第34話 成瀬の過去
茉莉花が屋上から転落し死亡した後、屋上で待機していた
成瀬がやってきた刑事に事件の経緯を説明する。
「ではその
そう聞いてきたのはおそらく35~40歳ほどの年齢と思われる
そして成瀬が答える。
「・・・はい、その通りです。」
太田は成瀬を睨みつけるような目で見て質問を続ける。
「しかし成瀬博士。あなた前回の事件の時もあの人形と一緒にいたようですが?私には偶然のようには思えないのですが。まさか・・・前の事件も今回と同様彼女が関係しているのでは?」
「・・・・・・・。」
太田の問いに成瀬は答えに苦しんでおり何も言えずにいるようだ。
孝明は気になることがあり成瀬に質問を投げかける。
「あの・・・成瀬博士はこの刑事さんと面識があるんですか?」
「・・・ああ。前の事件の時も立ちあったのが、彼なんだよ。」
そう答える成瀬だったが孝明は一番気になる部分を問いただす。
「あの・・・前の事件と言うと・・・ひょっとして成瀬博士の研究所で起こった研究員の方が起こした事件のことですか?」
「・・・そうだ。」
成瀬は答えるのに
そして太田が話の続きを聞こうと成瀬に質問をする。
「・・・で、どうなのですか?あなたはあの時『犯人である
以前ならアイリーと一緒に過ごしてきて彼女の優しさを知っている孝明ならそんな訳がないとすぐに否定していたかもしれない。
だが現に孝明を守るためとはいえアイリーは
太田の言う事を否定できない、そのように思う孝明だった。
「・・・はい。その通りです。被害者である渡辺という研究員は・・・。犯人の新沼にではありません。そこのアイリーに殺されたんです。」
「・・・・・・・!!」
孝明はショックのあまり何も考えることができなかった。
たしかに話を聞いた限りでは色々不審なことの多い事件であったが、アイリーは現場に居合わせていたものの何も干渉せずにいたと考えていた。
だが実際は犯人が殺したと思われてた被害者を手にかけたのはアイリーだった。
成瀬は事件を詳しく説明しようと語り始める。
私たちは数十人の研究員で社会貢献できる機材を開発しようといそしんでいました。
そんなある日最近地震も多くいつ人の手に負えない大災害が起きた時どれくらい被害が出るかも分からない、救助するための人材も確保できるか分からない。
そういう時のために活躍できるロボットを開発しようと提案してみたのです。
私たちはそれ以来そのようなアンドロイドの開発に勤しんできました。
あらゆる衝撃に耐えられるようにし火事からも救出できるよう耐火性と防火性を上げました。
そして強盗などが現れた時も犯人逮捕に協力できるよう人間に負けることのないくらい力をつけました。
研究も進みアンドロイドはどんどん理想の形へと進化していきました。
すると今度は同僚が人間らしい生活ができるようにしてみようと言い出しました。
身体が不自由な人を助ける介護要員としても働いてくれ、人と接することが苦手な人、機会がない人のよきパートナーとなれるよう更に改良を重ねていきました。
人口知能AIを使いましたがなかなか上手くいきませんでした。
会話はできないことはなかったのですが、適格とは言えない返答が返ってきたり少し複雑な文面だとコンピューターが理解できなかったりと。
しかし後に会話はかなり完成度が高い状態でできるようになってきました。
後は言葉が返ってくるだけでは物足りないと考え、喜怒哀楽といった感情表現もできるよう勤しみました。
それが今のアイリーです。
しかしそれは未だに未完成の状態です。
何かを見たり聞いたりして何かを感じているようではあるのですが、それが一体何なのか理解できないようでそれを言葉に表現したり顔に出したりとできないようです。
嬉しい、悲しい感じた時も感じてもそれはあくまでデータとして受け取るだけ。
そして自分の意思を伝え自分から何かしたいと言ったり行動したりすること。
これもうまくはいきませんでした。
私たちはこれらの課題をクリアするために更に研究を続けました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます