土をこねてー陶器の合間に。



友人の営む雑貨屋に置く陶器制作中。


「陶器」を名乗る程 

立派なものかと問われると

いささか気が引ける。


土、

こねこねこねこね。


造形。


ー寝かせる


焼く。



一応「陶器」になるか。



店では『作家の一点物』という

非常に大それた肩書で陳列されている。

現場を見ると

恥ずかしさに持ち去りたくなりそうだ。



出来るだけ小振りの品を

納品している。


小皿。

ぐい呑み。

アクセサリー入れのトレイ。

カップは

カプチーノサイズ。


出来るだけ

片手で持てる物がいい。


たまに

小動物のオブジェも。




造形中は 無心になれるのがいい。




「陶器の合間」ってなんだ。



造形の時から

「焼き」までの間。


その時間と空間が

なんとも言えない感覚になる。




造形中

なんとなく


「いいものが出来るなあ」


「ああ、これは 違う方を向いてるなあ」


触りながら

そんなことを思う。



感覚の表現。

文字や文章では

なかなか 難しい。


色や匂い。

味覚に例えると近いのか。

音や宇宙に例えると

近いのか。


これが文章で表現できると

きっと

気持ちよく書きあがるのだろうに。



ああ、もどかしい。



語彙を織り上げ

積み広げるための

時間。



試行錯誤し。


音楽を聴き。


呼吸するように

日差しを受ける。



七転八倒。



歯痒さも


それはそれで

今は楽しく。


造形から焼きまで。

ほんのひと時の「合間」


日差しを受ける

並べたそれらを視ながら。


淹れたてのコーヒーが旨い。





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