『呪われた町』へのオマージュ『屍鬼』
『
新潮文庫(2002)
第52回日本推理作家協会賞長編部門候補。
上下巻1000ページ超。
登場人物150人超。
コミック版/ 作画・藤崎竜 ( 2008~2011)
漫画化の際、原作者・小野不由美から
「原作をなぞるのみにしない」という条件提示があり、
大幅なアレンジと娯楽性が追加されている。
アニメ版は、コミック版を元に制作。
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人口1300人の外場村。
外部とは1本の国道のみの繋がり。
周囲から隔離され、未だ残る土葬の習慣。
ある日、3人の村人の死体が発見される。
村で唯一の医者・尾崎は、不信感を持つが、
事件性無しと判断された。
通常の死として扱われたが、
その後も村人の死は続き、加速していく。
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作者自身が
「スティーブン・キングの『呪われた町』の
オマージュ」と明言している作品。
作者である小野不由美、かねてより
熱烈なスティーブン・キングのファンである。
ファンタジー作品『十二国記』シリーズや
「ゴーストハント」シリーズ、
近年映画化もされた『
長年良質な作品を発表し続けている。
個人的に
「エンターテイメントなミステリー」の名手としての
印象が強い小野不由美。
最初に手に取ったのも『
日本版『呪われた町』
一体どんな形になるのだろう。
スティーブン・キング好きとして確かめたい。
『呪われた町』のように
本書を触媒として、
その村で起こった一連の事件の「当事者」の一人に
なるのだろうか。
書店からの帰路。
事件の凶器ともなりそうな厚さの本は
期待を高めるばかり。
加わる重さを微塵も感じさせない。
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小野不由美、さすが、だ。
「オマージュ」作品は難しい。
ともすれば、原作となる作品に引きずられ
オリジナリティを維持出来なくなってしまう。
読みながら
まさしく
日本版『呪われた町』に違いないと思い。
その物語世界に没頭していた。
どこか遠い記憶の中に
『呪われた町』の匂いを感じていた。
吸血鬼となった少女の
始祖となった、であろう
「外国人」は招かれたのだ。
遠い遠いセイラムズ・ロットから
招かれて来た。
外場村の「起き上がり」たちも
招かれて訪れる。
『呪われた町』の吸血鬼たちは
招かれなければならない。
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外場村は
死から隔絶された者たちの
悲哀と愛情に包まれている。
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スティーブン・キングの『呪われた町』他
どうしても日本人には馴染みのない習慣や
表現が存在する。
アメリカ人であるスティーブン・キングが持つ
「当たり前」すぎる「当たり前」の事象は
日本人にとっての「当たり前」が何一つない。
学んで理解するような事柄ではない「当たり前」
これは大きな壁となる。
映像化作品の多いスティーブン・キングだが
原作が「読み難い」のも
この辺りに起因すると思われ。
翻訳を手掛ける方の労たるや!
スティーブン・キングらしい文章を損なわず、
その上で日本人にも分かり易く。
ありがたい。
おかげでこうして
『呪われた町』を気楽に読み返すことが出来、
そして
『
壮大なオマージュにも出会える。
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オマージュ作は
かくありたい。
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京極夏彦氏の連作小説集『どすこい』
『
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『呪われた町'Salem's Lot』前日譚
『呪われた村ージェルサレムズ・ロット』
https://kakuyomu.jp/my/works/16817330655304598410/episodes/16817330655319263024
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