37日目「多数派同調バイアスを考慮したコミュニティー所属」
多数派同調バイアスとは、人が、ある所属人口以外何も変わらないn種類のコミュニティーC(1)......C(n)に所属しようとした時、各コミュニティーに所属している人口に引っ張られて所属する集団を決める傾向にあるということを指す。
この概念を用いて、コミュニティーC(1)......C(n)の所属人口と全てのコミュニティーの人口の関係について考察してみよう。
C(k)の時間tの時の所属人口をf_k(t)とおく。また、F(t)=Σ(k=1→n) f_k(t)とおく。
f_k(t)をコミュニティーkにおける人口関数と呼称し、F(t)を総人口関数と呼称する。この時点で人口を連続的なものとして捉えるという近似を行なっていることに注意されたい。特に、今回は変化について扱いたいので、滑らかであることも要求する。
ここで、多数派同調バイアスの影響を次のように考えてみよう。時間tのコミュニティーkにおける多数派同調バイアスの関数をb_k(t)と書く。ここで、バイアスは人口が増えた際の振り分けの割合のようなものとする。つまり、Σ(k=1→n) b_k(t)=1とする。
このことから、コミュニティーの人口関数と総人口関数の方程式が次のようにたてられる。
f_k(t+dt)=f_k(t)+b_k(t){F(t+dt)-F(t)}
f_k(t)を左辺に移行して、f_k(t+dt)-f_k(t)=b_k(t){F(t+dt)-F(t)}
dtで割って、dtを十分0に近づけると、
df_k(t)/dt=b_k(t) dF/dt
このままではバイアスの関数が邪魔で、この方程式を解くことができない。そこで、バイアスの形を仮定してこの方程式を解いてみよう。
バイアスについて考えてみる。今回は最も単純な形のバイアスについて考える。f_k(t)が大きいほどバイアスb_k(t)の1に占める割合は大きくなる。また、バイアスの定義より、Σ(k=1→n) b_k(t)=1が成り立つ。また、f_k(t)=0→b_k(t)=0であってほしい。このような要請から、b_k(t)=f_k(t)/F(t)に設定すればいいのではないかという考えが湧いてくる。では、このようにバイアスの形を仮定して、微分方程式を解いていこう。
方程式の議論を総括すると、df_k(t)/dt=b_k(t) dF/dtが成り立つ。
ここに先ほどまで議論したバイアスの式を代入すると、
df_k(t)/dt=f_k(t)/F(t) dF/dt
f_k(t)で両辺割って、
1/f_k(t) df_k(t)/dt=1/F(t) dF/dt
これは変数分離されているので、両辺不定積分することで、
log|f_k(t)|=log|F(t)|+C_k(C_kは積分定数)
と求められる。
両辺expをとって、
|f_k(t)|=A_k|F(t)|(A_k=e^C_k>0)
f_k(t)もF(t)もどちらも非負のはずであるので、絶対値を外して、
f_k(t)=A_k F(t)
f_k(t)=A_k F(t)が求められた。実際、これをF(t)の定義式の中に入れると、
F(t) Σ(k=1→n) A_k =F(t)が成り立ち、
Σ(k=1→n) A_k=1が成り立つ。
このA_kのことをコミュニティーkの人口配分定数と呼ぼう。
また、比について考えてみると、
f_1(t):f_2(t):f_3(t): ...... :f_n(t)=A_1:A_2: ...... :A_n
というふうになることがわかる。
簡単な仮定から、このような数学的に面白い結果を導けたのは実に興味深いと思う。実際には、離散的な人口配分からこの問題に取り組んだ。離散的な場合でも、結局、連比は一定になる。また、このことから、F(t)の勢いで|f_k(t)-f_l(t)|は増加していくことがわかる。
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