エピローグ2 新たな出会い
猫を助けた少女があまりにもアイリーと似ていたため、その名で呼んでしまう。
それを聞いた少女は孝明を怪訝そうな顔で見る。
「・・・はあ?何よいきなり。私はリリーってんだけど?お兄さん誰?」
「え?あ・・・。」
この少女がアイリーでないことは分かっていたハズなのに思わずその名で呼んでしまった自分を恥ずかしく思い気まずくなる。
しかもいきなり見知らぬ年上の男から話しかけられ彼女が警戒しているのではないかと危惧する。
「ご・・・ごめんね。知り合いの子に似てたもんで・・・つい・・・。」
「あっそ。・・・もう、ちゃんと前見て歩いてよね。危うく怪我するところだったじゃない。」
「ご・・・ごめん・・・。」
二人がやりとりしている最中、隣で見ていた
「ちょっと待てよ。え~と、リリーちゃんだっけ?なんか孝明だけ悪いみたいな流れになってるけど、ちゃんと前みてなかったのはそっちもじゃねえのか?見てたら避けられたハズだろ?」
「はあ?私スマホ見るのに忙しかったんだから仕方ないじゃない。っていうか何よ、リリーーちゃんって。馴れ馴れしすぎない?」
「はあ!?お前何堂々と歩きスマホ公言してんの!?完全にお前にも非があるじゃねえか!」
「うるさいわね!私この辺詳しくなくて地図見てたんだから仕方ないでしょ!」
「ま・・・まあまあ、二人とも。」
リリーと悠真が喧嘩しているのを孝明が仲介する。
「え~と、リリー。とにかくぶつかっちゃったのはごめんね。でも危ないから歩きスマホはやめておこうか。大怪我でもしたら大変だし。」
「わ・・・分かったわよ。」
リリーは少しむくれ納得いかない様子だったが、孝明の言うことに従うことにしたのか、スマホをポケットにしまう。
孝明はリリーのことを詳しく知りたいと思い質問することにする。
「リリーこの辺に詳しくないって言ってたけど、旅行か何かで来てるの?」
「そ・・・そうよ。今一人旅を楽しんでるところなの。だからさっさとどいて。」
「へえ、その歳で一人旅なんてすごいねえ。多分まだ中学生くらいでしょ?どこから来たの?」
隣で悠真が『孝明、お前ちょっと危ない人みたいになってるぞ。』と小声で警告したが、お構いなしでリリーが質問に答える。
「て・・・
「・・・え?それって・・・ここから隣の市町村だよね・・・?」
「だ・・・だって・・・今まで一人行ったことなかったし・・・。行ってもパパやママの付き添いで付いてっただけだから・・・道とか分かんなくて・・・。」
二人は反応に困り固まっていたが、それを聞いた悠真は爆笑し始める。
「あーはっはっはっは!旅行って言うからどこの都道府県から来たのかと思ったら県内の・・・しかもすぐ近くの市町村って・・・!!箱入り娘みたいにさぞ大事にされてきたんだろうな!!」
「きーっ!何よ!今まで来る用事なんてなかったんだから仕方ないでしょ!!私、このおじさん嫌い!」
「誰がおじさんだ!俺まだ25だぜ!」
「はいはい、ストップストップ。悠真、今のはお前が悪いぞ。」
悠真は唇をかみしめるように口を塞ぐと、孝明がリリーに提案してみることにする。
「ねえ、リリー。よかったらこの辺案内しようか?」
リリーは孝明の言葉を聞き戸惑う。
「え・・・。そんなこと言って私の事どっか連れてく気じゃないでしょうね?」
リリーが不審がる横で悠真が横槍を入れる。
「大丈夫大丈夫。筒形の体系のお子様に興味持つ男なんていやしねーから。」
「きーっ!何よ!!セクハラで訴えるわよ!!」
「悠真、やめろって。」
孝明が悠真を止めると改めてリリーに尋ねる。
「それで・・・どうかな?もちろんリリーがよければだけど・・・。やっぱり嫌かな・・・?初対面の男と一緒なんて・・・。」
リリーは何も答えず
「い・・・いいわよ。その代わり私が行き先を決めるから。分からなくなったらお兄さんとおじさんが道を教えるってことで。そうじゃなきゃ自分で道覚えられないもん。」
「うん、そうだね。それでいいよ。」
「ちょっと待て!おじさんって俺の事か!?なんで孝明はお兄さんで俺はおじさんなんだよ!」
「あんたなんておじさんでもおつりが来るわよ!いーだ!」
「はいはい、二人とも喧嘩しない。そういえば名前まだ言ってなかったね。僕は藤井孝明、こっちは山崎悠真。よろしくね。」
孝明はそう言いながらリリーに手を差し出す。
リリーは照れくさそうにしていたが、孝明の手を握り握手する。
「よ・・・よろしく・・・。私はリリー・・・。リリー・エバンスよ。」
自己紹介が終わると孝明と悠真はリリーに付き添い街を歩くことにする。
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