ハリガン氏の電話/Mr. Harrigan’s Phone

------------------------------------------------------------------------------------------



2022/10/05・アメリカ・106分

スティーブン・キング原作『Mr. Harrigan’s Phone』



短編集 If It Bleeds If It Bleeds(2020年)の中の一篇の映像化。

収録される四篇ー


   「Mr. Harrigan's Phone」

   「The Life of Chuck」、

   「If It Bleeds」

   「Rat」


HBOで 短編集 『If It Bleeds If It Bleeds 』の全作映像化が決定している。


収録順通りに映像配信ということかな?


スティーブン・キング作品の重要人物

天才私立探偵ホリー・ギブニーが今作でも登場している。


------------------------------------------------------------------------------------------------


こちらの短編集

日本語訳が待てずに輸入版を買ってしまった。

乏しい英語力を総動員。

必死に、かつ夢中で読んだ。


そんな状況だったが かなり面白かった。

映像化は とてもとても嬉しかった。


日本語訳はもう出版されているんだろうか。

英語版を読むのに かなり疲れたので

確認していないのだ。

日本語版の表紙や翻訳も大好きなので

出版されているなら 是非買おう。


------------------------------------------------------------------------------------------------


ネタバレにもなりそうだが個人的に思うことがある。


「Mr. Harrigan's Phone」


短編集の映像化 第一弾(で いいか)

内容は・・・これから観る人も多いのかもしれないが・・・


「セル」の前日譚だと思っている!


「ゴールデンボーイ」

「アトランティスのこころ」

この2篇も

「if・・・」ストーリーに当たると思っているのだ!


------------------------------------------------------------------------------------------------



エドガー・アラン・ポー「早すぎた埋葬」をモチーフとした今作。

この「早すぎた埋葬」をモチーフにした作品は

かなりの作家が手掛けており

スティーブン・キングは以前にも

「第四解剖室」を書いている。



「早すぎた埋葬」が書かれた19世紀

この時代はまだ誤診も多く、

完全に死んでいない人の埋葬が多かった。

土葬が主流の欧米では

埋葬後に

外部への連絡手段を施した棺桶が実際に使われていた。

今回はそれが

「iPhone」


------------------------------------------------------------------------------------------------


一歩間違えると

ペットセメタリーな事態にも陥る可能性があり。

違う方向に向かえば

老人はペニーワイズにも成り得た。


------------------------------------------------------------------------------------------------


スティーブン・キングが

携帯電話やスマートフォンが大嫌いな理由は

とても とてーも!よく判る。



執筆中に連絡が入ると

滑らかなイマジネーションの世界が

ダイナマイトで木っ端微塵にされた感覚になる。

作品という一つの世界が

まるで魔王に破壊しつくされた虚無の世界と化す。



手軽な連絡手段だが

場合によっては「ルマルシャンの箱」以上の

恐ろしい触媒にすら思えるほどだ。


携帯電話の頃に

耐えられずに 2台程 粉砕したことがある。

意外と、

簡単に握りつぶせてしま・・・


おっと、これは ナイショだよ。


------------------------------------------------------------------------------------------------


この異形の世界からもたらされた

「携帯電話」と

それに続く「スマートフォン」は

異形の神々の囁きが詰まっている。



それを解き放つとしたら

「セル」の世界へと繋がるではないか。



「ハリガン氏の電話」には

『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』シリーズ的な

ビックリ箱要素を期待してはイケナイ。


淡々とした日々の中

偏屈な老人と少年との

文学を通じた友情物語なのだ。


スティーブン・キングの作品は

家族愛や友情、情熱といった

温かなテーマが基本だ。

そこに、

じっとりとした 

それぞれの恐怖が迫ってくる。


この物語も同様に

友情と別れと

目に見えない 姿なき恐怖が

確実に潜んでいる。


------------------------------------------------------------------------------------------------


『ハリガン氏の電話』 


冒頭シーンを

スティーブン・キング自ら朗読している。

映像込みで御大の姿を拝めるのは

至福の時間。


御大の語り口調は

いつも雄大でいて耳にも心地よく響く。

大好きだ。


朗読中のスティーブン・キングのTシャツ

「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」(2107)で

エディのギブスだと気が付いて

無性に欲しくなってしまった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る