第15話

【葵視点】




 正直なところ昨日の今日でまだアソコが痛む。


 でも、無理やり内股気味になるように気を使って青木家にきた。


 インターホンを押すと、薫さんが出てくれて挨拶を交わす。


 そして、二階に上がり。


 しゅうくんの部屋のドアをノックしてみる。


 予想通り事は上手く運んだみたいで、少し明るめな桜の声が聞こえた。


「葵? 入ってもいいよ~」


 部屋は昨日と同じ。


 男女が愛し合った匂いがした。


「おはよう、しゅうくん。ご飯食べてきて。私達は先に進めてるから」


「あ、うん。じゃあ行ってくるから」


 しゅうくんが部屋から出て行くと直ぐに階段を下りていく音がする。


「で、どうだった? 桜?」


「うん。葵の言ってた通りナプキン付けてきてよかったよ」


「でしょ。しゅうくんいっぱい出すから」


「それに、めちゃくちゃ痛かった……」


「だよね~。私も泣きそうになっちゃったもん」


「う~ん。本当にこれって気持ちよくなるのかなぁ?」


「どうだろう? 聞いてる限りだと痛いのは最初だけって話だけど……」


「でも、とりあえずバレずに済んでよかったよ~」


 抱き着いてくる桜の頭を撫でてあげる。


「よしよし。よく頑張りました。後は、宿題終わった後。もうひと頑張りするだけだから」


「え?」


「今日は、桜の番なんだから最後まで頑張りなさい」


「う~。今日だけ代わってくれてもいいんだよ」


「だ~め。順番って決めたんだからやりぬきなさい」


「う~。葵の意地悪~」


「いいでしょ、それだけ、しゅうくんに愛を注いでもらえるんだから」


「とか言って、葵も痛いの嫌なだけじゃないの?」


「そりゃ~。そうでしょう。昨日の今日なんだから。まだ腫れ物扱いしてもらわないと」


「それ言ったら、私なんて今日の今日だよ~」


「大丈夫。桜は強い娘だから」


「う~。葵の卑怯者~」


「ファイト。桜」


「わかったわよ。我慢すればいいんでしょう。我慢すれば」


「よろしい。その頑張りにめんじて宿題写させてあげるから」


「や、それ、お互い様なだけだから」


 そうなのである。


 実は、私達あまり成績が良い方ではない。


 なにせ、桜がつまずくところは、私も同じようにつまずくのだ。


 だから結局、時間的な物が少し短縮されるだけで大きな違いはない。


 そこで考えたのが、互いに違う教科を進めて写しあうというものである。


 これにより、全く同じ答えを二人そろって出すことになるが……


 違うクラスなので、今年もバレずに済む予定だ。

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