最強の冒険者編⑦

「いるじゃねーか。ここに調査も討伐もこなせそうなやつが。」


 ジークはそう言って笑みを浮かべながらアレスを見ていた。


「じゃあ、僕はここでお暇しようかな。」


 そう言ってアレスはその場から逃げようとした。


「待て、何帰ろうとしてやがる。」


 しかし、ジークに逃がす気はなかった。


「てめえ、この状況で逃げられると思うなよ。」


 ジークに止められ、アレスは逃げることをやめた。


 さすがに、アレスにも罪悪感はあったのだ、今回ジークには迷惑をかけてしまった。文句を言いつつも悪いとは思っていたのだ。


「わかったよ。僕に出来ることがあるなら話を聞こうじゃないか。」


 アレスはそう言いながらジークに話を促した。


 アレスが逃げないことを確認したジークは話を始めた。


「事態は急を要する。東の森にドラゴンが出たというのが本当ならば、放っておけば周囲の村に甚大な被害が出る。」


「しかし、本当にドラゴンが現れたのでしょうか。」


 と受付嬢の1人が質問する。


 本来、ドラゴンというのは人里に滅多に降りてこない。その生態はよく知られていないが、ドラゴンは群れで暮らしている。生息場所はいろいろだが、どの場所も人の住めない魔境だったり、山脈の頂上だったり、人里に近い場所はない。


 そのため、ドラゴンなど滅多に見るものではないものだが、今回そのドラゴン、それも10メートル越えの黒竜が東の森に現れたとなると被害は想定でもかなりのものになる。


 ドラゴンは個体によって強さが変わってくる。1番弱い個体でも最低Bランク以上の冒険者が必要になる。10メートル越えの黒竜ともなると、Sランクの冒険者が動く必要がある。


 受付嬢の質問に対し、ジークは少し考え。


「確信はないな、判断するための材料が少なすぎる。」


 ジークが言った。


「やはり、調査の人員を出すべきではないでしょうか。」


「いや、そんな時間はない。」


「では、どうするんです?」


「だから調査もできて、そのまま討伐もできる奴を行かせるんだ。」


 そう言ってジークはアレスを見た。


「なるほど。そういうことですか。」


 と受付嬢もアレスを見た。


「やっぱり、そうなるよね。」


 アレスは苦笑いしながらつぶやいた。


「SSランク冒険者アレス。貴様にドラゴンの調査と討伐の指名依頼をする。」


 ジークはこちらを見てそう言った。



――――――――――――――――――――――

7話です。

ここまで読んでくださってありがとうございます。


更新が遅くなって申し訳ないです。


もしこの作品がよかったなと思っていただけたらフォローや☆などしていただけると作者のモチベにつながります。




 


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る