第17話
【葵視点】
桜が帰ってくるまでの間――
少しでも宿題を進めようとしている私ってえらいなぁ。
きっとそのうち誰かが褒めてくれるんじゃないかな。
なんて思いながら宿題を進めていると……
帰ってきた桜が泣きついてきた。
「う~。しゅうくんがおかしくなっちゃったよ~」
「はいはい。良かったじゃないたっぷりと愛してもらえたんでしょう?」
「それは、そうかもなんだけど。なんか最後の方ちょっと怖かったの~」
正直なところ、あの可愛い男の子が少しくらい怖くなったところで可愛いのに変わりはないと思うのだが。
「まぁまぁ。しゅうくんも男の子なんだし。エッチな事に目覚めちゃっただけじゃないの?」
「う~。あれは絶対そんなんじゃないもん。なんかやけくそみたいな感じだったんだもん」
「はいはい。ごちそうさまでした」
「う~。葵だって、あんなに無茶苦茶にされたら困惑まったなしなんだからね」
「はいはい。楽しみにしてますよっと」
私は、桜の話を話半分にもとらえずリボンをほどいて桜に手渡す。
すると桜は、リボンをほどきながらニヤリと笑みを浮かべる。
「葵も、しゅうくんに、めちゃくちゃにされれば分かるんだからね」
「はいはい。寝込みを襲うのは私なんだから。逆に返り討ちにしてあげるわよ」
余裕の笑みでこたえた私は、翌朝――
予定通りに、しゅうくんの寝込みを襲った。
可愛らしい寝顔が、一瞬でビックリした顔に変わるも。
私にされるがままになっているしゅうくん。
どことなく、なにか言いたそうにしてるのはきっと罪悪感。
それを確かめるべく確認する。
「やっぱり、葵の事が気になる?」
「うん。ゴメンね桜。桜のことをは好きなんだけど……やっぱり、ぼくは、葵の事も同じくらい好きだから……」
嬉しい。
どうしよもなく嬉しい。
今ここで、こうして一つになっているのが私だと打ち明けたくなるくらい嬉しい。
「だったら、今は私のこと葵って呼んでもいいよ」
「え?」
「葵とも、こういう事したいんでしょう?」
「……ゴメンね」
「ん~ん。謝らなくてもいいよ。だからね、葵って呼んでみて」
「葵……好きだ」
「うん、私もしゅうくんのこと大好きだよ」
唇を重ねてからは激しかった。
桜の言っていた意味が良くわかった。
私の名前を呼びながら何度も何度も熱いものを注ぎ込んでくれるしゅうくん。
なにかが外れたように――
ひたすら私の名前を呼びながら泣いているしゅうくん。
そんな可愛くも愛しい人を強く抱きしめながら全てを受け止めた。
「ありがとう、桜……」
「いいよ。今日の分の宿題終わったらまた葵になってあげるから。思いっきりしていいよ」
「いいのかな……?」
「いいよ。でもそのかわり明日は桜として抱いてほしいかな」
「うん、わかったよ」
こうして少なからず罪悪感を紛らわせる方法を得たしゅうくんは……
宿題が、終わったあともすっごく激しく愛してくれた。
私としては、大満足な結果である。
そして、それを桜に報告すると。
「ふ~ん。良かったじゃない。葵として愛してもらえたなんて羨ましい限りだわ」
「いいじゃない。アナタは最初から桜として愛してもらってるんだから」
「でも、そっか。激しかったのは、葵とできないと思い込んでたからだったんだ」
「そうみたいね。きっと二人同時に愛せないから苦しんでるんだと思う」
「かわいそうなしゅうくん」
「そうだね。二人同時に愛しても良いんだよって事をしゅうくんに教えてあげなくっちゃだよね」
「うまくいくかな?」
「ここまできたらいくとこまでいくしかないでしょう」
「そうだよね」
「しゅうくんを私達の旦那様にするためなんだから」
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