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「ねえ、『どんなトンデモない特異能力の持ち主でも精神操作能力で操れば何て事は無い』って都合のいい話がマヌケの妄想なら……何で、相手が精神操作能力者でも、先に精神操作すれば、その精神操作能力者だけじゃなくて、そいつが支配してた人達まで手駒に出来るなんて、都合のいい事が起きたの?」
脱大ブローカーを名乗る夫婦は大阪を後にして、逆に、あたし達は大阪に向かっていた。
バイクで事故って(その事故の原因は、このトラックだけど)大怪我&大火傷を負った警官は、応急処置だけして、後から来る医療チームに任せる事になったようだ。
「何か、大阪の軍や警察って、エリート部隊同士でのいがみ合いが、すごいみたいで……それで、たまたま、2つの別の部隊とハチ合わせした時に、両方の部隊の精神操作能力者に『向こうが内通者だ』と信じ込ませる精神操作をやったって……」
「椅子の人」の女の方が、そう説明。
「そ……そんな馬鹿な……」
「自分の望みが叶うとか……自分の思い込みに合致した精神操作はかかりやすいけど……その逆の精神操作はかかりにくい。『仲間だけど仲が良くない奴らが、実は敵のスパイだったらいいのに……』とか、もし心のどこかで思ってたとしたら?」
そうか……。
優那ちゃんが誘拐された時……「自分達についてくれば魔法少女に戻れる」……。
そもそも、魔法少女じゃなかったし、成りたいとも思ってない沙也加ちゃんには効かなかった。
多分、自分でも気付かない内に「もう一度魔法少女になる」って願いを失なってた、あたしにも効かなかった。
そして、心のどこかに、その願いが残ってた優那ちゃんだけが……。
「全員、準備。変身能力者は、変身して下さい」
その声で、あたしは我に返った。
そして、トラックのコンテナから出ると、そこには……。
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