エイプリルフールの夜

Under the Delfinus

4月1日23時40分

4月1日は嘘をついてもいい日。

エイプリルフールの起源は全く不明らしいが何十年も前から文化として定着している。

今年の4月1日は土曜日だったから、午後から彼女と過ごした。

5月中旬程の暑さで最高気温が25℃になると天気予報が告げていた。


彼女の提案でその日の晩御飯は冷やし中華に決まった。

錦糸卵ときゅうり、1パック500円程したカニ蒲鉾を盛り付けた冷やし中華を彼女が作ってくれた。


お腹がいっぱいになった後で少し休憩して、21時頃から抱き合った。

23時20分頃まで何度も愛し合った。

何度も激しく愛し合った後は、彼女と身を寄せ合って話をする。


「今日さエイプリルフールじゃん。だからさホントは嘘を考えてたんだよね。」

4月1日23時40分。

僕は彼女に告げた。

「待ち合わせの時に手の甲に絆創膏貼って、剥がすと赤ペンでLOVEで描いてあるみたいなドッキリ的な事考えてたんだ。」

天井に向けて伸ばした手を彼女に見せながら僕は言う。

手の甲には何も書いていない。


「実は私も」

彼女が伸ばした僕の手に触れる。

「今日は体調が悪くて会えなくなったって、エイプリルフールだから嘘つこうかと考えてた。だけど、それ聞いた時にきっと残念がるだろうなって思って止めたの。」

彼女はそう僕に告げた。


「僕もさ、絆創膏貼ってあるの見てきっと心配するだろうし、一瞬でも嘘つくのが嫌だったから止めたんだ。」

伸ばした手で彼女の指を握る。

「私もちょとでもがっかりさせちゃうのが嫌で考えたんだけど言うの止めた。」

彼女がその指を僕の指に絡め直す。


エイプリルフール。

一年に一度、嘘をついてもいい日。


僕たちはお互いに嘘をついてもいい日に、お互いを思って嘘をつかない事を決めた。

僕たちにとって4月1日は嘘をつかないことを再確認する日になった。

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