第12話

【桜視点】



 いったんそれぞれの家に帰ってからどちらかの家に集合するってのが私達のパターンだったりする。


 ちなみに今日は、しゅうくんの部屋に集合することにした。


 ちょっとだけ、話が長くなるかもしれないからである。


「良かったね葵。しゅうくん葵の事も好きだって」


「う、うん。すごく嬉しかった。まさかいきなり廊下で告白されるとは思ってなかったからビックリしたよ」


「しゅうくんはさ、きっと優柔不断な自分が悪いって思ってるんだろうけど」


「そもそも、そうなるように仕向けたのは私達だもんね」


「そうそう。だからこれからもしゅうくんが罪悪感とか感じないようにしてあげなくっちゃだよね」


「そうだよね」


 そんな会話をしながらも私達は、紺色のショートパンツに白いTシャツというシンプルな格好に着替え終える。


 そして、日課とも言える情報交換をする。


 おおむねシナリオ通りとはいえ。


 あの、ギャルっぽい娘が絡んできたと言うのだけは意外だった。


「そっか、あの香奈美がねぇ」


「ホントかどうかは分からないけど、中学の時から付き合ってる大学生が居るって言ってるから色々と参考になるところはあると思うけど……」


「まぁ、今後の展開次第よね」


「そうね。それよりも義弘よしひろおじさんとはどんな感じ?」


「うん。葵の言ってた通り。切り札になってくれるって」


「そっか。やっぱり、頼りになるなぁ」


「ホント、物分かりの良い大人ってありがたいかぎりよね」


「あとは、しゅうくんの倫理観をさらに壊す事だけだね」


「もっとも、すでにOKな気もするけど」


「ここまで来たら、当初の予定通り徹底的に行きましょう」


「そうね」


 そう言って私達は、しゅうくんの部屋に向かったのだった。

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