のスキルを取る羽目になったのは仕方がない。

 [擬態]はスライムハンドのみ有効なスキルで、スライムハンドを鳥のように見せかけていたら習得出来た。

 その3つのスキルが取れた後は何とか忍び込むことができ、冒険者の訓練を見ながら魔法や体術の勉強をした。

 属性魔法を使う人も何人か居たのだが、皆んな共通してナンタラアローや何とかボール、中位の魔法でもランスやらの魔法を使っているようだ。

 私は何故その形で魔法を使っているのか最初は不思議に思っていたのだが、私の常識が間違っていることに後から気づいた。


 この世界に飛び道具は弓矢しか無い。

 中にはナイフや斧、槍を投げる人もいるようだが基本は弓矢しか無いのでそれを真似して魔法を使用しているようなのだ。

 だが私の記憶の中に飛び道具と言えば銃だろうと思っていたので違和感があったのだ。

 この世界にまだ火薬は無いようで、銃のような道具は開発されていない。

 仮に火薬があっても銃のような道具は作らないと思う。

 そんな物より魔法があるので其方のほうが早いし威力もある。

 鉄の玉を飛ばすにしても魔力で飛ばしたほうが威力が有りそうなので、知識にあるような物は作られることはないだろう。

 

 だがその知識だけは活用できそうだ。

 弓矢のような形にしなくても弾丸を真似ればいいぶん魔力も抑えれるし、回転する力を加えれば貫通と命中率も上がるかも知れない。

 私のスライムハンドからでも魔法は使えるので、人が居ないときに的で練習をしてみるのもいいかも知れない。

 

 体術はあくまでも護身用だ、流石の冒険者でも素手で魔物に向かって行く人は少ない。(居ないとは言わない)

 此処で練習している人も対人戦を想定している。

 冒険者は盗賊などの鎮圧も仕事の内容に含まれるときがあるので、それようの対策になる。

 スライムハンドを操作しながら身体の動きを真似ていたら、スキルに[並列思考]が生えてながら作業がしやすくなった。

 スライムは細胞ひとつ一つが脳の役割をしていて、一つが潰れても他で補うだけの力があるようだ。

 細胞は優秀なのだが、それを制御しているのが核である魔石なのでたかが知れているのだが。

 人が制御するとこれ程万能な細胞はないだろう。

 スライム細胞の数だけ考えることが出来、処理することが出来るようになる。


 あくまで私は魔法使いとして冒険者になるつもりでいる。

 体術はメインでは無いので、自分の身を守ることが出来ればそれで良い。

 魔物に襲われても対処出来れば、最後は魔法で仕留めればいいのだから。

 多少の怪我は回復魔法で何とかなると思うし、[再生]が何処まで有効かは確認したい。

 ただこの回復魔法も少し扱いが厄介だ。

 

 アホ教国は回復魔法を独占しようと、国で囲っている。

 鬼畜王国もアホ教国に騙されて回復魔法を使える人はアホ教国に拉致同然に連れて行かれる。

 冒険者の中にも回復魔法を使える人もいるが、それは自衛が出来るから知られても構わないと思っているようだが、一般市民は隠している人もいるようだ。

 回復魔法は神の奇跡として広めているアホ教国は、神を信仰することで回復魔法が使えると教えているからだ。

 回復魔法もただのスキルなので適性が有れば誰にでも使える魔法なのだが、アホ教国はそれを認めない。

 回復魔法を独占して、教会で馬鹿高い治療費を請求する為に回復魔法士を囲っているのだ。

 なので力を付けるまでは私が回復魔法を使えるのも隠さなければいけない。


 ギルドに忍び込むようになって分かったことだが、この世界に鑑定のようなスキルは無い。

 あくまでもスキルは自己申告になる。

 私のメニューのように自分のスキルを目で見て確認することは出来ない。

 使えるから持っていると知っているだけのようだ。

 確かにスキルを取得すると自然とスキルの理解が深まるのを感じる。

 それで普通はスキルを持っているかを確認しているみたい。

 私みたいにメニューで確認とか、鑑定してくれる人も道具も存在しないのは私にとっては都合が良かった。

 

 そんな訓練を隠れてしていたのだが、私が3歳になる頃には仕事を押し付けられるようになった。

 私の見た目はガリガリの棒のような子で、髪は白髪のボサボサに目元まで隠すぐらい伸ばしていたので気味悪がられた。

 私の髪の色は元々黒髪だったのだが、魔物に襲われたときに色素が抜けて白髪になってしまったのだ。

 なので年長者に1人で出来るような仕事を押し付けられる感じになった。

 食事は必要最低限にしているのでガリガリだが、鍛えてはあるので筋肉質なのだが誰も気づいてはいない。

 孤児院を修理するのに木材を集めてこいとか、部屋の掃除をしとけとかだが、3歳児に押し付けるには無理な仕事が多かったと思う。

 スライムハンドとストレージがあるので仕事自体は楽なのだが、完璧にこなすと怪しまれるので怒られるギリギリの所を攻めるのが難しかった。

 私1人に任せてくれるなら1日で全部難なく出来るのだが、それをすると魔法が使えるのがバレるので辞めていた。


 怒られてご飯を抜きにされることもあるが、私には森で収穫した果物とスライムハンドによる摂取に多少のお金があるので食べるものには困ってはいない。

 多分孤児院の中で1番裕福かも知れないくらいには稼ぎはある。

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