27日目「区分求積法が成り立つのは当たり前!?」
区分求積法が成り立つのは、積分の理論に基づくと実は殆ど当たり前だということを説明する。
まず、区分求積法とは、次の定理のことを言うのだった。
区分求積法
区間[0,1]で連続な関数fについて、∫(0→1)f(x)dx=lim(n→∞)1/n Σ(k=0→n)f(k/n)
が成り立つ。
しかし、実はこの連続という仮定はさらに弱めることができて、可積分と書き直せる。というよりも、有界区間可積分な関数というクラスに、有界区間連続関数というクラスが含有されることが本質的である。
Reformed 区分求積法
区間[0,1]で可積分な関数について、∫(0→1)f(x)dx=lim(n→∞)1/n Σ(k=0→n)f(k/n)
が成り立つ。
念のため、可積分の説明をしておこう。
可積分な関数というのは次のようなことを言うのだった。(ただし、範囲は[0,1]に限定する。)
可積分の定義
[0,1]でfが可積分というのは、0=x_0<x_1<......<x_n<x_(n+1)=1と[0,1]を分割して、x_k≦t_k≦x_(k+1)、Δ_k=x(k+1)-x_k、|Δ|=max(i=0→n){Δ_i}としたとき、lim(|Δ|→0)Σ(k=0→n)f(t_k)Δ_kがt_k,x_kの選び方によらず同じ値に収束することをいう。また、このような収束値のことを、∫(0→1)f(x)dxとかく。
可積分なら、x_k、t_kによらずにlim(|Δ|→0)Σ(k=0→n)f(t_k)Δ_kが一定の値に収束するので、x_k=k/n、t_k=x_kとすることによって、lim(n→∞)1/n Σ(k=0→n)f(k/n)=∫(0→1)f(x)dxと書ける。すなわち、Reformed 区間求積法は、定義から簡単に導けるものなのである。そして、前述の通り、連続ならば可積分(厳密に言うと、有界区間連続ならば可積分)なので、区間求積法が導けるという寸法である。
しかし、この連続ならば可積分ということが最も証明が難しいところである。この定理は、ハイネカントールの定理という定理を使うのだが、この定理の証明がなかなかに難しいのである。イメージの中では当たり前のように思えるが、証明は解析の基礎のなかでも、10本の指に入るほど難しいといえるだろう。
結局のところ、区間求積法はこのせいで、当たり前ではないのではないかと思い始めた。だけれど、この定理を理解することで、区間求積法が数式上でも殆どあたりめのことと思えるようになるはずだ。
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