第11話

酩酊。明帝。酩酊。酩酊酩酊。


うるせぇ知るかよ、てめぇの死生観なんて。

せいぜい俺は小市民ですわ。ねぇ。英語にしたらええんですか、西の國なんて。

ねぇ。知るかよ、ほんと知らねぇ。なんじゃ死生観って。


あれか。なんか宗教とか勉強したんか。科学的な検地を授業で学んだか。

それとも、あれか?最近流行の量子力学的な立場から話してるんか?


酒が進むと、酩酊状態に差し掛かると、ハルの好きなところ/嫌いなところの輪郭が浮かび上がり始める。

好きなところは、類を見ないほど好きだし、代替なんてないと思える。

嫌いなところが、ここで抹殺したいほど/ぶち壊したいほど嫌いに思える。

こいつはなんなんだろう。狂おしいほど好きだけど、今この場でぶち殺してもいいと思っている。


愛に昇華できない僕のあいまいな感情と、明確でこれ以上添削のしようのない殺意が同居した感情体を、僕はハルに差し出す。


ハルの洗練された佇まいが嫌いだ。

黄金比をとった顔面が嫌いだ。

標準装備の謎を感じさせるコミュ力が嫌いだ。


誰にも自分のことはわからないなんて、全人類に共通する悩みを展開しやがりつつ

それを現代風にアレンジして、共通項を集めている人物像たちの

ピースを拾いながら、それを自分のアクセサリのように身につけている

おまえがまじで、心から、死ぬほど、ほんまマジで嫌いだ。


死ねや、本当に、クソが。クソ。


でも、テメェはあれだよな。俺の近くから。俺って言っちゃったよ。

普段は僕って言ってるけどね。うん。

おめぇは死んだらいいとずっと思ってたよ。"EMoi"を発明したやつに感謝しなよ。MOROHAなんて最たる例だよ。

テメェはエモさを、なんだろうなぁ、今動いている社会の液ダレを吸いながら生きてるんかもしれヘんよな。


おめえの原罪は知らへんけどサ。

なんかしんどかったんか。知らんけど。

知りたくもないけど。しょうもねぇインスタントな悩みだろ、どうせ。

おめぇには地獄の釜の底は開けられないよ。資格も能力も無いからね。


そのアバズレレイディは言わずもがなだよ。

消えてなくなれ、全てなくなれ。死んでしまえ。

死ぬだけじゃねぇよ。本当にね、どうなればいいんだろう。

それ考えるからさ、今はカリソメの"しやわせな生活"送ってくれ。

一番、きみも、僕も、考えられうるかぎり最上の...をプレゼントするよ。


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