第34話 襲撃される村
俺達は日を
カエサル王国へ入るのに時間がかかったのは山を一つ越えなければならなかったからだ。
またそこから村を中継しカエサル王国に向かったのだ。
「今思えばあっけなかったな」
クラウディア隊長がそう言い全員が頷く。
俺達は山を通りそして村へ向かった。
山は山賊のたまり場のようなところで、通常山を通る貴族の馬車などいない。しかし国の上層部は「このメンバーなら大丈夫だろう」とでも考えたのだろう。
山賊のたまり場に足を踏み入れた俺達は当然の
そうした襲撃を数回
結果として一度国境付近にある村に泊まらせてもらいカエサル王国に入ったのだ。
「後一つ村を通れば南区に入る。そしてその向こうが中央区になるからもう少しだな」
隊長も疲れているようだ。声にいつもの
しかしそれもわかるというもの。
カエサル王国に入り幾つか小さな村を
俺はあまり馬車に乗ったことはない。
精々冒険者として依頼をこなすために移動のため使っていたくらいだ。
なので国を跨ぐ長距離移動なんてしたことがない。
体力は大丈夫なのだが代わり映えしない馬車の中にずっといるというのは中々に疲れる。
加えて隊長からすれば元より乗り気ではない
俺達よりも気分は落ちているだろう。
そう思っていた時シグナが何かに気が付いた。
「!!! この先で戦闘が行われている! 」
その言葉で全員の顔から疲れが吹き飛んだ。
隊長が言った通りシグナの
それこそ
「どの辺だ? 」
「ここから少し先に行った所だ」
隊長がそれを聞き走る
早い判断だがいつも
エリアエルも魔杖を手に取るが俺とシグナがそれを止めた。
「……私が一撃で仕留めていいと思うのですが」
「「エリアエルがやると村ごと吹き飛ぶ」」
俺達が言うと不満そうな顔をして杖を戻すエリアエル。
馬車に詰め込まれてストレスが
ここがぐっと我慢してもらおう。
「
隊長が籠に入ってきていう。
扉を閉めた瞬間馬車が加速した。
★
着くと馬車から飛び降りて村へ入る。
「私が行く」
金属音が遠くからする中シグナが真っ先に走って行った。
俺も続いて
これは一つ一つが自動で動く強固な竜鱗。自分の意志で動かすことができ、またその動かせる範囲はとても広い。
だがこれだけだともし
よって別のスキルを同時に発動させて防御を確実なものとする。
「
俺を体を中心に
さらに
それに指示を出し村全体を
「な、なんだ?! 」
「
「上にも鱗が浮いているぞ! 」
賊と
早く行かないとっ!
展開を確認した俺はシグナの方へ走って行く。
「きゃぁぁぁぁ! 」
「抵抗するな。抵抗したらただじゃ済まねぇ! 」
「止めてぇ! 」
「くそっ! こいつ……って近寄れねぇ?! 」
「なんだこれは! 鱗が邪魔をして! 」
安心して更に進む。
すると賊達の困惑の声が聞こえて来た。
「お頭がやられ……」
「おい何が?! 」
「また一人やられたっ! なにが起こってい……」
聞こえてくる声が止まった。
シグナがいるところに着くと無残に首を落とされた賊達が転がっていた。
「シグナ」
「おお、アダマか。これで終わりだ」
「くそっ、こんなはずじゃぁ」
「死ね」
彼女が最後の一人を手にかけようとした瞬間その男は一本の短剣を脚に刺した。
その光景に驚きながらも首を落とそうとするシグナ。
しかし賊の男の様子が変わる。
「うがががが……」
バキ、バキバキと言う音を立てながら賊が
その間にクラウディア隊長とエリアエルが到着した。
「何だあれは? 」
「前に出て来た魔人に似ていますが」
「いやもっと邪悪なものに感じるぞ」
賊だったものは体から黒い
そして背中から三対の腕を生やしてこちらを見る。
「Grurururu……」
その様子を見て俺達は構える。
カイトの時とは全く違う感じを受けるな。
どちらかと言うと、もっと魔物よりな雰囲気を受ける。
しかし、関係ない。
「一撃で仕留める! 」
すぐに懐へ入り腹に一撃を入れる。
「Gag……a……」
体に風穴を開けたそれが膝をつき、そして
★
「……シグナ。この村を助けてくれたのは純粋に嬉しいのだが一つ良いだろうか? 」
クラウディア隊長が少し真面目な顔をしてシグナにいう。
真顔で見られたシグナはサッと顔を
しかし隊長の言葉は止まってくれない。
「せめて一人残してくれたら嬉しかったのだが」
「そ、それは仕方ないっ。
「確かにそうだが……、いやそうだな。礼を言おう」
クラウディア隊長が肩を叩いてニコリを笑顔を作ってシグナにいう。
もしかしたら襲ってきた賊が組織的なものかもしれない。そう考えるとクラウディア隊長の言いたいことはよくわかる。
しかしやり過ぎた感はあるがシグナの行動は
そう思いながらもこちらを
「さて
「わ、私がこの村の村長です。私の家で説明を……」
そう言い出て来たのは初老に入った一人の男性だった。
———
後書き
こここまで読んでいただきありがとうございます!!!
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