21日目「アーベルの総和公式と級数への応用」

アーベルの総和公式というものがある。この式は、級数の変形をして収束することを示せたりできる。さて、今回はこの定理について紹介しよう。

今回の記事では、基本的に数列はすべて、実数内に存在することと約束する。


アーベルの総和公式

An=Σ(k=0→n)a_kと定める。このとき、

Σ(k=0→n)a_kb_k=Anbn-Σ(k=0→n-1)Ak(b_(k+1)-b_k)がなりたつ。

証明

Σ(k=0→n)a_kb_k=a_0b_0+Σ(k=1→n)(A_k-A_(k-1))b_k=a_0b_0+Σ(k=1→n)A_kb_k-A_(k-1)b_k=a_0b_0+Σ(k=1→n)A_kb_k-A_(k-1)b_(k-1)+A_(k-1)b_(k-1)-A_(k-1)b_k=a_0b_0+Anb_n-a_0b_0-Σ(k=0→n-1)A_k(b_(k+1)-b_k)

よって成り立つ。


このことの素直な応用として、次があげられる。

F_nをフィボナッチ数列としたとき、Σ(k=0→n)k F_k=nF_(n+2)-F_(n+3)+2

証明

補題

Σ(k=0→n)F_k=F(n+2)-1

証明

F_nの漸化式よりF_(n+2)-F_(n+1)=F_n。k=0→nまで和をとると、F_(n+2)-1。


アーベルの総和公式において、a_n=F_n、b_n=nとおく。すると、Σ(k=0→n)kF_k=nA_n-Σ(k=0→n-1)A_kとできる。補題より、

右辺=n(F_(n+2)-1)-Σ(k=0→n-1){F_(k+2)-1}

=nF_(n+2)-n-{Σ(k=0→n-1)F_(k+2) -n}

=nF_(n+2)-n+n-Σ(k=0→n-1)F_(k+2)

=nF_(n+2)-Σ(k=0→n-1)F_(k+2) -F_0-F_1+F_0+F_1

=nF_(n+2)-Σ(k=-2→n-1)F_(k+2) +1

=nF_(n+2)+1-Σ(k=0→n+1)F_(k)

=nF_(n+2)-(F_(n+3)-1)+1

=nF_(n+2)-F_(n+3)+2


また、級数の収束性の応用において、アーベルの判定法や、ディリクレの判定法が存在する(12日目参照)


・アーベルの総和法をどのように捉えるべきか

和を積分のようと取り替え、数列を関数のように扱うと、これは部分積分の類似のように思える。ここから、差分和分学の考え方が発生する。これも結構面白いので、のちのち書こうと思う。

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