第3話 呪災 承
事件から一夜明けた。小さな村だったこともあり、その事件は新聞の見出しを飾った。
当然、学校でもその話で持ちきりだ。突如始まった全校集会にて明らかな人口密度の低さの中、校長の長ったるい話が始まった。
校長の話の後、やっと解放されると思った私たちを待っていたのは生徒指導担当の田中先生の話を聞いていた。
「こんな事件なんてうちだって産まれてはじめてだよ。」
周りの女子たちが話してる。その集団の中にいた御巫さんは私の方を見ると、こっちに向かってきた。
「ユリとか引っ越してきたばかりでたいへんだよねぇ。」
気を利かせてくれたのか私に話題を振った。
「あ、転入生じゃん。はじめまして。」
「あ、はい。どうも。」
普通に振る舞おうとしたが、やっぱりどうしても緊張してしまってうまく話せない。
「ずいぶんと騒がしいと思ったら、先生の言っていた新入生かい?」
数人の男子を連れた少年が話しかけてきた。
「あ、は、はい。」
さっきよりも緊張してうまく話せなかった。
「僕は朝霧翡翠。この学校の三年生だよ。何か困ってることがあったら気軽に相談してね。」
朝霧さんは爽やかな笑顔でそう言った。
「あ、ありがとうございます。私は、」
「安堂ユリさん。知ってるよ。」
「え、そうなんですか。よくご存知で。」
「あ、ちなみにこの人はこの学校の生徒会長だよ。」
御巫さんが私に言う。
「生徒会長。そうだったんですか。」
「まあ生徒会と言っても、こんな小さな学校だし、皆が生徒会みたいなものだね。ここの雰囲気はいいよ。本当に。」
朝霧さんは少し俯きながら言う。
「それじゃあ、また機会があったら。」
そう言うと彼は後ろにいた男子を連れて廊下を歩いていった。
「あと、あの人めっちゃモテモテだから、安易に話しかけると痛い目みるかもよ。」
ポニーテールの子が私に言う。
「フッ。どいつもこいつも、無謀な夢ばっか見て……。男って言うのは落とせる範囲の奴を落としていくのよ。」
御巫さんが少し呆れた表情をしながら言った。
「えー? 夢は大きいほうがいいじゃない。ねー、ユリ。」
「え、あ、はぁ……。」
急に女子女子した話しになり、少し気まずかった。でも、この調子ならこの学校にうまく馴染めるかも……。
「ボォォーーッ。」
突然少し向こうにある山の方から、ホラ貝を鳴らしたような音が聞こえてきた。
「これは何の音なの?」
私は皆に聞いた。
「……。こんな音聞いたことない。」
周りの皆も困惑してた。ただ一人、御巫さんだけはこの音に少し違った反応をしていた。
「どうしたの?」
「ユリ。放課後、時間開いてる?」
御巫さんは私に聞く。
「え、あ、うん。」
私はしどろもどろに答えた。
私たちがこの事を知るのは大分先になるが、この時既に、二人目の死亡者が出ていたそうだ。
田中麗美(49)が森から流れる川の土手で死亡していることが確認された。遺体はバラバラにされており、数個の黒いスーツケースの中に詰め込まれていた。
「二日連続に渡る、殺人事件。警察も正体は掴めないまま。安堂ユリ。この少女……。」
この先、私と深く関わることになるその老婆は深く息を吐くと、椅子から立ち上がった。
「呪いは祓わねばならぬ……。」
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