第6話 骨折と手紙

岡崎さんが代筆を手掛け、彼へ届ける準備が出来た。


「ブッコロー、手紙届けて欲しいんだけど!」

「うるせぇ、なんで今日は当たんねぇんだよ」

ブッコローは、競馬で負けて間仁田さんに八つ当たりしている。


「最近本当ついてない!この間なんて水分飛ばした漬物食わされるし、つか間仁田さんの持ってるそれ何ですか?」

「ラインに特徴があるOKミューズコットン」

「オッケーミューズコットン…?それってOKの家系ってことは、ウェザーワルツの友達ですよね?」


「ストライプの色紙でよく見たら線が入っていて」

「ウェザーワルツもオシャレ再生紙…」


「あの!はいたつ!行ってきて欲しいんですけど!」と待ちきれず郁さんは大きな声を出した。

「たく、しょうがねぇなー。今回は誰に?」

「先月お見えになったお嬢さんから恋人さんへのお手紙です」

「あー恋バナ!手紙の中見ていい?」

「ダメです!個人情報ですから。ちゃんとシーリングワックスで止めてありますから」

「ちぇ、つまんねぇの」

不貞腐れるブッコローに手紙を渡した。

「ねぇ間仁田さん、ちょっとそこまで送ってってよ」

「いや、自転車で転んじゃいまして…骨折っちゃって」

「えーっ、こちら嘘つき摘発委員会ですが、あなた本当に骨折したんですか?」

ブッコローは、謎に古畑のマネをしながら間仁田さんに問いかけた。

「標識に肩ぶつけて鎖骨折っちゃって」

「どっちですか?」

「左です」

「鎖骨…って折ったことない。痛い?」

痛い…と間仁田さんは小さくつぶやく。

「なんで?」

「ぼーっとしてて」

「てことは、ぼーっと考え事してたらそこに看板があって突っ込んじゃって鎖骨骨折…。他に怪我は?」


「右足を捻挫しました」

「え、左肩と右足怪我したの?どうやってそうなるの?」

「それがよく覚えてないんですよね」

「やばい人じゃん」

「奥さんはなんて?」

「馬鹿」

あはは…と羽でお腹を抱えながら笑い転げるブッコローに、

「とにかく1人で行ってきてちょうだい」と郁さんは念押しした。

「はーい」

仕方なさそうに天国の扉へと羽ばたいていった。

間仁田さんはあちこち痛そうにしていた。

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