最強の冒険者編②

10年前……


 アレスは気が付いたら知らない森の中にいた。


「一体何がどうなってんだ。」


 アレスは呟いたが、その言葉に反応してくれるものは誰もいない。アレスには前世の記憶というものがあった。ただ、この森に来た経緯やどうして前世の記憶がある理由などは一切わからなかった。前世で死んだ理由はわからないし、なんなら死んだかどうかさえも曖昧だった。


 記憶の中には転生したという記憶と前世で生きていた時の記憶しかなかった。後は、この世界で生きていくための知識が頭の中にはあった。どうしてそんな知識が頭の中にあるのかはわからない。


「頭の中がごちゃごちゃして気持ち悪いな。」


 どうしてこんなことになってしまったのか。アレスは不安になったが、同時にこの世界で生きていくしかないという考えもあった。どうしてそう思ったのかはわからないが、アレスはポジティブに考えることにした。


「とりあえずスキルを確認してみるか。」


 アレスの知識の中にはこの世界にある特殊な力、スキルや魔法に関する知識もあった。アレスもなにか力を持っていないかと自身のスキルを確認することにした。自分のスキルを確認する方法は心の中で念じるだけ。アレスもスキルを確認しようと心の中で念じた。


アレス

所持スキル

「星の加護」……身体能力の超強化、ありとあらゆる魔法を使いこなすことができる。また、星の力を得ることで特別な魔法を使うことができる。



 この世界にはレベルやステータスみたいなものはない。生まれたときに基本1人1つのスキルがあるらしい。稀にスキルが無かったり、2つ持って生まれる者も生まれるらしいが、アレスには知識があるだけで実際見たこともない。だが、アレスが1つだけ思ったことがあるとするなら。


「僕のスキル強くない?」

「身体能力を強化できるうえに魔法まで使えるとかチートじゃん。」


 とりあえず、強そうなスキルを持っていたことに安心したアレスは、これからのことを考えることにした。


「まずは、人に会えるところへ向かおう。」

「前世の記憶もあるし、強そうなスキルもある。もしかしたらこの世界で無双できるかも。」


 最初に感じていた不安など、忘れたかのようにアレスは、この世界で何ができるのかという期待を抱きながら歩きだした。


……現在


 「アレス、どうしたの?」


 アレスが過去の記憶を思い出していると、ケンカを終えたのかサラが不思議そうな顔をしてこちらを見ていた。


 「なんでもないよ。」


 あの森から出発して10年、アレスは色々な経験をしてきた。


 一緒に冒険する仲間と出会ったり、

 

 モンスターの群れに追い掛け回されたり、

 

 魔法を教えてくれる師匠と出会ったり、

 

 裏で暗躍する組織と戦うこともあったし

 

 国を滅ぼそうとした魔王と戦ったこともあった。

 

 このクランを建てたのも5年前のことだ。


 我ながら濃い10年間だったと思う。それらを乗り越え現在に至ると考えるとアレスはクランのバカたちを見ているのも平和で良いものだと思った。




---------------


2話目です。

今回はアレスの10年前の話です。


しばらく書き溜めようと思ったのですが、次の更新が遅くなりそうだったので短めの話を投稿していこうかなと。

短い話を出しつつ書き溜めていけたらなと。









 


 


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