11日目「群論をするモチベーションを紹介するよ」

我々は、数学において加法、乗法などを用いて問題を解いている。この演算をより一般化することによって、いままでで得られた定理を一般化することを目標としたものが、抽象代数学(個人の意見)である。しかし、演算にある程度制約をつけなければ、はじめに研究をするにしては抽象的すぎる。演算に抽象性を持たせつつ、ちょうどいい具体性を持ち合わさせたものが群論であると考えられる。実際に群というものは次のように定められる。


(G,*)が群であるとは、演算*:G x G→Gが単位元を持ち、どんな元に対しても逆元が存在し、結合法則が成り立つことを言う。また、Gを台集合といい、Gの濃度を位数という。演算が明らかなとき、群Gとしてもよい。


群というものは意外と身近に存在しており、旗上げゲームも群であるし、ある性質は持った写像というのも、合成によって群になり得る。

具体的に、任意の集合Xから群を生成する方法としてf:X→Xという全単射写像を集めたものをTとかくと、Tは写像の合成によって群を成す。群を成すことは、演習問題として、これをXの変換群と呼ぶ。


いろいろなところから、群というのは生み出されるので、先にこの構造を調べておいた方が、後々に便利な訳だ。


また、先日書いたように、位数が特定の形の群やある性質を持つ群は、同型の先がわかっているので扱いやすくなるという利点もある。


一番最初に書いたように、今まで得られた定理を一般化するのも、理論の目標なのであった。群論はそこでも成功しており、次の定理が存在する。


ラグランジュの定理

HをGの部分群として、

|G/H|=|G|/|H|


Gを有限位数とする。このとき、部分群の位数はGの位数の約数。


系の系

Gを有限位数の群とする。gをGの任意の元とする。このとき、


g^|G|=e_G


系の系はフェルマーの定理の一般化であり、オイラーの定理の一般化でもある。整数論の重要な定理が自明という言葉で示せるようになるという見事な一般化である。


群論というのは、数学上の実用性も、面白さも兼ね備えているので是非勉強してみてほしい。



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