短編集「神々のワードプロセッサ」のテーマ



スティーブン・キングの短編集

「神々のワードプロセッサ」から


「ジョウント:The Jaunt」(1981)と

「猿とシンバル : The Monkey」(1980)が映画化される。


スティーブン・キングの作品の密度は

短編で映画1本(約2時間)が丁度良いと思っている。


しかし「神々のワードプロセッサ」6編中4編が

「狂気」をテーマとしていて。


ええんか!?


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元々

短編集『Skeleton Crew』(1985年)に収録されたもの。

日本では

『骸骨乗組員』

『神々のワードプロセッサ』

『ミルクマン』

三冊に分冊翻訳されている。


短編集には

後味の悪い作品が印象に残る、気がする。

『骸骨乗組員』の中の半分は

かの「ミスト」だ。

余韻や、映像のインパクトが強いが

たぶん原作の方が「気持ち悪い」


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「猿とシンバル : The Monkey」の方が

エンタメホラーに向いている。


双子のハルとビル。

父親の古いおもちゃを屋根裏部屋見つける。

それ以来、周囲では連続しておぞましい事件が連続で起きる。

ハルとビルは、恐怖しおもちゃを捨てるが、恐怖は終わらなかった。

2人はおもちゃを永久に葬ろうと決意する。


猿がシンバルを叩くおもちゃによって巻き起こる恐怖。


「死霊館」シリーズのスタッフが作る物語は

ストレートな恐怖の世界を展開してくれるだろう。


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「ジョウント:The Jaunt」なのだが、

原作通りに作るのは ちょっと無理があるのでは・・・!?


12歳の子供が、錯乱し狂気に陥る姿を

一体誰が見たいのか?


ブラッド・ピッドの映画制作会社が

映像化権を得たのが2015年くらいだったと思う。

元妻のアンジョリーナ・ジョリーが

追加でブチ切れてたのは

この小説を知っていたからでは?と思ってしまう。



ワープ装置『ジョウント』、飛行機感覚で使う時代。

順番待ちの列の中、父親は幼い息子に

ジョウントについて あれこれと話をしている。

入口と出口があるゲートを通り移動するジョウント。

その狭間はざまには「永遠」があるという。


監督も変更する様子もない。

続報も見当たらず・・・難航している?


小説だからこその「ジョウント」の怖さなのだが

ブラッド・ピッドは本当に

「原作通り」に映画化するつもりだろうか。

悪いことは言わない。

やめとけー。

大幅アレンジでも構わないよ?

アンジョリーナ・ジョリーが

色んな意味で許してくれないに違いない。


この作品、ストーリー自体を忘れそうになるくらい

幼い息子が変容し狂乱するシーンが

焼き付いてしまう。


小説としては非常に面白い。

そこはさすがスティーブン・キング。


ブラッド・ピッドは

何故この作品を映画化したいと思ったのか。

そっちの方が心配になる。


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ワープ装置の「ジョウント」は

アルフレッド・ベスター『虎よ、虎よ!』の作中で登場する

『ジョウント効果』に由来する。



「ジョウント」を読んで

H.P.ラブクラフト『彼方より:From Beyond』を思い出していた。


『彼方より:From Beyond』については

本作中の項目

『恐竜はどこへ行ったのか?』H.P.ラブクラフト『彼方より:From Beyond』

を参照して頂けるとありがたい。










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