『サマータイムレンダ』と『IT』

 


『サマータイムレンダ』   田中靖規・著/少年ジャンプ+連載

             全13巻・139話(2017~ 2021)完結

『サマータイムレンダ2026 未然事故物件』少年ジャンプ+(2022)


『サマータイムレンダ2026 小説家・南雲竜之介の異聞百景』

                     半田畔による小説。


和歌山県の離島を舞台としたSFサスペンス。

日都ヶ島ひとがしまには昔から伝わる「影」の存在があった。

『「影」を見た者は死ぬ』

幼馴染の葬儀の為に島へ帰る網代慎平。

その死には不可解な点も多く、他殺の可能性が。

翌日、島民一家が突然姿を消した。

  

------------------------------------------------


舞台となる『日都ヶ島ひとがしま』には

昔から風土病として「影のやまい」と

呼ばれるものがある。


影の病に罹った者は「もう一人の自分=自分の影」を

見るようになり、やがて影に殺されてしまうという。


------------------------------------------------


そんな始まりの『サマータイムレンダ』

夢中で、じっくり堪能させて頂いた。



途中、

「これはクトゥルフ神話では?」と思い、

そして本編完結後には

「クトゥルフ神話とITへの最高のオマージュ」

だと。


------------------------------------------------


「影の病」と呼ばれる風土病は

ペニーワイズと、その本体のオマージュ。


宇宙を取り巻く未知の空間から。

様々なモノに変化しつつ漂っていた生命体。

それは隕石として地球に飛来する。

地球上の様々な生命体に擬態しつつ、

ふとしたことから、とある場所へと

たどり着く。


ペニーワイズはデリーの町へ。

「影の病」の本体は日都ヶ島へ。


どちらも周囲とは隔絶された町だ。


------------------------------------------------


ペニーワイズは

古代フェニキアで神として信仰され

北部の地下に封じられている。

迷い込んだ人間は

残さず食される。


影の病の本体は

神(ヒルコ)として島民たちから祀られた。

ヒルコ様と呼ばれながら、

地下に居住する祠を与えられ、

やはり そこでは人を喰らう。


------------------------------------------------


ペニーワイズには

幻覚や 様々な幻を見せる

「グラマー」という技がある。

人を取り込み喰らい、

それを見せることが出来る。


影の病の本体は

人間をコピーし、そのものに成りすます。

コピーされた人間は

捕食される。


------------------------------------------------


「IT」の源流となる

ドリームランドの土地では

夢を媒介として訪問することが出来る。


原作の「IT」では

全てが終わった時、デリーの町での

ペニーワイズにまつわる出来事は

全てなかったことになっていた。

全ての人のとして

消えていく。



「サマータイムレンダ」の最終回では

全てとなった。

夢で見た、と思い込む人がいた。

「サマータイムレンダ」のループを

例えるならば

全てドリームランドに置いて来たのだ。


------------------------------------------------


海へ海へ。

海の底へと誘う光景は

「サマータイムレンダ」の海底には

きっとルルイエが沈んでいるのだろう。


四手シデの姿はクトゥルフに

酷似している。

クトゥルフ自身「大司祭」とも呼ばれ、

教団の司祭は不死だ。


------------------------------------------------


影が帰ろうとしていた故郷・常夜トコヨ

果たしてルルイエか、ドリームランドか。


------------------------------------------------

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る