番外編3-1



「あの……ハリー様?」



 シャーロットは先日籍を入れたばかりの夫へ困惑した顔を向けた。愛する夫はシャーロットをにこにこと見つめている。




「ん?どうした?」




「その、あまり見つめられるのは……。」




「ああ、すまない。俺の妻が何故こんなにも美しいのか考えていた。」


 戸惑うシャーロットへ、ハリーは優しく微笑みそう答えた。




「……っ」



 恥ずかしそうに顔を赤らめるシャーロットを、ハリーは愛おしそうに見つめ、彼女の髪を一房手に取ると口づけた。潤んだ目でシャーロットから見つめられ、ハリーは満足げに頷いた後、彼女の手を絡めるように握った。結婚まで紆余曲折あり、苦しい思いを乗り越えた末に結ばれた二人は新婚生活を心ゆく迄楽しんでいる。




「ハリー様。シャーロット様。仲が良いのは大変宜しいですが、今は結婚祝いのお礼の品を選んでいただかなければ。」



 ソフィアに呆れ顔で注意されハッとした二人は「ごめんなさい」「すまない」と謝り、商人達が持ってきたサンプルの品々に視線を戻した。シャーロットは元王子妃候補ということで王族とも関わりが深く、彼らからも豪華絢爛な品々を受け取っている。また、ハリーは王宮騎士団の騎士団長だ。仕事上の関係者からのお祝いは数えきれないほどある。



 さっさとお礼の品を決めていかないといつまで経っても終わらないというのに、気を抜くと二人の間には甘い空気が漂っている。その都度口を挟まなければならない監察官のような役割をハワード公爵に押し付けられたソフィアは、心の中で大きく溜め息を吐いた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る