最強の冒険者編⑥
この世界にいる5人のSS級冒険者、彼らは5人とも全員が異次元の力を持っている。
今、ジークの目の前にいるこのアレスという男は名実ともに、この世界最強に数えられるうちの1人である。
だがジークもSランクまで上り詰めた冒険者だ、このまま引き下がるわけにはいかない。
この舐め小僧に一発入れてやりたい。
ジークはその思いとともに再び殴り掛かる体勢をとる。
アレスもまだジークがやる気なことに気付き、戦闘態勢をとる。
再び2人のケンカが始まりそうになったその時、ギルドに冒険者と思われる男が勢いよく入ってきた。
「大変だ!」
全力で走ってきていたのか、そう叫んですぐに膝をつき肩で呼吸をする。
その冒険者に受付嬢が近づき、事情を聞こうとするが、その冒険者は疲れて声が出ないようだ。
すると、後ろからもう1人受付嬢が出てきて水を飲ませる。その尋常じゃない様子にジークとアレスもケンカを止め、その冒険者に近づく。
「おい、何があった。」
ジークが水を飲んでいる冒険者に話を聞く。水を飲み干し落ち着いたのか冒険者は話始める。
「ドラゴンだ、ドラゴンが現れた。」
「何?ドラゴンだと。」
「ああ、あれは間違いなくドラゴンだ。」
「どこだ。」
「俺は、ズルグの町からこの町までの護衛依頼を受けていたんだ。あと1日でこの町に着くってところの森の近くで野営していたんだ。」
「ズルグの町との間の森というと東の森か。」
「俺たちのパーティは護衛対象とともに休んでいたんだ、そしたらあいつが急に飛んで来て、俺たちはかなわないと思って他のパーティメンバーがおとりを引き受けてくれて、俺はその間に護衛対象を連れて逃げたんだ。」
「落ち着け、そいつの特徴は?」
「ドラゴンは黒色で、10メートルは超えてた。」
「黒色、それも成体か。」
ドラゴンは色で強さが分かれる。黒色ともなるとドラゴンの中でも強い個体だ。
「それに、あのあたりにはいくつか村があります。」
受付嬢も慌てた様子でそう言う。
「すぐに対策しないと被害が大きくなりすぎるか。」
「調査と討伐の依頼をしましょう。」
「しかし、ドラゴンともなると高ランクの冒険者じゃないと無理ですね。」
「すぐに依頼の手配をします。それと受けてくれる冒険者探しも。」
そう言って受付嬢の1人が奥へ行こうとすると。
「いや、その必要はない。」
とジークが言った。
そして、ジークはアレスの方を見てにやりと口を歪ませた。
「いるじゃねーか。ここに調査も討伐もこなせそうなやつが。」
とジークは言い放った。
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6話です。
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