第6話

「オリジナルだと!あの成功体か!どこで見つけた!」

白衣の男達が慌てていた

「メキシコです、メキシコの例の部隊からアレを奪取後に我々のプロト1と戦闘しました」

「驚いたな…生きていたとは…当時は破棄したと記録にあったが…データは取ったんだろうな!」

「それが所長…プロト1は生きてはいますが腕や足の腱を切られ…元のようには…」

「そんなもんは構わん!使えないのならさっさと廃棄後に作ればいい!次のプレゼン場所は?」

「日本の神奈川です」

「プロト2.3を差し向けろ、連携できるかを見たい」

「わかりました」

「オリジナルか…興味深い…サヴァン症候群でありながらも表質性言語障害克服し意思疎通もできて自分で学習、思考が可能尚且つ戦闘能力は落ちてない完成体、傭兵相手のクスリなんぞどうとでもなる、それにオリジナルが手に入れられなければ我々で破棄しこちらの作品がオリジナルになればいい、データは全て記録しておけよ!」

「はい!」

「それと…次の神奈川のデモンストレーションでわざと証拠を残させとけ、これで成功体を狙うのはマヌケな傭兵部隊も増える」

「分かりました」






矢切渓谷の櫛引ダムは立てこもり爆発事件後、当時の幕府が閉鎖を決定したが元々が半官半民施設だった事もあり民間企業側が「景観や文化を次の世代へ残す」という名分で買い取った、その後は買い取り前の公約何処吹く風で私有地化させ人を寄せ付けなくした。

それもそうだ立てこもり事件のあった場所など寄り付きたくない、そこを上手く利用しダム施設の復旧工事の時に地下施設を改修後非人道的実験場としたのた。


所長の「小田」は名城が育った施設の一員で当時はまだ助手だった、当時も実験体は複数存在したが「完璧な兵士」一体作るコストと時間が莫大にかかるのと換えが効かず最終試験で精神が保てないという理由で計画は破棄、データも消去させたが諦めきれない残党や小田がデータを掻き集め再開させたのがこの櫛引ダム地下施設なのだ。



「所長!発見しました!オリジナルが西通用口から侵入!」

「帰還したプロト2~4を差し向けろ」

「はっ」

「オリジナルは何故かプロトシリーズの急所を狙わない、そこをつけ。狭い空間でのデータだ、全て記録しておけよ!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

カキンッ!キンッ!カキンッ!

狭い通路に金属がぶつかる音が響いていた

侵入した名城を迎え撃つ新たな実験体は3体のうち2体は意識を失っていた

まだ慣れてないのか動きがまだ成熟されていないのにこの強さか…

不殺はキツい

神奈川で戦った奴と同じ奴か

「やらされているなら辞めなさい!こんな事して何になるの!」

名城の呼びかけに全く応じない実験体達

「やっぱりダメか…急所狙いか、なら!」

実験体達は的確に名城の急所を狙う、逆を言えば狙いがわかる分躱し易いし受けやすい

「…人形とはよく言ったものね」

戦いながらも過去に名城が揶揄されてた事を思い出していた

「捨てられなかったら私もこうなってたか…」

実験体が名城の首目掛けでナイフを降ってきたが紙一重て躱しカウンターで致命傷にならない利き手側の肩の腱を切り足も切りつけ体勢が崩れたところを手刀で首を狙い気絶させた

私は絶対諦めない


ーーーーーーーーーーーーーーー

「プロト2-4やられました」

「オリジナルがこれ程までとは…」

「所長!東通用口から侵入者です!これは…WCsです!」

「廃棄処分用のクスリの実験体達を向かわせろ」

「…は?」

「どうせ捨てるんだ、データだけは取っておきたい」

「所長…?我々の退避は…」

パァン!

研究員のこめかみが撃ち抜かれた

「無能が思考するな、私の言う事だけ聞いておけ」

その場にいた全員が言葉を失った

「どうした?他に指示待ちか?」

「…いえ…ー管理室、被検体を東通用口にー」

「オリジナルはどうしましょう…」

「直に見てみたい、最終試験場に誘導してやれ、もちろんプロト5-8の用意も忘れずにな」


ーーーーーーーーーーーーー


「もーここどうなってるのよ…誰かいるー?」

偶然にも名城が侵入した所から松田も施設内に侵入した

「狭いし暗いし…やっぱり帰ろうかな…」

自分の決断に後悔しながらも先に進んだ、通路先に人が倒れていた

「あれ?人?大丈…じゃないか…」

意識の無い人間は肩や足切られていた

「なんだよ、近くで見たら全然似てないじゃん、この!この!」

松田がふざけて蹴ったら実験体が目を覚まして起き上がった

「あ!…ごめんね、起こそうと思ってさ…怪我大丈夫…?」

実験体は肩を抑えながら足を引き摺り近づいてきた

「ちょっと、無言でこっちこないでよ!あっち行って!シッシッ!…これはダメだなぁ」

諦めたその時

「社長、床に頭から伏せて!」

松田が頭を下げた瞬間に

パァン!パァン!パァン!

銃弾が実験体に命中、実験体は口から血を吐き出して倒れた

撃ったのは弟村だった

「弟村君!助かったよぅ〜会いたかったぁ!」

「あんたバカか?!武器も持たずに何しにここ入ったんだ!」

「椿ちゃんを迎えに行きたくてね」

「名城さんを?」

「ホテルで眠らされてからずっと1人だったでしょ?だから寂しいかなぁと」

「だからって…護身用の武器くらい持ってってください!」

そう言って弟村は自分のナイフを渡した

「ずるい!僕だって弟村みたいなのがいい!」

「あんたすぐ撃ち切っちゃうからダメ!」

「チッ!」

「名城さんはここ通ったんですか?」

「多分そうだろうね、ここに転がってるのは裂傷だ、椿ちゃんは銃を使わないからね、WCsなら銃痕だろう」

「じゃさっさと行って名城さんを連れて帰りましょう」

「だね!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーCEO!被検体が出てきました!ー

「生け捕りに出来そう?」

ーやってはみますが、正直難しいです!どうやら自我や痛覚がないので…ー

「なら仕方ない、気の毒だか排除、名城さんはみつけ…」


「CEO!ピースカンパニーの2人がいなくなりました!」

WCsの隊員が慌てて報告した

「やっぱり大人しくしてなかったか…何人か私と来い、迎えに行く」

「了解!露払いさせて頂きます!」

佐原の部隊が侵入する前に1台の車がきた

「どうなってる?」

降りてきたのはタツオ・カミサカだった

「おや、ラングレーの…何しにここまで?」

「何しには無いだろうよ?お前ら下請けが体張ってんだ、ウチだけ高みの見物とはいかんだろうよ」

「安全は保証しませんよ?」

「俺をみくびんなよ?てめぇのケツくらい問題ねぇわ」

「では参りましょう」

ーーーーーーーーーーーーーーー


名城が行き着いたのは大きな室内広場だった

「ここは…もしかして…」

周囲を見渡していたらライトが当てられた

「ようこそ!オリジナル!君は何番だったかな?」

「ようやく会えた!首謀者はあなたね!」

「初めまして…かな?所長の小田です」

「ばら蒔いてた薬はここにあるの?!なんでこんなモノをまた作ったの?!」

「こんなもの?アハハ、君は自分がどれだけの価値か分かってない」

「私の価値?」

「そう、価値だ、ばら蒔い薬も君が相手にした試験体も君が元になっている、他者より先に他者より上へ、人間は優劣をつけたがる、戦争はその最たる物だ、そのために君は作られた。自分を痛めず他者に痛手を…そんな都合の良い兵士なんぞそう居ない。だったら初めから作ればいい。しかし君は最終試験後暴走、言葉を失った。しかし捨てられた君はどういう訳かそれを克服し戦闘能力すら落としてない」

「……」

「君は我々が作ったクスリを取り込み適合したんだよ、そんな稀な人間はそういない、だからクスリをばら蒔いて適合する人間を選んだんだ、使えれば育てる、使えなきゃ捨てるだけ」

「私も大概だかあんたはもっと腐ってる」

「腐ってる?我々は似た者同士だよ、自分の中にある欲望という汚れた物を捨てきれなかった存在だ」

「私は…欲望なんかない!」

「そうかな?ばらまかれた薬や試験体を根絶したいってのは立派な欲望だよ、他の誰かが望んだ事かな?違うだろう?自分の意思だ」

「あなたとは価値観が違う」

「残念だ…君が研究に協力してくれれば失う命も減るのにな、それに武器というのは最高に儲けられる手段なんだ、ただ…人間は弱く脆い…その為の薬でもあるんだ、痛覚や恐怖心を壊してしまえばある種の無敵兵士が作れる、それと同時にその兵士を倒せる完璧な兵士がいれば2倍は儲かるんだ、生物化学兵器とワクチンの関係と一緒だよ、両方無いと意味が無い」

「どこまでも腐った男ね!あんた!」

「私が?はは!腐っているのはこんなモノを欲しがる連中だ、欲しがるから提供しているだけだよ、どうだったかな?実験体は?」


「貴方は絶対…許さない!」

名城が刀を握る手の力を込めた時


「椿ちゃん!」「名城さん!」


松田と弟村だった


「なんで貴方達がここにいるんですか!」

「勝手に出ていったのは椿ちゃんじゃないか!もーー!探したんだよ!困るんだよ!居なくなると!」

「名城さん!俺1人でこんな無茶な人の面倒なんてみられません!一緒帰りましょう!」


「部外者がここまで来るとは…さっさとこの場から出ていけ!」

小田が叫んだ


「うるさい!この陰キャ根暗薄らハゲ!!お前がどっか行け!」


「なっ!?!」


「これは私の戦争…贖罪…私にしかできないの!こんな物はこの世にあっちゃいけないの!なのになんで…なんで…首突っ込んできたんですか?!」


「名城さん…」


「椿ちゃんにしかできない?烏滸がましいね!それに図々しいよ!誰がそんな事決めたのさ!勝手に背負い込んで勝手に居なくなって、僕に話してくれればこんなモン…」


「貴方に私の何がわかるんですか!」


「貴様ら!この!」


「うるさいぞ!今僕と椿ちゃんが喋ってるんだ!次話入ってきたらウチの弟村がけちょんけちょんにするぞ!」


「貴方が売った荷物の中にクスリがあった…信じたかった、でも万が一…だから私1人でやるしかなかった!簡単に話せなんて言わないで!どうせもうバレてるんでしょ?!」

「僕は薬剤師じゃないからクスリなんて売るわけ…」

「社長!そういう事じゃない!」

「それに椿ちゃんが何してたかなんて僕は知らない、知りたくもない!僕と親父は違う!親父の代の連中はみんな僕を見放したけど君だけは見放さかったじゃないか!だから君の全部を僕は信じる!」

「俺も名城さんとまた仕事したいです!!」

「綺麗事言わないで!どうせ貴方達もいつか私を…私を…」


「そんな薄らハゲの言う事なんて気にするな!同じ?全然違う!それに欲望に生きたっていいんだ!君の人生決めるのは君だけだ!もっと我儘に生きていいんだ!」


「そんな…私にそんな生き方許されない…もう戻れない!戻れないのよ!どうしたらいいの!わからない…もう」

名城は泣きじゃくった子供のようだった


「自分の可能性を諦めるな!人は生きる為みんな大なり小なり背負ってる!君のはそれが大き過ぎただけだ、だったら僕や弟村に分ければいい!自分で無理矢理背負い込んで正当化し続けるのはもうやめ…」

パァン!


「痛!あれ?…血…?」


パァン!パァン!


「ヴっ…ガハァ」

小田の放った銃弾で松田は倒れた

「いつまでペラペラペラペラと…プロト5-8!全員始末しろ!」

「社長!名城さん!社長が!」

「……ハァ…ハァ…結構痛いんだねぇ…」

「社長!傷口抑えて!引っ張りますよ!」

弟村が遮蔽物まで松田を引っ張った

「ハァ…ハァ…弟村…椿ちゃんを…」

「喋らないで!右脇腹と肩と足か…」

「だ…め…椿…ちゃん…とめ…ゴホっ」

そうだ!名城さんは…

弟村が遮蔽物から顔出すと小田の後ろから実験体と思われるモノが出てきた

名城は立ち尽くしたままだった

「名城さ…」

名城はまるで凪のように感情が消え殺気も消えていた

名城が消えたように弟村には見えた

気がついたら実験体と思われる1人の上半身と下半身が別れていた

返り血を浴びた名城はまさしく鬼神

弟村は寒気がして動けなかった

「何してる!お前ら!まとめてやれ!」

実験体達は一瞬躊躇ったが一斉に飛びかかり2体目が拳銃で名城を攻撃したが名城は持っていた刀でそれを弾き返し襲いかかってきた3体目の利き手を刀で胴体から切り離し3体目の実験体が尚も反撃しようとしたが武器を降る前に首が胴体から離れた


「素晴らしい!これが覚醒!オリジナル!こんな実験体なんぞに価値はない!おい!誰か!麻酔弾もって…おい!誰か聞いているのか!」


「残念、ここは我々が制圧した!大人しく投降…あれは…名城さん?いけない!名城さん!やめるんだ!」

佐原の声が響いた


「…敵…みんな…殺す…みんな…みんな…殺す」


2体目の実験体が拳銃を撃っていたがどういう訳か名城にはかすりもしない、銃口と身体の向きと指をみて瞬時に避けているのだ、一気に近寄り頭頂部から胃の当たりまで一気に切り下げた


実験体にも恐怖心があるのか4体目はたじろいでいたが

「おまえも…敵…敵…敵…殺す」

名城はブツブツ言いながらたじろぐ実験体の心臓目掛けて刀を刺した


小田は腰を抜かして動けないようだ

「くるな…こっちに…くるな!くるな!」


「おまえ…てき…うった…」


「名城さんだめだ!そいつを殺しちゃいけない!」

弟村が遮蔽物から出たら名城が弟村に注意をやった

「なんだこれは…」

弟村は全身から汗が吹き出したのがわかった、汗というより脂汗だ

体が動かない


「おまえも…おまえも…」


名城は敵味方の判断がついてないようだ

虚ろな目をしながら目標を弟村に定め走ってきた


動け!死ぬぞ!俺

弟村は覚悟を決め落ちていた鉄パイプを構え

「やめるんだ!名城さん!」

スパッスパッ

名城は致命傷しか狙わないので弟村は防ぐのが手一杯だった

それでも体が切られていく


「弟村さん!WCs!誰か下へいけ!援護してやれ!こうなったらどんな手を使っても止めろ!あれを外に出すな!」


佐原の指示がスピーカーから聞こえた


「名城さん!社長が撃たれて苦しんでる!こんな事してる場合じゃない!」

名城の動きが一瞬止まった

まだ自我がある!

「名城!諦めるな!戻ってこい!!」

しかし名城の攻撃は止まない

ズバッ!

弟村は躱したが躱しきれず肉がきれ鉄パイプが手から落ち焦点の定まってない目の名城は刀を弟村向けた

「ハァ…名城さん…社長が苦しんでる…あんたをずっと最初から信じてた…何より1番守りたがっていた社長が苦しんでるんだ…目を覚まして」


弟村が死を覚悟したその時だった


「椿…ちゃん…やっぱり1番つよ…いねぇ…ゴホッ」

撃たれた松田が起き上がって名城に話しかけた

「ハァ…ハァ…動いちゃだめだ」


「君…口下手だから…見て…られないよ…ヴッ…椿ちゃん…みんなで…帰ろう…僕は…刀より…ゴホッゴホッ…君がペティナイフで…剥いて…く…果物が…ハァ…食べたいなぁ…僕はこの…とおり平…平気だから…気にしないで…早く…3人で…か…かえ…」

気力がなくなったのかその場に倒れた


「社長!」

弟村が駆け寄った

「社長!社長!意識を保って!だめだ!」

名城の手から刀が落ちた

「…ごめんなさい…こんな事に…私……」

名城が泣きながら駆け寄った

「…椿…ちゃん…よか…った…ごめ…」

松田の力が抜けた

「社長?社長!松田さん!」

意識を取り戻した名城が呼びかけたが松田は動かない



「遅かったか!救護班!松田が撃たれてる!早くこい!こいつを死なせると面倒だ!小田ぁ!ようやく捕まえた!」


タツオ・カミサカがWCsと一緒にきて名城と弟村をどけた

「どけ!てめぇには聞きたい事が山ほどあるんだ、死なせねぇぞ!ーおい!まだか!」

タツオと来た衛生兵が応急処置を施した

「危険です…出血が酷い」


「幸いここの施設に医療設備がある!そこで応急処置しなさい!」

佐原の指示が飛んだ


小田が出てきた出入口からストレッチャーを押したWCsの隊員が出てきた


「離れて!載せます!ー救護班準備どうか?ー」

「弟村さんも傷の手当をします」

「社長は…?」

「分かりません…ここでどの程度できるか…」


立ち尽くした弟村は松田が載ったストレッチャーを見送るしかなかった



ーーーーーーーーーーーーーーーーー


その後小田はCIAが確保、アメリカに移動させられた

名城にかかった容疑も佐原が晴らした

佐原もどうやら日本政府の高官とパイプを持っているらしい

弟村はあの後傷の手当をしてもらい名城は精神鑑定を受ける事になった

あの時の名城は小田に薬を打たれたと言う事にして精神鑑定をすり抜けさせたが形式上の事情聴取はさせれた




病院の屋上に名城がいた

「可能性を諦めるな…か…これをまた言われるとは思わなかったな」

名城は雲の無い空を見つめていた

「可能性を信じるって凄い、松田さんだけはずっと信じてくれてた…可能性と同じくあの人を信じてればもっと違ったのかな…私の生き方見つかるかな…」


「名城はん!屋上におったんか…はよ戻ってくれ。うるさくて敵わん」

「すみません…また何か言ってるんですか?」

「やれ飯が不味いだの部屋が狭いだのあれでいい大人なのか?見てて腹立つわ」

「そういう人なんで…」

「まぁ…あんたの頼みやなかったら島からこっちに来てオペなんてせぇへんよ、それに…」

「それに?」

「3億貰ったからなぁ、その分は仕事せぇへんとな」

「ありがとうございます」

「なんかあったらいつでも電話しぃや…ほな…あ!顔だけはあの人に似てるなぁ〜中身は似ても似つかんけどな」



「松田さん!いい加減にしてください!」

病室から看護師が怒る声が響き渡る


「ねーーーー!なんで個室じゃないの!それになんでこんな時まで弟村が一緒なんよ!あとご飯不味いし白衣の天使はいないし!」

「うるさいな!俺だってね?!いちいちあんたの顔見たくない!」

「あれ?弟村君はウチ辞めたんじゃなかったっけ?」

「辞めようかなと言っただけです!」

「あ、もうクビだから労災とかないからね!」

「辞めてません!」

「辞めてましたー!」


「2人共、病院ですよ?ここ?」

「あ!椿ちゃん!ダメだよどっか行ったら!」

「そうですよ、もう1人じゃ大変ですから…」

「はいはい…すみません」

「椿ちゃん!僕なんか果物食べたい!」

「ここにはありませんから私買ってきますね、弟村さんは?」

「すみません…俺も頂きたいです」

「わかりました、社長?あまり病院の方々を困らせてはいけませんよ!」

「はぁーーーーい、あ!椿ちゃん!まだちゃんと言ってなかったね!」

「?なんです?」




「おかえり、待ってたよ」


ーーーーーーーー完ーーーーーーー

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ライラプスの残穢 乾杯野郎 @km0629

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