バトルランナー「The Running Man」




「The Running Man」1982年出版作品。



当時アメリカの出版業界の事情。

風潮というか慣習というか。


「一人の作家は1年に1冊の出版」


多作な作家は別名義で何冊も出版ー


それにならってスティーブン・キングもペンネーム。

リチャード・バックマン。


長らく公表していなかったのだが

作家の熱烈なファンは 文体やストーリーの中から嗅ぎ取ってしまう。


「スティーブン・キングの薫りがする」


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西暦2025年、世界中は荒廃していた。

巨大な管理国家アメリカー都市には失業者が溢れる。

彼らの唯一の娯楽、

絶えず流されている無料視聴テレビ「フリテレ」

残酷なクイズやゲームの番組ばかりだった。


失業者のひとり、ベン・リチャーズ。

難病の娘の治療費を捻出する為、最高視聴率を誇る「ランニングマン」に出演する。


全米が巨大なゲームフィールドの「人間狩りマンハント


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ルールは簡単「ハンターから逃げるだけ」


1時間ごとに100ドル。

1ヶ月逃げ通せれば10億ドルのボーナス賞金。

途中捕まればテレビカメラの前で殺される。

出演者は定期的に自分の姿をビデオ撮影し

テープをスタジオへ投函すること。

テープはもちろん放送される。

視聴者による目撃報告や捕獲も可。

視聴者には報奨金。


全視聴者が敵になる。

ベンはこの殺人ゲームから逃げ切れるのか。


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主人公ベンの

ハンターからの逃走経路だが、


ニューヨークに始まり

ボストン

マンチェスター

ポートランド(メイン州に入ってきたぞ)

デリーを通過(!!)


デリーはメイン州の実在しない町だ。

スティーブン・キングの作品の世界だけに存在する町。


初めて読んだ当時、

文体。

ストーリーの流れ。

登場人物の描写。

などなどー

スティーブン・キングの気配がして仕方がなかった。


でも別ペンネームだしなあ。


「よほどスティーブン・キングが大好きな人が書いたんだな」


ポートランドに入ったあたりで


「メイン州だよ!スティーブン・キングのメイン州だあ!」


主人公のベンが

無事「スティーブン・キングの世界観」に

巻き込まれることを期待して ワクワク。


デリーが登場するに至っては


「来た!デリーに来た!出た出たあ!」


ペニーワイズの登場を願ってしまう始末。

(さすがに出ません)


ー出版の順番に読んでいたわけでもなく

 こんな妄想を作品に期待してしまった。


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映画「バトルランナー」(87’)は

当時人気だった番組『ザ・グラディエーターズ』のパロディとなっている。

グラディエーターズの輸入盤や日本版が放送されていたことがあるようだ。


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「バトルランナー」

そしてスティーブン・キングの「The Running Man」は

近年定番となるリアリティ番組やサバイバル番組ー

日本でも、人気の「逃走中」「逃亡中」に繋がっている。

感慨深い。


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2025年!

もうすぐだと気が付いたら、驚きと共に戦慄する。

作中の世界情勢が、現実とそれほど違って感じられない。

ちょっと笑えない展開だなあ。



初読の当時

作中は当然ながら

解説等でも

スティーブン・キングの「お約束の舞台」について

記載があった覚えがない。

覚えていないだけかも知れない。


「辿り着いたファンに向けてのサービス」

そう思って幸せになっている。


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スティーブン・キング原作

『バトルランナー』が

再映像化 決定との報が入る。


今回は 原作の完全映像化を、

との事。

前作の映画のリメイクではない。


原作のテーマ親子愛、家族愛を

きちんと描いてくれることを期待したい。


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アーノルド・シュワルツェネッガー主演

『バトルランナー』は

制作された時代もあって

原作とは切り離して観るのが

いい。

娯楽作品としては

十二分に楽しめたし、

あの時代の

アーノルド・シュワルツネッガー映画らしい映画だ。


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映画解説者の淀川長治氏の解説は

あまりに絶妙だったのだ。


「リチャード・バックマン」の名と

映画作品としてのワクワク感。

スティーブン・キングの

ペンネームでの出版について。


一連の「楽しい企み」を

盛り上げつ、

参加してくれていた淀川長治氏。

実に楽しそうな語り口調。


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TVでの放送には

タイムリーな年齢ではなく。


随分前になるが

仕事仲間と言うには、

おこがましくも

同じスティーブン・キング大好きな

長老のご厚意で視聴できた。

淀川長治氏の解説を録画した

ビデオテープ。

長老はTVで放送される映画を

解説から録画する方であった。

同好に年長がいるのは非常にありがたい。

ありがたい。


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多少の情報は出ている様だが

克明詳細は

これからだ。


あれこれ

楽しみが増えた。


ペニーワイズ出てもいいよ?

キング作品の登場人物や

キング作品お馴染みの役者さんが出てくれると

喜ぶ、よ?



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