幕間 女神の独り言

 世界と世界の狭間に存在する、とある白い空間。

 そこは一柱の女神の自堕落小世界である。

 今も女神は、メイド服を着たまま、四角く切り取られて浮かんでいる映像を見ながらだらけていた。


「……はぁ? マジで?」


 突然女神が、映像を見て声を上げる。


「っかしいな〜、最初はずっと日に焼けるのを恐れて洞窟に引き籠もると思ってたのに……まさか洞窟をぶっ壊しちゃうなんて。馬鹿なのかも」


 その後も長い間、女神はその映像を見続けた。


「うわ、痛そ〜……じゃない? あれ、もしかしてもう痛覚遮断できるようになったの? 予定じゃ、あとしばらくは無理なはずなのに……。って、再生能力も血の能力も、完全に使いこなしてんじゃん! は〜信じられない。これが天才ってやつか。つーか若干サイコパスみ出てない? 吸血鬼になったせいで精神に少しは影響出てるけど、これは明らかに、本人の性格が関係してるよね〜……ヤバ」


 とある一人の青年について色々と呟いていた女神だったが、映像の中で何かが動き、目を見張る。


「え、まだ生きてたの──って、まさか」


 宙に浮かぶ画面に食い付くように近付き、映像を詳しく確認する。


「……うん、これは。……そ〜か、途中で辞めた上で死んでなかったんだから……成る程、条件はバッチリ満たしてるか……」


 画面から離れて、女神はごろんと倒れて呟く。


「は〜ぁあ……面白くなりそ」


 一人だけの空間でニヤニヤ笑うメイドコスプレ。そのシュールさに気付かない、天然女神であった。

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