第21話 幕間:ジェフリーの憂鬱。

 こんにちは。鬼の監察官ギルバート先輩の補佐官ジェフリーです。




 最近疲れちゃって、ちょっと聞いてもらってもいいですか?




 ん?忙しいのかって?いやいや、疲れてるのは身体じゃなくて、心なんですよ。





 ほんの二か月前まで、この鬼の監察官は、と~~っても扱いづらくて、それはそれで困ってたんです。毎日気疲れしてましたよ。顔も、性格も怖すぎて、他の人はみんな俺に言伝を頼むんですから。




 しかも、当の本人は俺の気遣いに、全く感謝してくれないし。ひどくないですか?





 それが二か月前に、スーパー聖女アンちゃんがやって来て、この鬼の監察官に変化が訪れたんです。




 最初の頃から、な~んか言葉数多いなぁって思ってました。これは、能力だけでなく性格まで聖女なアンちゃんのおかげなんですけどね。




 そのアンちゃんも、いつも先輩のこと特別扱いしてるんですよ!パンの試食だって、俺がたくさん感想言うより、先輩の一言で嬉しそうな顔してるんだから。まぁ、俺は家に妻がいるからいいんですけどね?




 そうそう、アンちゃんが攫われてしまったあの時、先輩の必死さと言ったら凄かった。ロナルドさんがアンちゃんの居場所を見つけた瞬間、馬に飛び乗ってたんだ。犯人のこと、殺しちゃわないかな?ってみんな思ってたよね。




 ルイス殿下から、アンちゃんとの婚約話が出た時も、内心激怒してたよね。俺、代わりに殴られないかなってめっちゃ怖かった。



 でもその後、俺のナイスアシストのおかげで!アンちゃんと婚約することになったんだ。先輩はいつもと変わらない顔だったけど、婚約に関する手続きを超スピードで進めてたからね。先輩は、何にも言わないけど嬉しいんだと思うなぁ。



 何て言ったって、週二回お迎えに行ってるんだからね!あの鬼の監察官が!いつも笑いを堪えて見送ってるんだ。一応、尊敬する先輩だからね、幸せになってくれたら嬉しいなぁと思ってるよ。




 え?何にも困ってないじゃないかって?違うんだよ~困ってるんだよ~。




 こんなに仲が良い鬼の監察官とスーパー聖女ちゃん、自分の気持ちにも、お互いの気持ちにも全然気付いてないんだよ!!信じられる?!




 気を遣って疲れちゃうんだよなぁ。



 だけど、大事な二人だからね。俺がキューピッドみたいなもんだし?もうちょっと頑張らないとね。





 はぁ~~スッキリした!聞いてくれてありがとね!



 よし!また明日から頑張るぞー!





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