第4話
ーあんたが送ってきた荷物の検査終わったで。ビンゴや!昔べっぴんさんの検査をした時と同じもんが出とる、これどうやって手に入れたん?ー
「やっぱり……島田さん、処分方法は任せますので人目につかないようお願いします」
ー任せとき、あんたなんか面倒な事なっとるんか?手伝おか?ー
「大丈夫です、私一人でやれます」
ーそかそか、万が一データとか欲しいんやったら適任がいるから番号教えるわー
「ありがとうございます」
そういいスマホを切った
事件は大っぴらに報道されないが手配がかかるのは時間の問題か…
急がなければ…
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「まさか君に起こされるとはねぇ」
不満そうに松田が言った
「うるせぇな、てめぇなんざ死んだって構いやしねんだ、助けてやっただけ有難いと思え」
タツオ・カミサカが答えた
1638号室に踏み込んだ時には名城の姿はなくホテル周辺でも見つからなかった
「さっそくだがお前んとこメイドを国際手配するぞ、てめぇもてめぇで事情聞くからな」
タツオ・カミサカは口が悪い
「黙秘しまーーす」
「そんなもん通じるか」
「そもそも僕も弟村も知らん、言うて僕ら被害者だからねぇ」
「お前…ホントにめでたい奴だな…」
「よく言われるよ、参ったなぁ〜あはは」
「褒めてねぇよ!おい運転手!お前も身の振り方考えとけよ!こいつはもう終わりだ、また来る、そんときの言い訳考えておけよ!」
1638号室からタツオが出ていった
あの後弟村は比較的直ぐに意識を取り戻したらしく医者に松田を診察させようとしたら松田は絶対病院に迷惑をかけると踏んで1638号室で診察させた。
ベッドで横になってる松田に弟村が尋ねた
「社長」
「なーにー?」
「名城さん黒でしたね」
「下着が?」
「はぁ…今だけ、今だけタメ口いいですか?」
「?いいよ」
「お前は馬鹿か?それとも底なしの大バカなのか?この流れでマトモな人間がそんな事答えるか?」
「弟村はどう思ってるの?」
「経歴も知らん謎な人を雇うからこうなるんだ、大バカ」
「ふーん…じゃあ聞くけどさ?なんで今なのさ?」
「は?」
「椿ちゃんはやろうと思ったらいつでもできたんじゃない?それこそ弟村君が僕の所にくるまでに何度も何度もチャンスはあったよ?」
「…隙がなかったから?」
「弟村君、僕隙ないように見える?」
「……」
「でしょ?ちょっと僕のPC取ってくれる?」
弟村は松田のノートPCを取って渡した
「さて、少しだけ時間を稼ごうか、弟村君、この番号に電話して通訳して」
何が何だか訳が分からないといった顔で弟村は電話をかけた
「…ん?バージニア州?」
「お?よくわかったね、ホットラインだから、繋がったら教えて」
「繋がり…え?え?え?!?!」
「ちょっと弟村!落ち着いて訳して」
「中央情報局の長官???????」
訳が分からない
「弟村君!今から言うことをそのまま伝えて、うぅん!えっとね…日本国内での名城の追跡は必ず生け捕りね、殺したりしたら…いつだったっけ?気象衛星のフリして打ち上げた衛星グレイザーワンだっけ?あれで中国の肥料工場ぶっ壊したでしょ?その情報を共産圏内に、いや、全世界にバラすよ?いい?」
弟村が必死に訳している
「社長、なんか怒ってます、凄い勢いで」
「弟村!時間ないから直ぐに訳して!何も捕まえるなとは言ってない、殺すなと言っている、万が一君らCIAの追跡で名城が死んだら僕は君達がひた隠ししているこの秘密も全部バラすよ、いいね!タツオ・カミサカにちゃんと伝えるんだよ!」
松田は弟村に親指を下にして下げた
「…グレイザーワン?」
「あぁラングレーのイカれた科学者が作った衛星軌道からの攻撃兵器の事故あったんよ、アメリカはひた隠ししてるけどね、あんなもん公表されたらアメリカはとんでもない事になる、さ!これでCIAは抑えられた」
「名城さんが無実だと本気で思ってるんですか?」
「うん」
「あんたホントにめぇ覚ませ!お人好しもいい加減にしろ!」
「弟村君は信じてないならそれでいいよ、僕は何かしらの理由が椿ちゃんにあってやってるのだと思う、それか脅されてるか…それでも裁判くらいは受けさせてやりたい、それにそのまま死んだら真相はまた隠されるよ。そんなのごめんだね」
「じゃあどうするんですか?」
「とりあえず…椿ちゃんの経歴を調べてみようか」
松田はとんでもないスピードでキーボードを打ち始めた
「何かわかりました?」
弟村は興味津津だ
「うーーん?名城椿名義だとここ数年くらいしかデータがない」
「そんな事あるんですか?」
「名城の名義前に名前が変わってるね…このケースはレアだけど証人保護プログラムや特殊部隊上がりは経歴が抹消されて新たな名前が出るってのは聞いた事あるけど椿ちゃんはモロそれだろうね、恐らく軍属、しかもとんでもない部隊だ」
「証人保護プログラムでないという根拠は?」
「裁判記録が見当たらない、証人保護プログラムだと法廷にいかないとだからね」
「ってことは…」
弟村が息を飲んだ
「弟村君の思った通りだよ」
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〜佐原のオフィス〜
「CEO!またやられました!今度は…神奈川です!」
「在日米軍の合同訓練部隊?」
「そうです、正規軍は無事なのですがウチのが…」
「またか…」
「今回は映像があるらしいです!これ!」
「お?よく撮れているね、これさえあれば抑えれられる」
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ピリリリリリリリ!
松田のスマホが鳴った
「もしもーし、ピースカンパニー代表の松田でーす」
ー社長、私ですー
「おぉ佐原さん、要件は?なんか欲しい物でもあるの?用立てますよ?」
ー昨日お伝えしましたよね?警告だとー
「ん?そんな事言ってた?」
ーとぼけるなら結構、今日の明け方にやられましたよ、また全滅です。今回はキッチリ名城の姿がバッチリ映っていますので貴方がとぼけようが名城を我々は追います、名城の手助けしたければ御自由に…ただその場合貴方や運転手の安全は一切保証しない、いいですね?それではー
「佐原さんはなんて?」
弟村が尋ねた
「またやられたって」
「え?この状況で?」
「お、データが送られてきた、ありゃこれは椿ちゃんだ」
弟村が身を乗り出して覗いてきた
「ちょっと!ムサイからあっち行って!」
「これでもまだ信用するんですか?!」
「そんなに怒らんでよ、そうだよ?僕は信じてる、そりゃ無実じゃないだろうけど椿ちゃんは理由も無しにこんな事する人じゃない」
「もう私は付き合いきれません、佐原さんを敵に回して無事でいられるわけが無い」
弟村は呆れ口調で喋った
「短い間でしたがお世話になりました」
「…うん、分かった、君が辞めたいって言うなら引き止めないよ」
弟村はその場を後にした
「さて、どうするか…とりあえず、豊袋の監視カメラ、椿ちゃんの通信履歴、メキシコの事件から探ってみるか…」
松田はノートPCをまた叩きだした
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どれだけ広がってるのか…
あれだけの強さ…
私の甘さで失敗した…ただ通信機を奪えた
のは大きい
巻き込みたくなかったが発信元と受信側が分かればどうにかなる
スマホを操作しとある番号にかけた
「ごめんなさい…島田さんから聞いたの…」
ーやほ!聞いてるよ!なんか新鮮だね、慣れないね、てかそっち大丈夫なの?ー
「ごめんなさい…これだけ教えてくれれば2度と電話しない」
ーそんな事言わないで、僕は散々助けられたから今度は僕が助ける番だよー
電話口から小さい子供の声が聞こえた
「今子供の声が聞こえたけど…」
ーそう2人目のチビが誰に似たかきかん坊でね、で僕は何を調べればいい?ー
「今から言うSIM端末の最後の会話相手がどこだったかを教えて欲しいSIMナンバーは…」
ーOK!すぐやるよ…あー秘匿回線か…チョロいね、こんなもん…ん?これって…ー
「どこか分かったの?」
ー詳細まではわからなかったけどこれ…例のダム付近だよ!あの時の!ー
「矢切渓谷?」
ーそう!ー
「ありがとう、もうこれ以上貴方は首を突っ込まないで」
ーそんな事いわないで…何もできないかもだけど貴方は一人じゃないから!ー
その言葉を聞き終える前に端末を切った
ようやく見つけた…今度こそ終わらせる
名城は盗んだバイクを発進させた
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「あーもしもし、僕ピースカンパ二ーの松田って言うんだけど島田さん?」
ーそうや、なんの用やー
「単刀直入に聞くね?ウチの名城と何のやり取りしてたの?」
ー誰やねんそいつ?ー
「とぼけても無駄だよ、君名前と経歴が変わってる、それも2回。1回目の時あんた医療裁判やられてるね?それをバラしていいのかい?」
ーどこで知ったんやー
「内緒、僕は名城の真相を追いかけてる、でも今僕は一人ぼっちで手詰まりでね…教えてくれた即金でいくらから払うよ」
ーほな3億程もらおか、なんてなー
「3億くらいでいいの?」
ー払えんのかい?!しかもくらいてー
「足りないならもっと払おうか?でもホント頼むよ、僕は名城を信じてる、今の僕には君しか居ないんだ!頼むよ!」
ー………とあるモノ送ってきたから調べたんや、そのモノはなこの世にあっちゃいかんシロモンー
「モノ?」
ーせや、べっ…名城はんはそれを根絶しようとしとるー
「OK!ありがとう!島原さん」
ー島田や!ー
「金は直ぐに振り込むよ、税金かからないようにするから丸々あげるね」
ー金なんか要らんわいー
「そうはいかない、僕は貸し借りが大っ嫌いなんだ、ギブアンドテイクていこう。それに」
ーそれに?ー
「名城から電話があったら協力してやって頂戴、今名城が頼るとした島野さんしかいないから」
ー島田や!何回言や覚えるんや!あんた始めはちゃんと呼んでたやないかい!そう言えばー
「ん?」
ーあんたから電話がくるかも言うてたわ、あんたを巻き込みたくないとも言うてたよー
「水臭いなぁ…巻き込むも何も僕らはギブアンドテイクの家族みたいなもんなのに」
ー……あんたと同じ事言う人を俺は知っとる、やから名城はんは巻き込みたくなかったんやな、まぁ気張りやほなのー
「よく喋る人だなぁ、さて…島原さんの住所はと…これなんて読むの?ヤタケ島?まぁいいや、口座確認…送金と。…モノねぇ…いつからだ?…メキシコが始まりじゃない?恐らく前か…納入先リストと受け取り人リストっと…おぉ?やっぱりその前があるな…その時も椿ちゃんが…あ!そうか!これ…!」
「ピンポーーーーン」
ドアのインターホンが押された
「はいはい、?あんたらだれ?」
黒ずくめのスーツ姿が6-7人いた
「松田 啓介さんですね?警視庁です、豊袋の殺人事件でお話を伺いにきました」
「任意?それとも容疑者?」
「事件現場で貴方の付き人が監視カメラに映ってましてね、それに目撃情報もある。今は任意ですがお次はどうなるか…まぁ貴方が抵抗するなら別に我々は無理やり話しを聞くまでです」
「公安か…怖いねーやっぱり、君の所の総監はこの事知ってるの?」
「そんな事聞いて何になりますか?」
「はいはいはいはい、行くよ、行けばいいんでしょ?ちょっとその前に電話を…」
その瞬間松田を取り押さえた
「大人しくすればこれ以上は…」
「痛い痛い痛い!乱暴やめてよ!痛いよ、分かったから」
「よし、本庁まで連れていけ」
ホテル地下駐車場は人がいなかった
「男だけでドライブとか嫌だなぁ…公安って男しかいないの?」
全員耳を貸さない
ワンボックスカーの扉が開き
「乗れ」
黒ずくめの男に言われた
その時駐車場奥から1台の車が突っ込んできた
「なんだ!誰だ!」
「社長!乗って!」
拳銃を持った弟村だった
パァン!パァン!パァン!
「早く!モタモタしない!」
「はい!待ってた!ありがとう!」
松田は助手席に飛び乗った
ギュルルルルルルとホイルスピンの音が響き渡り車は急発進した
「ご無事でしたか?!」
「いやぁ助かったよ〜」
「奴ら警察ですか?」
「うん、公安」
「公安?!?!」
「まぁいいや、総監にいまメールしとく…覚えておけよ、ポンコツ総監め!弟村君が助けてくれるって信じてたよ」
「はぁ?なんでそこまでお人好しなんですか?」
「だって弟村君、部屋出ていった後ずっとここに居たでしょ?」
「知ってたんですか?!」
「うん、君が分からないような所に小型の発信機付けてるからどこにいるかくらい分かるよ」
弟村は驚きハンドルを持つでが緩みそうになりながら松田の方に勢い良く顔を向けた
「えぇぇ!!じゃあもしかして名城さんの居場所も知ってるんですか?!」
「前!前!前!弟村前向いて!危ないでしょ!そうだよ、椿ちゃんが何時も履いてるお気に入りのブーツに仕込んである」
悪びれもなく答えた
「はぁぁぁぁぁ…あなたって人は…」
「真相も分かりかけてきたよ!やっぱり椿ちゃんには理由があった!」
「で?名城さんはどこへ?」
「その前に…あちゃーーー」
PCを開いた松田は頭をかかえながら目をつぶった
「これみて」
カーナビをTVに変えた
「…豊袋雑居ビル事件の容疑者として「名城 椿」を指名手配したとの事です、名城 椿は特殊な訓練を積んでいるとの事で見かけたら直ぐに最寄りの交番や110番に連絡して欲しいとの事、なお名城椿には協力者もいる模様で引き続き協力者も追跡するとの事です…」
「本腰入れて追っかけてるのはラングレーと佐原さんの所だけだと思ってたけど」
「増えちゃいましたね…」
「だね…」
「で?名城さんは何故こんな事しでかしたんです?それにどこに向かってるんですか?」
「道中話すよ、おそらく佐原さんも知らない事だ、行先は…たぶん矢切渓谷だ」
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