第8話 あなたへ



『君から手紙が届き、驚きました。

とても嬉しいです。

君は僕が長生き出来なかったことを気にしているようですが、僕が死んでしまったのは、君のせいでは決してありません。


僕が生まれた時に定められた寿命はもともと亡くなった日でした。なので僕は人生は予定通り幕を閉じました。


君は知らないと思うことを伝えたいと思います。人生の長さは生まれた時にすでに決まっています。定められた寿命、人生を人間は全うする宿命があります。

途中で投げ出してしまうと、残りの生きるはずだった寿命プラス100年以上地獄に行きになると神様に教えてもらいました。

なので君は絶対に自分の人生を投げ出さず、寿命まで生きて下さい。


そして死ぬと、神様が扉を開けておいてくれます。その扉の中に7日以内に必ず通って下さい。

光を頼りに走って下さい。そうすると天国に行けます。


7日のチャンスを逃すと天国にも地獄にも行かず現世のまま魂だけ彷徨い続けてしまうそうなので、扉の場所は必ず神様が教えてくれますから言う事を聞く事を聞いて下さい。


天国へ行くと怪我も病気も無くなり、容姿も若返り元気になります。

僕も今、この世界で元気にしています。

君と天国で会う時は2人とも若いから若い頃の自分の姿をよく覚えておいて欲しいと思います。


天国に行くと、人間界との自由に行き来出来るので、君の様子も見に行った事があります。

あまり元気がないようで心配しています。


僕のことで元気がないのなら僕は大丈夫なので気にしないで欲しいです。


僕は、君に死ぬまでに叶えたい事を叶えてもらいました。食べたいものも、行きたい場所にも行けました。あと2つの願いは、僕が死んだ後の君への願いです。

君が元気で笑っていてくれることと、

僕が死んだ後、君が誰かを好きになってその人から大切にされることです。そう思っています。


本を読んだままソファーで寝てしまって起きた時、どこまで読んだか分からなくなっちゃったなと思っていると栞を挟んでおいてくれたり、


ハンバーグを焼いて綺麗に焼けた方を僕に食べさせてくれたり、


桜を見て、あなたと見れて良かったと言う君の幸せだけを願っています。君との日々はとても幸せでした』


彼からの手紙にはそう書いてあった。

あの後彼はオカザキヤを訪れたのだ。

インクの色は、とても綺麗な色のインクで描いて欲しい、紙は温かみのあるものを 希望をした。

その要望に岡崎さんは、彼への手紙を書いた際に使ったのと同じドイツ製のファイバーカステルの夜桜のインクを使った。

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あなたへ 近藤美澄 @maya_misumi

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