ランゴリアーズはどこから来たのか。


「ランゴリアーズ:The Langoliers」

1990年発表。

1995年5月14〜15日 放送。

1997年12月29日~30日 日本放送。




なんて美味そうなミートボール。

ランゴリアーズの第一印象だ。


「スティーブン・キングが引退する、らしいよ」

なんて噂が

信憑性をもって囁かれていた時期。

「Four Past Midnight」の中に収録されている一篇。



噂が真実味を帯びていたのも判る気がする。



直前の三作(と一作)をみると


IT It(1986年)

ドラゴンの眼 The Eyes of the Dragon(1987年)

ミザリー Misery(1987年)

トミーノッカーズ The Tommyknockers(1987年)

ダーク・ハーフ The Dark Half(1989年)



「ドラゴンの眼」は

一旦ダークタワーにお帰り頂くとして。



「作家が邪悪なナニカに遭遇してエライ目に会う」

ダークハーフではペンネームの墓まで作って悪態をついた。



登場人物と日常生活のリアル過ぎる程のリアルさ。

小説の形で世に出ているが

ー実はスティーブン・キングの体験談だ!

本気で信じていた人が

アメリカでは少なからずいたそうだ。


家族でのんびりアメリカの片田舎で暮らすスティーブン・キング。

出版される小説は全てベストセラーになるスティーブン・キング。

ネットが一般に普及していない時代。

スティーブン・キングの存在自身が都市伝説の1つだった。



「ランゴリアーズ」と同時収録の「シークレット・ウィンドウ」

ーどっちのキングが生き残った?


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「Four Past Midnight」に収録された作品のテーマ

ー「時間」



「ランゴリアーズ」は過去の時間に置き去りにされる話だ。


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クレイグ・トゥーミーという人物が出てくる。

鼻もちならない非常に嫌味な人間として書かれている。

作中、出現したアレが どういったものか

説明してくれたのは 彼だった。



「ランゴリアーズは

怠け者の悪い子をバリバリと喰ってしまうー」



クレイグ・トゥーミー。

実年齢は大人も大人。

仕立ての良いスーツと高級な靴。

世間的にはエリートだ。


「結果を残せないヤツは!」と

怒り喚く父親。

過去の記憶に苛まれ怯える子供。


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クレイグ・トゥーミーと共に

「過去」に置き去りにされた人々は

「ランゴリアーズ」に怯えていた。


「ランゴリアーズ」と呼ばれる怪物。

ファンの間では

「パックマン」「ミートボール」と呼ばれたりする。


1995年のドラマのビジュアルが非常に秀逸であり

スティーブン・キングの世界観を実によく繋いでくれている。


造形としては

今現在の感覚からは チープすぎるわけですが・・・


まだCGなんて

SFや異次元レベルに思われていた時代。


「キング世界の再現を!」

当時の映像スタッフの気合が感じられる。

実際どうやって作ったんだろうー

観るたび思ってしまう。


映像上のランゴリアーズ。

その取って付けたような違和感が

一層「異形の存在」を強調してくれている。

当時のスタッフ。

よくやった!


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あれは「異形の存在」だ。

正体も判らない。

過去の

時間

世界を喰らい尽くす。


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スティーブン・キングの原点の1つ

クトゥルフ神話の中にも

時間と空間を司る邪神がいる。


「IT」のペニーワイズに代表される

「異形の存在」は求めているではないか。


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旅客機には

大人という「骨の袋」のローブを着た

「(純粋な)子供」

「恐怖心」

クレイグ・トゥーミーが乗っていた。


過去時間に連れて行かれる瞬間に

同じ状態だった数人の乗客は

ただ巻き込まれてしまった。


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ランゴリアーズに喰らい無に消えた無機物は

そのまま「無」の一部になったのだろう。

喰われた人

ークレイグ・トゥーミーは ダークタワーの

ペニーワイズの世界で探せるだろうか。


生き残った人を「現在」に送るために残った彼は

かの「ドリームランド」に行ったのかもしれない。


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ペニーワイズに代表される「異形」のものたち。

「ドリームランド」と

現実ー「目覚めの世界」とを

自由に行き来できるのだと聞く。

ランゴリアーズは

その狭間「無」に いつでも漂っているに違いない。


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「エルム街の悪夢」に出てくるフレディ・クルーガー。

寝ている人間を襲ってくる。

ターゲットの恐怖が大きければ大きい程

パワーアップしていく。

生きていた時代には 

とんでもない連続殺人鬼だったフレディ・クルーガーは

「異形の神」にとっては よい触媒となったことだろう。

なんて考えるとドラマチックな世界だ。

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