(7)

 やがて、外から煙が入ってきた。

 単に焦げ臭いだけじゃなくて……何か変な臭いも混って……。

「あ〜……見ない方がいいかも」

 一足先に下りた沙也加ちゃんは、そう言ったけど……。

「もう、見ちゃったよ……」

 外に出ると……一応、舗装はされてるけど、林や山の中らしい道路。

 そして、道路から飛び出して、林の木の1つに激突して……変形・炎上した白バイ。

 消火器の白い粉まみれになって地面に横たわってる警察官が1人。

 機動隊とか、そう云う人みたいで、やたらとゴテゴテした防具を付けてる。

 どうやら、あたし達の乗ってたトラックのコンテナのハッチとぶつかりそうになったんで、避けようとして……ハンドルを切り損ねたらしい。

「まだ、生きてるか?」

 そう言ったのは、あたし達の前を走ってた、もう1台のトラックから出て来たらしい強化装甲服パワードスーツの誰か。

 どうも、その強化装甲服パワードスーツには「気配を隠す」系の魔法がかかってるみたいで……「中の人」の気配が感じられない。

 女の声だけど……何か声色を変えるような機械を通してるらしい……。

 全員が、あたしの方を見る。

「出来る?」

 沙也加ちゃんは、そう訊いた。

「う……うん……」

 一応、気配を感知する系の魔法を使えば……生きてるかどうかは判別出来る。

 けど……わずかに露出してる肌は、赤と黒。

 焼け焦げの黒と、血や肉の赤。

「一度、息を吸って吐く度に数を数えてみろ、それで、ある程度、心を落ち着けられる筈だ」

 強化装甲服パワードスーツの女が、そう言った。

 言う通りにして……倒れてる警察官に手を近付け、「気」を放つ。

 相手が、あたしの「気」を受けて……生きているなら、何か反応が返って……。

「かろうじて……でも……」

「生きてるが、かなりマズい状況か……」

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