最強の冒険者編③
「アレスは今日、なにするの?」
サラはアレスにそう聞いた。
「今日はこの後、冒険者ギルドに行くよ。」
「依頼受けるの?」
「いや、依頼達成の報告だよ。昨日まで受けていた依頼があったからね。」
それを聞いたサラは笑顔で
「じゃあ、報告終わったらお出かけしよ!」
「僕は大丈夫だけど、サラは朝早くからクランにいるってことは依頼じゃないの?」
「依頼受けたけど大丈夫。」
「大丈夫じゃないでしょ。受けた依頼はちゃんとやらなきゃ。」
「むー、アレスのケチ」
そう言ってサラは若干拗ねた。そして、
「じゃあ、ソッコーで依頼終わらせてくる。」
と言ってクランから出て行った。せわしない子だ。
サラは優秀で実力は確かなのだが、たまに何も考えていないのかと思う。
「慌ただしい人ですね。」
とローナが言った。
「そうだね、僕たちも行こうか。」
「はい。」
と言ってクランハウスを後にしようとすると、2階から誰かがすごい勢いで走り下りてきた。
「ようやく帰ってきましたか。このバカマスター!」
とすごい怒声を浴びせながら女性が’降りてきた。
彼女の名前はヘレンという。
マスターの仕事を全くしない僕の代わりに、このクランを取り仕切ってるサブマスターだ。
「どうしたのヘレン、何かあった?」
全力で走り下りて来たからか、ヘレンは肩を上下に揺らしながら荒れてしまった緑色の長い髪を整え、こちらを睨んできた。
「何かあった?じゃないでしょ。」
と言ったヘレンはかなり怒っていた。
「あなた、クラン会を欠席したでしょ。」
クラン会とは、このライレッド王国の主要な都市にある大きいクランのクランマスターたちが集まり近況報告やこれからについて語り合う会のことだ。
「珍しく依頼を受けたと思ったら、クラン会をさぼるのが目的だったんですね。」
ローナがそう言った。
僕は普段、依頼を受けることは少ない。なぜなら僕に回ってくる依頼はとても面倒なものが多いからだ。
だが、今回ばかりはそんな面倒な依頼でも受けることにした。面倒だとしてもクランマスターたちが集まるクラン会よりは100倍マシだ。
クランマスターたちは皆、一筋縄ではいかない存在だ。
クランマスターとは、腕利きの冒険者たちを取りまとめる存在だ。そんな奴らがおかしくないわけない、常に何かしらを企んでいる神算鬼謀な奴だったり、出会いがしらにケンカを吹っ掛けてくる戦闘狂だっている。
そんな奴らが集まるクラン会になど行きたいと思うだろうか。
だから、クラン会を依頼を受けクラン会をさぼったわけだが。
「あなたがさぼったおかげで冒険者ギルドや他のクランマスターたちからの苦情が来ていますよ。ここ3日間はその対応で大変でしたよ。後、支部長が事情を説明しに来いとも言ってました。」
ヘレンが怒った声でそう言った。
「ごめんなさい。」
僕は素直に謝った。さすがに申し訳ないと思ったのだ。
ただでさえ、面倒なクラン運営をヘレンに任せきりなのだ。ここはクランマスターとしてしっかり仕事をするとしよう。
「さすがに無断でさぼるのは良くなかったか、ギルドに行くついでで支部長と話すことにするよ。」
「お願いしますね。支部長、結構怒ってましたよ。」
そうか、支部長怒っていたかー。
「ねぇ、今からご飯行かない?最近おいしい店できたらしいんだよね。」
「早く行ってこい。」
「すみません。」
行きたくないなー。
――――――――――――――――――――――――――――
3話目です。
今日はクラン内の話です。次回はこの世界での、冒険者やクランについての説明の話を書けたらなと思います。
読んでくださってありがとうございます。ぜひ感想などいただけるとモチベにつながります。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます